愛され南田くんは、寂しがり屋の甘えたです 〜無自覚甘えたが止まりません〜

健の実家 ⑩

「今日はありがとうございました。とても楽しかったです」
　玄関で優斗が言うと、
「いいえ、こちらこそ優斗くんに会えて嬉しかったわ」
「またいつでも遊びにおいで」
　晴美と一也。
「優斗くん、この子のこと、よろしくね」
「斗真と沢山遊んでくれてありがとう。今度は我が家に来てくれると嬉しいな」
「優斗お兄ちゃん、また遊ぼうね」
　と、よし乃と聡希と斗真。
「はい！ぜひ！」
「また、寄せてもらうよ」
　そういうと、2人は健の実家を出た。


「優斗、今日はありがとう。疲れただろ？」
　駅までの道、優斗と健は手を繋ぐ。
「ううん、みなさん、いい人達ばかりで凄く楽しかった」
　夕日に照らされながら、優斗は笑う。
「でも今日は斗真に優斗取られた感は強いな～」
　公園から帰っても、斗真はずっと優斗にべったり。
「あはは、俺のこと珍しかっただけだよ」
「いや、優斗が優しいから。あのべったり具合、斗真であっても許し難い」
　思い出したのか、健の鼻息は荒い。
「もしかして健…、ヤキモチ妬いた？」
「妬いた」
　健は即答する。
「あはは。じゃあ、家に帰ったら、俺にべったりでいいよ。膝枕もしてあげる」
「いいのか！？」
　目をキラキラさせる健は、さっきまでの鼻息荒くしていた人とは思えないほど、ご機嫌だ。
「でもHなことはなしだよ」
「！！」
　先を読まれたのか！？と言うように、健は目を見開き、そして誰が見てもわかるぐらいガッカリした。

そんなにガッカリしなくても。

　小さい子のように落ち込む健を、優斗は可愛いと思ってしまう。

「もう、しかたないな…。キスぐらいなら…いいよ」
　キラリと健の瞳が輝く。
「！舌は入れちゃ、ダメだからね！」
　また先を読まれたのか！？と健は目を見開き、またガクッと肩を落とした姿を見て、優斗は笑った。