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 トスカーナ様が私にプロポーズしたのは、世界で一番悲しそうな顔をしている私を救うため……王女様の言葉を借りれば、つまりはそういうことだった。なるほど、つまりは同情なのね……。

「なんて、素敵なんでしょうっ!」

 私は話し始めた。

「私は今まで、辛気臭いと言われて、みんなから避けられていたんですよ。まあ、そうですよね。普通に考えて。でもね、愛しのトスカーナ様は私のことを見放さなかった!ああっ、それはまるで、神様のような優しさではありませんか!!!」

「あなたって……ちょっとしたことで、すぐに性格が変わるのね?」

「ええ、よく言われますわっ!!!」

「そうなんだっ……それで、私は解放してくれるのかしらっ?」

「ええっと、内容によってですね……」

「そこは譲らないのか……」

「具体的にどんな治療内容だったのか、教えて頂きませんと……」

「……それを私の口から言わせるの?」

「ええっ、例え王女様であっても……私とトスカーナ様の間に割って入ったわけですから……許しはしませんよ?」

「ああっ、これは、ひょっとして地雷を踏んだのかしら?」

「そういうことですっ!」

 王女様はうつ向いていた。

「分かった、話すわよ。トスカーナ殿はね、母性みたいなものを大事に考えているのよ。つまりね……私のことを後ろから抱きしめて……愛の言葉を囁いてくれる……リラックスしてくださいって……そして、別に私から迫ったわけじゃないからね!そのっ、キキキ……キスっを!!!」

 なんだか、これ以上王女様の話を聞く気力が失せてしまった。本当だったら……私刑としてギチョンギチョンに痛みつけてもいいのだろうけど、流石に可哀想だと思ったので、顔面を一発軽く殴るだけで終わりにした。

「ちょっと……なんてことをっ!!!」

「ええっと……浮気するような悪い悪いお嬢様には…これくらいの仕打ちは当然だと思いますが?」


 私はニコニコ……ニコニコしているから、王女様は余計に私のことを怖がったのかもしれない。

「おいおい、エリザベート……さすがにまずいんじゃないのか?」

 フロイドも心配しているようだった。

「大丈夫よ!誰がなんと言おうと、トスカーナ様が私を愛してくれているんだったら、このまま死んでも構わないと思っているから!と言うか……これで、私のことを糾弾するんだったら、私だって、このまま黙っているわけにはいかないからね……」


 王女様は殴られたまま、王宮にお帰り頂くこととした。あまりにも私のことを恐れてしまい、王宮に戻ってから、今回の一件については何も話さなかったそう!!!

 まあ、当然のことだよね。だって、全ては王女様の自業自得なのだから……。
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