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その2
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「理由を御聞かせ願いましょうか?」
私も少し怒りました。だって、私の儚い夢が粉々に壊れてしまったのです。王子という身分なんて関係ありません。これはある男とある女の問題なのです。
「どうしてって……原因は君にあるんじゃないのかい?」
アレックス様は、私に非があるとおっしゃいました。私は何が何だか分かりませんでした。
「その顔は……しらばっくれるつもりかい?」
しらばっくれるもなにも、私には分からなかったのですから、仕方がありませんでした。
「そうか……それならば証拠を見せようじゃないか。ラック!入って来るんだ!」
アレックス様の呼びかけに答えて、顔なじみの男が部屋に入ってきました。
「君の隣の席に座っているラックだ。彼が全て打ち明けてくれたよ……」
ラックは、こくこくと首を縦に振りました。
「打ち明けたって……何をですの?」
「何をって……君という人は…………」
アレックス様は完全に呆れていました。何か勘違いをなさっているのだと思いました。だって、私は確かにラックという男を知っておりますが、それ以上の関係はありませんでしたから。単なるクラスメイトに過ぎなかったのです。
「私は……大変な罪を犯してしまいました!!!」
突然、ラックが大声で謝り出しました。アレックス様の方を見て土下座しました。
「いいんだ。人はときに過ちを犯す。それを謙虚に認め、正すことこそが人の生きる道なのだ。誰かさんとは違ってな……」
アレックス様は一度私の方を見ました。誰かさん、というのは間違いなく私のことでした。
「さあ、正直に言ってみたまえ。君ら二人の関係について、詳らかに隠すことなく話してくれたまえ」
私は何だか嫌な予感がしました。
「申し訳ございません!!!私はジュリアに恋をしてしまいました。思い返してみれば、愚かなことでした。でも……アレックス様がジュリアと仲睦まじくお話なさっているのを見ていると、なんだかジュリアが素敵に見えて……私はジュリアとキスをしてしまいました!!!」
キス……さあ、一体何の話でしょうか?私には全く分かりませんでした。
「お待ちください!この男の言っていることは、全てウソです!私はこんな男とキスしたことなんて一度もありません!!!」
「こんな男だって?ジュリア……君はそういう人だったのか!あの時、キスをしながら、愛している、って何度も何度も囁いたじゃないか?あれは全部……嘘だったのか?」
「だから、何の話ですか!!!」
「待ちなさい」
アレックス様が私たちのいさかいを止めました。
「やはり……君は相当の浮気癖があるようだな……」
アレックス様はこう言いました。
「そんなことはありません!これは何かの間違いです!!!」
私はすかさず反論しました。でも、アレックス様は私の話を聞いてはくれませんでした。この日から、私は王子の愛に背き浮気癖の強い不潔な女と評されるようになりました。
私も少し怒りました。だって、私の儚い夢が粉々に壊れてしまったのです。王子という身分なんて関係ありません。これはある男とある女の問題なのです。
「どうしてって……原因は君にあるんじゃないのかい?」
アレックス様は、私に非があるとおっしゃいました。私は何が何だか分かりませんでした。
「その顔は……しらばっくれるつもりかい?」
しらばっくれるもなにも、私には分からなかったのですから、仕方がありませんでした。
「そうか……それならば証拠を見せようじゃないか。ラック!入って来るんだ!」
アレックス様の呼びかけに答えて、顔なじみの男が部屋に入ってきました。
「君の隣の席に座っているラックだ。彼が全て打ち明けてくれたよ……」
ラックは、こくこくと首を縦に振りました。
「打ち明けたって……何をですの?」
「何をって……君という人は…………」
アレックス様は完全に呆れていました。何か勘違いをなさっているのだと思いました。だって、私は確かにラックという男を知っておりますが、それ以上の関係はありませんでしたから。単なるクラスメイトに過ぎなかったのです。
「私は……大変な罪を犯してしまいました!!!」
突然、ラックが大声で謝り出しました。アレックス様の方を見て土下座しました。
「いいんだ。人はときに過ちを犯す。それを謙虚に認め、正すことこそが人の生きる道なのだ。誰かさんとは違ってな……」
アレックス様は一度私の方を見ました。誰かさん、というのは間違いなく私のことでした。
「さあ、正直に言ってみたまえ。君ら二人の関係について、詳らかに隠すことなく話してくれたまえ」
私は何だか嫌な予感がしました。
「申し訳ございません!!!私はジュリアに恋をしてしまいました。思い返してみれば、愚かなことでした。でも……アレックス様がジュリアと仲睦まじくお話なさっているのを見ていると、なんだかジュリアが素敵に見えて……私はジュリアとキスをしてしまいました!!!」
キス……さあ、一体何の話でしょうか?私には全く分かりませんでした。
「お待ちください!この男の言っていることは、全てウソです!私はこんな男とキスしたことなんて一度もありません!!!」
「こんな男だって?ジュリア……君はそういう人だったのか!あの時、キスをしながら、愛している、って何度も何度も囁いたじゃないか?あれは全部……嘘だったのか?」
「だから、何の話ですか!!!」
「待ちなさい」
アレックス様が私たちのいさかいを止めました。
「やはり……君は相当の浮気癖があるようだな……」
アレックス様はこう言いました。
「そんなことはありません!これは何かの間違いです!!!」
私はすかさず反論しました。でも、アレックス様は私の話を聞いてはくれませんでした。この日から、私は王子の愛に背き浮気癖の強い不潔な女と評されるようになりました。
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