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「いやあ、実験はうまくいったということですね!!!」

 どういう具合だか分からないが、私は今すぐフンボルトという男を殴りたくなった。どうして、これほどまでに暴力的になってしまったのか……私には分からなかった。

「実験って……つまりは聖女の能力を誰かに移すってことかしら?」

「ええ、そういうことです!」

 フンボルトは研究者とのことで、それが実現出来たから、こうして満面の笑みを浮かべているのだろう。私の気持ちなんて、もちろん理解出来るわけがないよね。研究者バカってやつだ、これは。

「それで、あなたは誰かに依頼されてやったの?」

 私の質問に、フンボルトはあっさりと答えた。多分、人間関係には一切興味を持たない印象だった。

「ええ、もちろんでございますとも。というか、私個人で聖女にまつわる研究を進めていたわけですけれども、一度王宮から中止命令が出ましてね。まあ、聖女という概念自体が国家機密ですからね、一個人がやすやすと研究するテーマではないのでしょう。それでも、私は諦めませんでした!!!自分で古文書を収集して……聖女に関する研究を続けたのですっ!!!」

「それで……あなたに今回の命令をしたのは誰なの、皇帝陛下?」

「いえいえ、テレサ様ですよ」

 フンボルトはあっさりと答えた。まあ、予想は出来ていた。テレサの性格を考えれば……一々皇帝陛下がそんな命令をしなくても、自動的にテレサが私にコンプレックスを抱いて行動に出ることは当然の成り行きであった……。

「それで……聖女をテレサから奪還する方法はないの?」

 私はめんどくさかったので、フンボルトに訊いてしまった。すると、フンボルトは首を傾げた。


「それは……どうしてですか?」

 フンボルトはすぐに答えようとしなかった。
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