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 人間世界から完全に追放されてしまったこの私を唯一救ってくれたのは神様なのかもしれない。

 王宮から追放された私はすっかり行き場を失ってしまった。実家からも勘当されてしまい、いよいよピンチであった。そんな時、いつも私に囁いてくれる神様の声が聞こえてきた。

「プライベートには干渉しない約束なのだが……君のような迷い人を見逃すことは出来ない……」

 神様の声だった。

「ああ、久しぶりですね……」

「だいぶやつれているようだな……」

「聖女としての力も、もうほとんどない状態ですから……」

「そうだよな……君が統治して安定していた世界が、場合によっては終焉に向かうかもしれない……」

「終焉……それは、私に変わったテレサの影響ですか?」

 思い当たる節が山ほど……人を騙すことは出来ても、神様を欺くことは出来ないということだろう。

「まあ、そういうことになるかもしれないな……」

 どうでもよかった。いっそのこと、この世界が終焉を迎えれば私の気持ちも少しは落ち着くというもの。せめて天国には行けるのだろうか……なんて考えた。

「どうしたんだ、浮かない顔をして……」

「神様の言葉を聞いて、怖気づいてしまったんですよ……」

「それは申し訳ないな……」

「どうして謝るんですか?」

 私の質問に、神様は直接返事をしなかった。

「この世界を救いたいのであれば、君が再び聖女になるしかないんだよな……」

「いいですよ。こんな世界が今さらどうなろうと、知ったことではありません……」

「テレサに宿る子供は美しいらしいぞ」

 罪のない子供を救う目的であれば……神様はそういうことを言いたいのだろう。

「申し訳ないが、君の人生に少し干渉するぞ。どのみち、このままでは死んでしまうからな。私が案内するところへ行きなさい。簡単な下宿みたいなものだ……」

 神様に指示された場所は王宮に近かかった。なんでも、変わり者の子爵の家らしかった。


 神様に導かれて、人生の第二幕が始まろうとしていた。

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