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ーー「α、Ω適合検査』 ② 蒼sideーー
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いつもならラット抑制剤を飲むぐらいだ。
体が燃えるように熱い。
理性が飛びそうだ…
ダメだ‼︎
ダメだ‼︎
ダメだ‼︎
伊吹のためだ‼︎
伊吹の治療のため‼︎
伊吹の体を守るため‼︎
蒼は手をグッと握りしめ、めいいっぱい拳に力を入れた。
大きく深呼吸をし落ち着かせようとするが、吐く息でさえ熱い。
それでも懸命に耐える。
全ては伊吹のために…
蒼がラット誘発剤を打たれてから3分が経った頃、部屋のドアが開けられ、勇気が部屋に入ってきた。
「蒼くん採血するね」
そういうと、手際よく採血をし、蒼にラット抑制剤を渡す。
「これは普通の抑制剤より強いから、強いラット時でもすぐに効き目が出ると思う」
「ありがとう…ございます…」
薬を受け取る蒼の手は震えていた。
「検査は院内で行うから、結果は夕方には出るよ。それまでは院内でゆっくりしておくといい。伊吹くんと蒼くんの体調が安定したら会えるよう、手配しておくよ」
そういうと勇気は、
「よく頑張ったね」
蒼の頭を優しく撫で、部屋を出て行った。
「中星先生…。伊吹には、いつ会えますか?」
ラット抑制剤を飲み、体力が回復するまで点滴を受けながらベットで横になっている蒼が、点滴の残量などを確認しに来た瑆に声をかけた。
「そうだね…。伊吹くんはもう大丈夫そうだから…」
瑆が言いかけた時、
「伊吹は今どこにいますか⁉︎すぐに会いにいきたいんです‼︎」
蒼は伊吹のもとに行こうと、点滴の針を抜こうとする。
「ダメだよ、蒼くん。君の体調が戻ってない」
蒼は針を抜こうとした手を、すぐ瑆に止められた。
「俺はもう大丈夫です‼︎だから、今すぐにでも…」
「蒼くんがすぐに、伊吹くんのところへ行きたい気持ちはわかる。でもまだダメだ」
それでもなお、起き上がろうとする蒼を瑆は止める。
「まだ蒼くんのフェロモンが安定していない今の状態で行けば、伊吹くんが蒼くんのフェロモンに反応するかも知れない。それは伊吹くんの体にも、蒼くんの体にも負担が大きすぎる」
「…伊吹の負担になるかも知れない…」
そんな事はさせられない…
蒼は伊吹に会いたい気持ちを、グッと堪えた。
体が燃えるように熱い。
理性が飛びそうだ…
ダメだ‼︎
ダメだ‼︎
ダメだ‼︎
伊吹のためだ‼︎
伊吹の治療のため‼︎
伊吹の体を守るため‼︎
蒼は手をグッと握りしめ、めいいっぱい拳に力を入れた。
大きく深呼吸をし落ち着かせようとするが、吐く息でさえ熱い。
それでも懸命に耐える。
全ては伊吹のために…
蒼がラット誘発剤を打たれてから3分が経った頃、部屋のドアが開けられ、勇気が部屋に入ってきた。
「蒼くん採血するね」
そういうと、手際よく採血をし、蒼にラット抑制剤を渡す。
「これは普通の抑制剤より強いから、強いラット時でもすぐに効き目が出ると思う」
「ありがとう…ございます…」
薬を受け取る蒼の手は震えていた。
「検査は院内で行うから、結果は夕方には出るよ。それまでは院内でゆっくりしておくといい。伊吹くんと蒼くんの体調が安定したら会えるよう、手配しておくよ」
そういうと勇気は、
「よく頑張ったね」
蒼の頭を優しく撫で、部屋を出て行った。
「中星先生…。伊吹には、いつ会えますか?」
ラット抑制剤を飲み、体力が回復するまで点滴を受けながらベットで横になっている蒼が、点滴の残量などを確認しに来た瑆に声をかけた。
「そうだね…。伊吹くんはもう大丈夫そうだから…」
瑆が言いかけた時、
「伊吹は今どこにいますか⁉︎すぐに会いにいきたいんです‼︎」
蒼は伊吹のもとに行こうと、点滴の針を抜こうとする。
「ダメだよ、蒼くん。君の体調が戻ってない」
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「俺はもう大丈夫です‼︎だから、今すぐにでも…」
「蒼くんがすぐに、伊吹くんのところへ行きたい気持ちはわかる。でもまだダメだ」
それでもなお、起き上がろうとする蒼を瑆は止める。
「まだ蒼くんのフェロモンが安定していない今の状態で行けば、伊吹くんが蒼くんのフェロモンに反応するかも知れない。それは伊吹くんの体にも、蒼くんの体にも負担が大きすぎる」
「…伊吹の負担になるかも知れない…」
そんな事はさせられない…
蒼は伊吹に会いたい気持ちを、グッと堪えた。
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