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デート ④

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 その後も屋台を見て回ると、一際人がたくさんいて楽しそうな笑い声にいい香りがする屋台があった。

 店の前には大きな木樽が置いていて、店の人はその樽から金色で上部に白い泡が立っている液体をジョッキに注いでいる。
 そばにいる人に「あれはなんですか?」と聞くと、小麦で作ったビールというお酒だそうだ。

「サイモン、僕、あの木の樽に入ってるお酒が飲みたい」
 多くの街の人がのんでいるビールというお酒を、指差した。
「ミカエルには強いお酒だし、少し苦いかもしれないよ」
 言葉には出さないけれど、サイモンは僕にはまだ早いって言ってるのがわかる。
「僕だってもう大人だよ。強いお酒だって、苦いお酒だって飲めるもん」
 ぷーっと頬を膨らませて睨むと、サイモンは「本当に飲めるの?」と言いつつやれやれと苦笑しながらも、ビールを買ってくれる。

 街の人が、あんなに美味しそうに飲んでるんだ。
 美味しいに決まってる。
 ゴクリと一口飲むと……、
「苦~い……」
 ベーっと舌を出してしまうと、周りにいたお客さんに「がははは」と豪快に笑われ、恥ずかしさでサイモンの後ろに隠れる。

 みんな本当にこんな苦いの、美味しいの?
 そう思いもう一口飲んでも、やっぱり苦い。
「無理して飲まなくていいよ」
 僕が持っているジョッキをサイモンが取ろうとして、
「僕だって飲めるもん」
 ジョッキの中のビールを一気に飲み干した。

 カッと体が熱くなり、目の前がぐるぐるして足元がおぼつかないけど、体がぽわぽわして気持ちいい。
「えへへ、美味しいね~」
 足がふらついて、サイモンに寄りかかる。
「一気に飲むなんて、やりすぎだ」
 困りながらサイモンが僕を支えてくれる。
「もう一杯飲~もおっと」
 机の上に置かれていた、サイモンが自分用に頼んだビールを一気に飲み干す。

「ぷはぁ~」
 空になったジョッキをダンッと机の上に勢いよく置く。
 ほら僕だって飲める!いつまでも子供じゃないんだ。
 でもなんだか体がふわふわして、今の僕なら飛べそう。
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