愛され南田くんは、寂しがり屋の甘えたです 〜無自覚甘えたが止まりません〜

これで大丈夫？ ①

とは言ったものの…。

　家に帰ってきて、クローゼットから指定された服を取り出し着てみたが、これは…、

女の子に見えない？

　姉たちの趣味で、優斗の上着は全てオーバーサイズ。
　しかも最近、美容院に行く時間が取れず、今の優斗のヘアースタイルが女性のショートカットっぽくなっているのも、原因なのかも知れない。

本当にこれでいい？
もし違う感じの方がいいなら、今日姉さんたちの店に行かないと、もう買いに行く時間がないよ…。
健、仕事中だけど、写メ送って見てもらおう。

　優斗は全身鏡で自撮りをし、『どう思う？』と健にメッセージを送る。

一応、姉さんの店に行く用意もしておこうかな？

　優斗がそのままの格好で出かけようとした時、優斗のスマホが鳴り、発信者は健だ。

「もしもし？」
　優斗が電話に出た途端、
『その服で、出かけるのか？』
　と、健。
「姉さんの店に、服を買いに行こうかと思って」
『その格好で！？』
「う…うん。変…かな？」
『変じゃない！というか、可愛すぎて心配』
「心配？」

変な格好じゃないのに、心配ってどう言うこと？

　スマホを持ちながら、優斗が首を傾げる。
『だって、そんな可愛い格好して出掛けたら、絶対声かけられるだろ？』
「そうなの？」
『そう！だから危なくて心配なんだ。でもどうして急に買い物？』
「実はね…」
　優斗は大輔とマルコとの話を健にした。
『なるほど、そういう事な。大輔のやつ…』
「健はどう思う？やっぱり変えた方がいいかな？」
『大輔の希望っていうのが引っかかるが、優斗の良さが出てて、俺はいいと思うよ』
「じゃあ、この服で行くね」
　健に褒められて、優斗はえへへと照れわらいをした。
『あ、優斗、実はお願い事が…』
「お願いごと？」
『その服、俺が帰るまで、着替えないでて欲しいんだ』
「？意図がよくわからないけど…。着替えないでおくね。仕事中にごめんね、早く帰ってきてくれるの…待ってる」
『早く帰る！絶対に早く帰る！』
　そう言うと健は電話を切った。

健のご家族と会う日の服装は決まった。
後は、手土産の用意をすることと…。
　
　当日までのシミュレーションを優斗は頭の中でする。

でも健は、どうしてあんなお願いしたんだろう…？

　優斗はどうしても、そこだけはわからなかった。