上 下
4 / 77

女神の試練と出逢い ①

しおりを挟む
 嶺塚みねずか雅成、21歳。
 彼は闇のオークション『mysterious goddess』(神秘の女神)での特殊な力を持った女神。
 美貌や妖艶さだけでも人を虜にするのに、能力に関わった者は雅成の信者となり、最終的にはしもべとなっていった。
 その能力は雅成の蜜にある。
 射精した時、真珠のように輝き、蜜は桜のはちみつでできたような濃厚な甘さと、嚥下した時、体の隅々まで力をみなぎらせる。
 精というより、女神の蜜。

 だがその蜜はさらに不思議な力を持っている。
 それは『雅成の蜜を堪能した者は、必ず幸運に恵まれる』だ。
 今、この世界で成功し、財を成した者の中に、雅成の蜜を堪能した者は少なくはなかった。
 
 雅成が女神の力の片鱗を見せ始めたのは、18歳の時。
 看護師をしていた母親が売れないデザイナーと再婚した頃だった。
 再婚後、交通事故で下半身付随になった義父は母親が夜勤の日、睡眠薬で眠らせた雅成を襲いおぞまじい行為を動画として撮っていた。
 義父は動画で雅成を脅し、母親が夜勤のたびに雅成の全身を舐り、乳首が腫れるほどいじり、媚肉を玩具で犯し、楔からの蜜を吸い上げ、雅成の身体を穢していった。

 同時に、無名で売れないデザイナーだった義父の作品を有名な評論家が絶賛すると、階段を一気に駆け上がるように義父の作品は有名になり、息つく間もなく日本有数のデザイナーとなった。
 そして雅成が19歳の春。義父が手がけるファッションショーにモデルとして登場すると、瞬く間に世間の注目を浴びた。
 そこで車椅子の老人『嶺塚一』と出会う。

 嶺塚は日本有数の茶道家。だが裏の顔は闇を牛耳るボスであり、闇オークションの会長だ。
 嶺塚は言葉巧みに雅成に近づき、心を開かせ義父の行為を聞き出すと、義父を脅し雅成を自分の養子として引き取った。
 そしてそこで、雅成は嶺塚の孫である拓海と出逢った。

 二人は初めて出逢った時から互いに惹かれ合った。 
 お互い気持ちを告白していなかったが、将来、拓海が独り立ちできた時、一緒に暮らそうと約束をし、それまでは清い仲でいようと二人は淡い恋を育てていた。
 雅成は拓海との未来に希望を膨らませ、幸せに暮らしていく……はずだった。


(……ん……?)

 ズキズキ痛む頭のこめかみを抑えながら雅成が目を開いた時、一番はじめに視界に映ったのは見知ら天井だった。

(ここは……?)
 上半身を起き上がらせ、あたりを見回すと、そこは部屋の扉が一枚と一台のキングサイズ。
 そしてベッドの隣にサイドテーブルが置かれていて、部屋の角にはスピカーが一つ置かれ、ベッドの真向かいには大きな鏡が壁の中に組み込まれていた見知らぬ部屋だった。
 雅成は今日、嶺塚に呼び出され、部屋に向かっていたことまでは覚えているが、その後のことは何度思い返そうとしても記憶がない。

 そんな時、ートントントンーとドアをノックする音がする。
「はい……」
 咄嗟に雅成は返事をした。
 紺色の仕立てのいいスーツの男が一人、雅成がいる部屋に入ってきた。
「お目覚めですか?」
 男の声に、雅成は聞き覚えのある男の声があった。
 確かこの声の主は嶺塚の第一秘書、森本だ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

ヤンデレだらけの短編集

BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。 全8話。1日1話更新(20時)。 □ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡 □ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生 □アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫 □ラベンダー:希死念慮不良とおバカ □デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。 かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。

山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。 お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。 サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

処理中です...