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思い出のクッキー ⑥
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午後からの仕事も定時に終わり、保育園に千景を迎えに行く。
どんなに仕事が忙しくて大変でも、保育園に迎えに行った時、満面の笑みで「ママ!」と瑞稀の元にかけてくる千景を見ると、一日の疲れなんて始めからなかったかのようになる。
「千景、今日は保育園でなにして遊んだの?」
千景と夕食を食べながら、今日あった話を聞くのが瑞稀は大好きだ。
「今日はね、しずくくんとお外で遊んだりパズルしたよ。あとねしずくくんのママとお腹の赤ちゃんと、すばるくんに折り紙折ってあげたんだ」
昴くんて…副社長のことだよね。
雫の影響か、千景の中で昴は『雫くんのおじさん』ではなく、『昴くん』になっているようで、瑞稀は苦笑いした。
「みんなよろこんでくれるかな?」
千景は心配そうに視線を落とす。
「千景は一生懸命作ったんでしょ?」
「うん。つくった」
「じゃあ雫くんのママも赤ちゃんも、昴くんもみんな喜んでくれると思うよ。ママも千景が作ってくれたものは、なんでも嬉しいよ」
千景は瑞稀に頭を撫でられて、くすぐったそうに笑った。
「あ!そうだ!」
瑞稀は鞄の中から、晴人からもらったクッキーを取り出す。
「ママのお仕事先の人がね、クッキーくれたんだけど、ご飯全部食べられたら、ママと一緒に食べよっか」
「え!?いいの!?」
夕飯の後にお菓子を食べるのは特別な時だけ。
「せっかくいただいたから、今日だけ特別ね」
「やった~!」
それまで千景はカレーに入った苦手なにんじんを、こっそり皿のすみに避けていたが、クッキーが登場してからは、渋い顔をしながらも懸命に人参を食べる。
そういえば晴人さんもにんじんが苦手で、カレーの時こっそりお皿の隅に避けてたっけ。
そんなことを思い出し、
親子って好き嫌いも似るのかな?
と、笑ってしまった。
大急ぎでカレーとサラダを食べた千景は、ソワソワしながらクッキーを待つ後姿が可愛すぎて、瑞稀はこっそりスマホで写真を撮る。
「はい、ど~ぞ」
千景の前には皿にのせたクッキーとコップに入った牛乳を、その向かいに座る瑞稀の前にはカフェオレを置いた。
「召し上がれ」
「いただきま~す」
千景が手を合わせ、個包装のクッキーを開ける。
一口パクリと食べるっと、ぱぁ~と顔を輝かせ、もう一口食べる。
皿にのせられていたクッキーをペロリと食べると、口には出さないが「もう一つ欲しいな」と言う目で、瑞稀をチラリと見る。
どんなに仕事が忙しくて大変でも、保育園に迎えに行った時、満面の笑みで「ママ!」と瑞稀の元にかけてくる千景を見ると、一日の疲れなんて始めからなかったかのようになる。
「千景、今日は保育園でなにして遊んだの?」
千景と夕食を食べながら、今日あった話を聞くのが瑞稀は大好きだ。
「今日はね、しずくくんとお外で遊んだりパズルしたよ。あとねしずくくんのママとお腹の赤ちゃんと、すばるくんに折り紙折ってあげたんだ」
昴くんて…副社長のことだよね。
雫の影響か、千景の中で昴は『雫くんのおじさん』ではなく、『昴くん』になっているようで、瑞稀は苦笑いした。
「みんなよろこんでくれるかな?」
千景は心配そうに視線を落とす。
「千景は一生懸命作ったんでしょ?」
「うん。つくった」
「じゃあ雫くんのママも赤ちゃんも、昴くんもみんな喜んでくれると思うよ。ママも千景が作ってくれたものは、なんでも嬉しいよ」
千景は瑞稀に頭を撫でられて、くすぐったそうに笑った。
「あ!そうだ!」
瑞稀は鞄の中から、晴人からもらったクッキーを取り出す。
「ママのお仕事先の人がね、クッキーくれたんだけど、ご飯全部食べられたら、ママと一緒に食べよっか」
「え!?いいの!?」
夕飯の後にお菓子を食べるのは特別な時だけ。
「せっかくいただいたから、今日だけ特別ね」
「やった~!」
それまで千景はカレーに入った苦手なにんじんを、こっそり皿のすみに避けていたが、クッキーが登場してからは、渋い顔をしながらも懸命に人参を食べる。
そういえば晴人さんもにんじんが苦手で、カレーの時こっそりお皿の隅に避けてたっけ。
そんなことを思い出し、
親子って好き嫌いも似るのかな?
と、笑ってしまった。
大急ぎでカレーとサラダを食べた千景は、ソワソワしながらクッキーを待つ後姿が可愛すぎて、瑞稀はこっそりスマホで写真を撮る。
「はい、ど~ぞ」
千景の前には皿にのせたクッキーとコップに入った牛乳を、その向かいに座る瑞稀の前にはカフェオレを置いた。
「召し上がれ」
「いただきま~す」
千景が手を合わせ、個包装のクッキーを開ける。
一口パクリと食べるっと、ぱぁ~と顔を輝かせ、もう一口食べる。
皿にのせられていたクッキーをペロリと食べると、口には出さないが「もう一つ欲しいな」と言う目で、瑞稀をチラリと見る。
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