スーグラ王女の憂鬱

岡暁舟

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憂鬱

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憂鬱と言う言葉を連呼するたびに、私は少しでも救われたような心地がするわけでございます。

私の人生に、楽しみなんて全くないわけでございますから。私は王女として、たくさんの人を救わなければなりません。それは役割なのでございます。ですが、たくさんの人を救えば救うほど、私の命はどんどん短くなっていくような気がするのでございます。そんな私の思いに気付いてくれたある方がいらっしゃいました。

「王女様のことが、私は気に入ってしまいました。ですから、できれば私と婚約していただきたいのですが」

そんなことを突然言われても、私としては困ってしまうわけでございます。ですが、その方はどうも本気なようでございました。

今まで、誰かに好きだと言われた事はありませんでした。そして、私はこのまま一生誰とも関わらずに死んでいくものだとばかり思っておりました。ですから、そんな私にとって、このような話は非常に面白いことだったのです。

「そんなことを言われてしまったら、私も受け入れざるをえませんね。なんだか、私は最初からあなたのことが好きだったような気がするんです」

「それはよかったですね。両想いと言うことですか。私もその話を聞いて、とても嬉しく思うのです‼︎」

こうして、私はあの方と婚約することになりました。そういえば、あの方は最初に会ったとき、なんだか元気がないように思いました。ですが、私との交際を重ねていくうちに、あの方はどんどん元気になっているような気がしました。

「これから、私はどんどん幸せになっていきますね。あなたと出会えて、本当によかった……」


「きっと、私もそうだと思いますわ」

こんなやりとりを繰り返しているうちに、私は本当に、このまま人生が終わるような気がするわけでございました。ですが、後悔はしていませんでした。一度だけでも、このようにして人と触れ合うことができたわけでございますから。
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