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第二章
俺のスパダリははギャップがすごい ‼︎‼︎②
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その日の仕事は意外と早く終わり、嬉しいはずが時間を持て余す感じがし、
次、もし蓮が真司の家に来た時用のコーヒー豆を買いに行こうと、自分に言い訳をしつつ、本当は偶然でも蓮に会えるかもしれないと、足は自然と蓮の会社の近くにあるコーヒーショップに向かっていると、
「佐々木さん…ですよね…」
コーヒーショップの近くで、不意に名前を呼ばれて振り返る。
確かこの人…
以前、蓮とこのコーヒーショップで会った時にいた、後輩イケメンくんだ。
イケメンくんは間近で見ると、ますます素敵だ。
柔らかそうな髪は、程よく茶色に色付き、清潔感溢れる髪型だ。
長いまつ毛に、くりくりとした瞳で、どのパーツもバランス良く、とてもイケメンだ。
仕立てのいいスーツを着こなし、背丈は真司より高く、蓮より少し低めだ。
「あ…立花さんの会社の方ですよね」
もう少しで『蓮』と呼びそうになったが、寸前で『立花さん』と言う方ができて、真司はホッとした。
「きちんとお話しさせていただくのは、今がはじめてですよね。私は大山といいます。チラッとしかお会いしていないのに、覚えててくださったんですね。嬉しいです」
大山が微笑む。
「とても素敵な方だったので、よく覚えています」
「素敵だなんてそんな」
謙遜している姿も、嫌味がない。
「大山さん、こちらの方は…?」
大山の背後から、20代前半ごろのかわいい女性が、ひょこっと顔を出した。
「あ、こちら佐々木さん」
大山は丁寧に真司を女性に紹介した。
「林です。はじめまして」
「…はじめまして…佐々木です…でも、どうして大山さんは私の名前をご存知なんですか⁇」
大山さんとは話しをしていないし…
「私達は立花さんと同じ会社で働いていまして…それで、立花チーフから聞いたんです」
「そうだったんですね」
同じチーム。
なるほど、それで…
「佐々木さんが帰られた後、いつも冷静なチーフが佐々木さんの事を探されていたんですよ」
林がその時のことを思い出して、クスッと笑う。
蓮が自分の事を探してくれていたと思うだけで、顔がにやけそうだ。
「あ、そうだ。チーフと佐々木さんって、飲み仲間なんですよね」
「え⁉︎」
林の発した言葉に驚き、声が出てしまった。
蓮は俺の事を飲み仲間だと言ってあるんだ…
蓮に直接『その他大勢の飲み仲間』と言われたようで、少し胸が痛んだ。
「そうなんです」
真司は蓮と話を合わせる。
「でも、羨ましいです。私なんて仕事の事以外で立花さんと飲みに行くなんてないので…」
「たまになので、そんなにはご一緒してないですよ」
真司は笑顔で対応する。
「チーフ、彼氏さんと別れられてから、私たちの飲みの誘いも来てくださってたのに、最近は一人飲みをされるみたいだったので…」
‼︎‼︎
あまりの驚きに、真司は頭が真っ白になる。
「もしかしたら、どなたかとお付き合われてるんじゃないかって噂になっていたんですが、佐々木さんと飲まれてたんですね」
林は、そんな真司の様子に気づいていない。
何か言わないと…
何か言わないと…
でも、どうしてみんなは蓮が前付き合っていたのは男だと知ってる?
真司は働かない頭で、いろんな事がぐるぐる回る。
「佐々木さんは何かご存知なんじゃないですか?佐々木さんはチーフの元彼さんともお知り合いなんですか?」
林は真司の方にグイグイ近づいてくる。
「林さん。噂話をすぐに口にするもんじゃないよ」
優しい言い口だか、林の言葉を大山がたしなめる。
「はぁーい」
林の反省したのかしてないのか、わからない返事が返ってきた。
「本当にわかってる?…すみません。佐々木さん。プライベートな事なのに。林には後でしっかり言っておきます」
大山の方が申し訳なさそうだ。
「…いえ…お気になさらないでください…それでは、私はこれで…」
「あ…」
真司は大山の言葉を待たずに、その場を去った。
次、もし蓮が真司の家に来た時用のコーヒー豆を買いに行こうと、自分に言い訳をしつつ、本当は偶然でも蓮に会えるかもしれないと、足は自然と蓮の会社の近くにあるコーヒーショップに向かっていると、
「佐々木さん…ですよね…」
コーヒーショップの近くで、不意に名前を呼ばれて振り返る。
確かこの人…
以前、蓮とこのコーヒーショップで会った時にいた、後輩イケメンくんだ。
イケメンくんは間近で見ると、ますます素敵だ。
柔らかそうな髪は、程よく茶色に色付き、清潔感溢れる髪型だ。
長いまつ毛に、くりくりとした瞳で、どのパーツもバランス良く、とてもイケメンだ。
仕立てのいいスーツを着こなし、背丈は真司より高く、蓮より少し低めだ。
「あ…立花さんの会社の方ですよね」
もう少しで『蓮』と呼びそうになったが、寸前で『立花さん』と言う方ができて、真司はホッとした。
「きちんとお話しさせていただくのは、今がはじめてですよね。私は大山といいます。チラッとしかお会いしていないのに、覚えててくださったんですね。嬉しいです」
大山が微笑む。
「とても素敵な方だったので、よく覚えています」
「素敵だなんてそんな」
謙遜している姿も、嫌味がない。
「大山さん、こちらの方は…?」
大山の背後から、20代前半ごろのかわいい女性が、ひょこっと顔を出した。
「あ、こちら佐々木さん」
大山は丁寧に真司を女性に紹介した。
「林です。はじめまして」
「…はじめまして…佐々木です…でも、どうして大山さんは私の名前をご存知なんですか⁇」
大山さんとは話しをしていないし…
「私達は立花さんと同じ会社で働いていまして…それで、立花チーフから聞いたんです」
「そうだったんですね」
同じチーム。
なるほど、それで…
「佐々木さんが帰られた後、いつも冷静なチーフが佐々木さんの事を探されていたんですよ」
林がその時のことを思い出して、クスッと笑う。
蓮が自分の事を探してくれていたと思うだけで、顔がにやけそうだ。
「あ、そうだ。チーフと佐々木さんって、飲み仲間なんですよね」
「え⁉︎」
林の発した言葉に驚き、声が出てしまった。
蓮は俺の事を飲み仲間だと言ってあるんだ…
蓮に直接『その他大勢の飲み仲間』と言われたようで、少し胸が痛んだ。
「そうなんです」
真司は蓮と話を合わせる。
「でも、羨ましいです。私なんて仕事の事以外で立花さんと飲みに行くなんてないので…」
「たまになので、そんなにはご一緒してないですよ」
真司は笑顔で対応する。
「チーフ、彼氏さんと別れられてから、私たちの飲みの誘いも来てくださってたのに、最近は一人飲みをされるみたいだったので…」
‼︎‼︎
あまりの驚きに、真司は頭が真っ白になる。
「もしかしたら、どなたかとお付き合われてるんじゃないかって噂になっていたんですが、佐々木さんと飲まれてたんですね」
林は、そんな真司の様子に気づいていない。
何か言わないと…
何か言わないと…
でも、どうしてみんなは蓮が前付き合っていたのは男だと知ってる?
真司は働かない頭で、いろんな事がぐるぐる回る。
「佐々木さんは何かご存知なんじゃないですか?佐々木さんはチーフの元彼さんともお知り合いなんですか?」
林は真司の方にグイグイ近づいてくる。
「林さん。噂話をすぐに口にするもんじゃないよ」
優しい言い口だか、林の言葉を大山がたしなめる。
「はぁーい」
林の反省したのかしてないのか、わからない返事が返ってきた。
「本当にわかってる?…すみません。佐々木さん。プライベートな事なのに。林には後でしっかり言っておきます」
大山の方が申し訳なさそうだ。
「…いえ…お気になさらないでください…それでは、私はこれで…」
「あ…」
真司は大山の言葉を待たずに、その場を去った。
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