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リーダー研修 ④
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ーごめん。今日も帰りが遅くなるー
そう健からのメールがあったのは、仕事が休みだった優斗が『今日は健の好きなものばっかり作ろう!』と意気込み、献立をたて、材料のメモを片手に、スーパーで買い物をしていた時だった。
今日は早く帰れるかもって言ってたのに…。
優斗はカゴに入っている食材を見て、
ー今日の晩御飯はどうする?家で食べる?ー
と打つと、ピリリリと優斗のスマホが鳴った。
「もしもし」
『あ、優斗、今電話大丈夫?』
スマホ越しに健の声が聞こえただけで、優斗は嬉しくなる。
「うん大丈夫!」
元気に答えると、
『今日は早く帰るって言ってたのに、また帰りが遅くなってごめんな』
申し訳なさそうな健の声がした。
『夕食の件だけど、外で食べてくるよ』
「…そっか…」
少し予想はしていたが、健から言われてしまうと、やはり寂しい。
「健、あんまり無理しないでね」
『ありがとう。あ~、優斗不足で倒れそう。今日のミーティングは出ないって、有馬に言おうかな?』
「え…?」
健の言葉に優斗は耳を疑う。
それってそのミーティングに有馬さんもいるってこと?
今回のコラボ企画、ファッション系とすると聞いていたし、有馬が働くブランドと一緒にすることも健から聞いて知っていた。
だが、そこに有馬が参加しているとは聞いていない。正確には、優斗はそこに有馬が参加しているとは思っておらず、健に確認していなかった。なぜなら優斗が知る限りでは、有馬は店長ではないからだ。
「有馬さんも…一緒…?」
『ああ、一緒だよ』
「有馬さんってリーダーだったの?」
『最近昇格したみたいだな』
健は呑気そうに話す。
『有馬が働いてるブランドの本社が百貨店《店》の近くにあるから、よく会議室借りてるんだよ』
「2人…だけで…?」
『集まれるメンバーだけで集まるから、2人だけって時もあるな』
「!!!!!」
優斗は何も言えなかった。
2人だけで会ってる…。
仕事の打ち合わせだし、ずっと2人っきりってわけじゃない。
でも、この前は有馬さんのこと『優美ちゃん』って呼ぶし、今日は『有馬』って呼び捨て。
同じ百貨店で働いてるからって、そんな呼び方しないし、怖くて聞けなかったけど、やっぱりそんなに仲がいいの?
やっぱり有馬さんと健って、親しい間柄なの?
「今日は…2人っきり…?」
ざわつく胸元を、優斗はぎゅっと握り締めながらも、普通を装って話す。
『いや、今日は仕事が終わったメンバーから集まる予定』
「そっか…」
2人っきりじゃないと聞いて少しホッとしたが、やはり胸のモヤモヤは晴れない。
『ごめんな優斗、この埋め合わせは絶対にするから』
「絶対だからね!じゃあ無理しないでね」
本当は聞きたいこともあったし、落ち込んでもいたが、優斗は健に変に気を使わせ、仕事の邪魔をしないようにと努めて元気よく答えた。
『ああ、ありがとう』
そういうと健は電話を切った。
そして優斗はカゴに入っていた食材を全て元あった場所に戻すと、何も買わずスーパーを出た。
そう健からのメールがあったのは、仕事が休みだった優斗が『今日は健の好きなものばっかり作ろう!』と意気込み、献立をたて、材料のメモを片手に、スーパーで買い物をしていた時だった。
今日は早く帰れるかもって言ってたのに…。
優斗はカゴに入っている食材を見て、
ー今日の晩御飯はどうする?家で食べる?ー
と打つと、ピリリリと優斗のスマホが鳴った。
「もしもし」
『あ、優斗、今電話大丈夫?』
スマホ越しに健の声が聞こえただけで、優斗は嬉しくなる。
「うん大丈夫!」
元気に答えると、
『今日は早く帰るって言ってたのに、また帰りが遅くなってごめんな』
申し訳なさそうな健の声がした。
『夕食の件だけど、外で食べてくるよ』
「…そっか…」
少し予想はしていたが、健から言われてしまうと、やはり寂しい。
「健、あんまり無理しないでね」
『ありがとう。あ~、優斗不足で倒れそう。今日のミーティングは出ないって、有馬に言おうかな?』
「え…?」
健の言葉に優斗は耳を疑う。
それってそのミーティングに有馬さんもいるってこと?
今回のコラボ企画、ファッション系とすると聞いていたし、有馬が働くブランドと一緒にすることも健から聞いて知っていた。
だが、そこに有馬が参加しているとは聞いていない。正確には、優斗はそこに有馬が参加しているとは思っておらず、健に確認していなかった。なぜなら優斗が知る限りでは、有馬は店長ではないからだ。
「有馬さんも…一緒…?」
『ああ、一緒だよ』
「有馬さんってリーダーだったの?」
『最近昇格したみたいだな』
健は呑気そうに話す。
『有馬が働いてるブランドの本社が百貨店《店》の近くにあるから、よく会議室借りてるんだよ』
「2人…だけで…?」
『集まれるメンバーだけで集まるから、2人だけって時もあるな』
「!!!!!」
優斗は何も言えなかった。
2人だけで会ってる…。
仕事の打ち合わせだし、ずっと2人っきりってわけじゃない。
でも、この前は有馬さんのこと『優美ちゃん』って呼ぶし、今日は『有馬』って呼び捨て。
同じ百貨店で働いてるからって、そんな呼び方しないし、怖くて聞けなかったけど、やっぱりそんなに仲がいいの?
やっぱり有馬さんと健って、親しい間柄なの?
「今日は…2人っきり…?」
ざわつく胸元を、優斗はぎゅっと握り締めながらも、普通を装って話す。
『いや、今日は仕事が終わったメンバーから集まる予定』
「そっか…」
2人っきりじゃないと聞いて少しホッとしたが、やはり胸のモヤモヤは晴れない。
『ごめんな優斗、この埋め合わせは絶対にするから』
「絶対だからね!じゃあ無理しないでね」
本当は聞きたいこともあったし、落ち込んでもいたが、優斗は健に変に気を使わせ、仕事の邪魔をしないようにと努めて元気よく答えた。
『ああ、ありがとう』
そういうと健は電話を切った。
そして優斗はカゴに入っていた食材を全て元あった場所に戻すと、何も買わずスーパーを出た。
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