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その20

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「ボアジエ公爵!どうしたんだ?」

下の騒ぎに気が付いたホフマン公爵は、ボアジエ公爵が狂ったようにひたすら泣き続けるのを見て、すぐに駆け寄った。

「おい、しっかりしろ!どうしたんだ?ボアジエ!しっかりするんだ!」

「私は……もう全て終わってしまったな……。ホフマン……君が仮に何か過ちを犯したとしても、それはお相子というわけだな……。でも、私から最初に謝ることにするよ。すまなかった。そして、最後に一つだけお願いがあるんだ。私の命と引き換えに……それだったら聞いてくれるだろう?これで、君がもう嘘をつき続ける必要はないからな……」

「それはどういうことだ?」

「君も随分と嘘をつくのが上手くなったな。だが、私たちはもうあの頃に固執してはいけないんだね……。娘たちの幸せを考えなくてはいけないな……」

「おい、ボアジエ!!」

ボアジエ公爵は、涙と一緒に、割れたコップに残っていた水を最後までしっかりと飲み干した。

「ハハハ……最期はこうも早く訪れるものなのだな……」

ボアジエ公爵はそう言った。
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