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愛おしいということは、愛しているということは 〜内藤昴 スピンオフ〜
ホームセンター ①
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今日は久々にゆっくりできる土曜日。
土曜だが2人で一緒に朝食を作って食べ、その後は以前から鈴木がプランターでパクチーやバジルなどの家庭菜園をしたいと言っていたので、車でホームセンターに行こうと言っていたのだ。
どうやら受付の谷川という男性社員と仲が良くなったらしく、色々話している中で初心者でもできる家庭菜園の話を聞いたらしい。
「俺、趣味がないので趣味を作りたくて」
「趣味はわざわざ作るものなのか?」
と聞くと、
「無趣味の内藤さんには言われたくないです」
と言われ、俺は本当に無趣味なので言い返す言葉がない。
食後、掃除と洗濯を済ませホームセンターに行った。
俺はホームセンターに来たのが初めてで、子供のようにあたりをキョロキョロしてしまう。
「同じホームセンターなのに、ペット館とその他の物が置いてある館にわかれているぞ」
テンション高めにいうと
「そうですね」
俺の反応が面白いというようにクスリと笑いながら、鈴木は答える。
「なぁ鈴木、園芸用品見る前にペット館行ってもいいか?」
「いいですけど、ペット飼ってませんよね」
「そうなんだけど、今日は『子犬や子猫とのふれあい広場』が開催されるって書いてある!」
俺は『子犬や子猫との触れ合い広場開催』と書いてあるポスターを指差す。
俺は動物、特に犬や猫が大好きだ。
小さい頃は母さんが動物の毛のアレルギーで飼えず、一人暮らしをするようになってから飼おうと思ったが、生活時間が不規則で出張も多かったので飼えなかった。
だからこの『子犬や子猫との触れ合い広場』には行きたい。
たくさん触れ合いたい!
「内藤さん、子犬や子猫と触れ合いたいんですか?」
鈴木の問いかけに、俺は大きく2回頷いた。
「ぷっ!いいですよ。先に行きましょう」
随分年下の鈴木に吹き出されたが、子犬と子猫触れ合えるならそんなのどうでもいい。
今日は存分に愛でて撫でて癒されるぞ!
頭がポワポワする。
俺の膝の上で静かにちょこんと座る柴犬の子犬の頭を撫でていると、心が浄化されていくようだ。
「鈴木、癒されるな」
「本当に」
俺の隣で鈴木は膝の上に座って、ゴロゴロと喉を鳴らしているペルシャ猫のふわふわの毛を撫でている。
「ペルシャ猫って、触られるの嫌いじゃなかったけ?」
「そうなんですか?」
俺と鈴木が話していると、定員が近寄ってきて、
「そうなんです。特にその子は触られるのが本当に嫌いで。だからそんなに嬉しそうに撫でられている姿は珍しいんですよ」
そういいながら、そっと鈴木の膝の上から子猫を抱き上げる。
「すみません。この子、新しい家族が決まってしまって……」
「そうなんですね」
寂しそうに子猫に最後の一撫でする鈴木を見て、どうしてもその子を連れて帰ってあげたくなるが、その子猫は新しい家族が決まっているし、俺たちが住んでいるマンションはペット禁止だ。
「ごめんな」
「え?」
「本当はあの子、連れて帰りたかったんだろ?」
新しい家族に抱かれる子猫を見送る鈴木の横顔が寂しそうだ。
「そうですね。でも俺、子猫の育て方勉強不足ですし、マンションもペット禁止ですしね。だからこれからは子猫の育て方勉強して、次住むアパートはペット可がいいです」
ー次住む場所はペット可のところがいいですー
鈴木は次に住む場所を探している。
胸がずきんとした。
そうだ。鈴木は次住む場所を探すべきだ。
俺が一緒にいたいからって、縛り付けたらだめなんだ。
「今すぐって訳じゃないけど、今度一緒に不動産屋に行くか?」
「え?」
驚いたように鈴木が俺を見、そして視線を落とす。
「そうですね……。俺がいたら迷惑ですよね」
ー違う!ー
そう言いかけて、やめた。
違うと言って、俺はどうしたいんだ。
迷惑やない。じゃあなんなんだ?
鈴木が1人で暮らしたいなら、それがいいじゃないか。
安心して住めるならいいじゃないか。
一旦止めていた調査の話。再調査を頼もう。
土曜だが2人で一緒に朝食を作って食べ、その後は以前から鈴木がプランターでパクチーやバジルなどの家庭菜園をしたいと言っていたので、車でホームセンターに行こうと言っていたのだ。
どうやら受付の谷川という男性社員と仲が良くなったらしく、色々話している中で初心者でもできる家庭菜園の話を聞いたらしい。
「俺、趣味がないので趣味を作りたくて」
「趣味はわざわざ作るものなのか?」
と聞くと、
「無趣味の内藤さんには言われたくないです」
と言われ、俺は本当に無趣味なので言い返す言葉がない。
食後、掃除と洗濯を済ませホームセンターに行った。
俺はホームセンターに来たのが初めてで、子供のようにあたりをキョロキョロしてしまう。
「同じホームセンターなのに、ペット館とその他の物が置いてある館にわかれているぞ」
テンション高めにいうと
「そうですね」
俺の反応が面白いというようにクスリと笑いながら、鈴木は答える。
「なぁ鈴木、園芸用品見る前にペット館行ってもいいか?」
「いいですけど、ペット飼ってませんよね」
「そうなんだけど、今日は『子犬や子猫とのふれあい広場』が開催されるって書いてある!」
俺は『子犬や子猫との触れ合い広場開催』と書いてあるポスターを指差す。
俺は動物、特に犬や猫が大好きだ。
小さい頃は母さんが動物の毛のアレルギーで飼えず、一人暮らしをするようになってから飼おうと思ったが、生活時間が不規則で出張も多かったので飼えなかった。
だからこの『子犬や子猫との触れ合い広場』には行きたい。
たくさん触れ合いたい!
「内藤さん、子犬や子猫と触れ合いたいんですか?」
鈴木の問いかけに、俺は大きく2回頷いた。
「ぷっ!いいですよ。先に行きましょう」
随分年下の鈴木に吹き出されたが、子犬と子猫触れ合えるならそんなのどうでもいい。
今日は存分に愛でて撫でて癒されるぞ!
頭がポワポワする。
俺の膝の上で静かにちょこんと座る柴犬の子犬の頭を撫でていると、心が浄化されていくようだ。
「鈴木、癒されるな」
「本当に」
俺の隣で鈴木は膝の上に座って、ゴロゴロと喉を鳴らしているペルシャ猫のふわふわの毛を撫でている。
「ペルシャ猫って、触られるの嫌いじゃなかったけ?」
「そうなんですか?」
俺と鈴木が話していると、定員が近寄ってきて、
「そうなんです。特にその子は触られるのが本当に嫌いで。だからそんなに嬉しそうに撫でられている姿は珍しいんですよ」
そういいながら、そっと鈴木の膝の上から子猫を抱き上げる。
「すみません。この子、新しい家族が決まってしまって……」
「そうなんですね」
寂しそうに子猫に最後の一撫でする鈴木を見て、どうしてもその子を連れて帰ってあげたくなるが、その子猫は新しい家族が決まっているし、俺たちが住んでいるマンションはペット禁止だ。
「ごめんな」
「え?」
「本当はあの子、連れて帰りたかったんだろ?」
新しい家族に抱かれる子猫を見送る鈴木の横顔が寂しそうだ。
「そうですね。でも俺、子猫の育て方勉強不足ですし、マンションもペット禁止ですしね。だからこれからは子猫の育て方勉強して、次住むアパートはペット可がいいです」
ー次住む場所はペット可のところがいいですー
鈴木は次に住む場所を探している。
胸がずきんとした。
そうだ。鈴木は次住む場所を探すべきだ。
俺が一緒にいたいからって、縛り付けたらだめなんだ。
「今すぐって訳じゃないけど、今度一緒に不動産屋に行くか?」
「え?」
驚いたように鈴木が俺を見、そして視線を落とす。
「そうですね……。俺がいたら迷惑ですよね」
ー違う!ー
そう言いかけて、やめた。
違うと言って、俺はどうしたいんだ。
迷惑やない。じゃあなんなんだ?
鈴木が1人で暮らしたいなら、それがいいじゃないか。
安心して住めるならいいじゃないか。
一旦止めていた調査の話。再調査を頼もう。
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