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帰還 ①

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 宮殿にの残った僕はデビュタントのダンスやマナーの授業、子ども達に読み書きを教えたりと、わざと忙しくした。

 クロエに「そんなに無理をされたら、お体に悪いです」と言われたけど、忙しくしていないとアレクのことを考えてしまって、心配ばかりしてしまう。
 アレクは僕が心配しないようにと、毎日手紙を届けてくれる。アレクからの手紙は嬉しいし、返事を書く時はアレクのことをだけ考えられるけど、書き終わってしまうと今日あった出来事を直接話せない寂しさが襲ってくる。

 それにアレクは手紙にはいい事しか書いていないけど、今調査団がいる辺りは盗賊がたくさん出て、今回も前回の戦いの時みたいに、近隣の村が襲われ負傷者が出たという悪い噂が聞こえてくる。

 怪我はしていない?
 体調はどう?
 調査の期間はいつまでと決まっていないの?

 そう手紙に書きたいけど、そんなことを書いてしまったら、アレクを困らせてしまうだけ。
 その言葉をグッと胸の奥に押しやった。


 そんな日々が3週間程続いたある日。アレクから嬉れしい手紙が届いた。
 それは『あと3、4日で帰る』とのことだった。その手紙をアレクが書いたのはちょうど2日前。ということはアレクは明日か明後日に帰ってくる。
「クロエ、アレクが帰ってくるから手料理の用意をしよう。今回は下ごしらえの準備にも時間が取れるから、煮込み料理も作れるね。急いで城下に行って食材を選びに行かなくちゃ」
 宮廷には御用達の業者もいるけど、今回は自分の目で食材を選びたい。急いでクロエと城下に行く。

肉屋、魚屋、八百屋、加工品を扱うお店、酒屋、果物屋……。僕はそのお店の人おすすめの料理のレシピを教えてもらって、クロエと二人だけで準備した。僕の住んでいた地域は海から遠かったから、魚料理を作るのは初めて。それでも魚屋の店主さんからもらったレシピや、宮殿の料理人に教えてもらって頑張って準備した。
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