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さてさて、婚約破棄が無事に成立したマリアであったが、大きな問題が生じることになった。というのも、地位を失い、一文無しで放り出されてしまったため、生活する術がなかったのだ。今まで、基本的には不自由を感じることなく生活してきたために、これは非常に厄介なことだったのだ。
「とりあえず……人が集まる街に行ってみるか……」
マリアはそう考えた。仕事を斡旋してくれるかもしれない……そう思ったのだ。
「あのお嬢さんは……どこの出身なんだ???」
「あんなに綺麗な方を見かけたことはないよ……」
「どれだけ頑張っても……あの美しさを手に入れることなんてできない……」
マリアが一歩、また一歩進むたびに、街中の人々が彼女の容姿に見とれるのだった。貴族の世界でも限りなく頂点に近い美しさであるわけだから、庶民世界に降り立ってしまえば、それはもう神をも凌ぐ美しさ、ということになるようだった。
「お嬢さん……ひょっとして迷子ですかい???」
直接話しかけてくる男もいたが、その大半の男はろくでもない連中だと一目見てわかるのだった。
「迷子……強いて言えば、そんな感じでしょうか???」
「だったら……私のところに来ませんか???泊めてあげますよ……」
男たちが集まってくる。そうすると、買い物に出ている婦人連中が、すかさず、
「よしなさいよ」
と注意してくれる。まあ、言われる前に分かっていることなのだが……。
「よしなさいって……あんたらが決めることじゃないだろう???こちらのお嬢さんが決めることなんだから……」
マリアは興味がなかった。
「ねえ、それより何か稼ぐ手段はありませんか???」
マリアが問い尋ねると、男たちは目の色を変えて、
「お嬢さんともっと親密になることができるならば……考えてもいいですぜ???」
なんて言い始めた。
「なるほど……つまり、身体を売ればいいってことですか……」
マリアはあっさりと言ってしまった。その瞬間、街が一瞬凍り付くのだった。
「とりあえず……人が集まる街に行ってみるか……」
マリアはそう考えた。仕事を斡旋してくれるかもしれない……そう思ったのだ。
「あのお嬢さんは……どこの出身なんだ???」
「あんなに綺麗な方を見かけたことはないよ……」
「どれだけ頑張っても……あの美しさを手に入れることなんてできない……」
マリアが一歩、また一歩進むたびに、街中の人々が彼女の容姿に見とれるのだった。貴族の世界でも限りなく頂点に近い美しさであるわけだから、庶民世界に降り立ってしまえば、それはもう神をも凌ぐ美しさ、ということになるようだった。
「お嬢さん……ひょっとして迷子ですかい???」
直接話しかけてくる男もいたが、その大半の男はろくでもない連中だと一目見てわかるのだった。
「迷子……強いて言えば、そんな感じでしょうか???」
「だったら……私のところに来ませんか???泊めてあげますよ……」
男たちが集まってくる。そうすると、買い物に出ている婦人連中が、すかさず、
「よしなさいよ」
と注意してくれる。まあ、言われる前に分かっていることなのだが……。
「よしなさいって……あんたらが決めることじゃないだろう???こちらのお嬢さんが決めることなんだから……」
マリアは興味がなかった。
「ねえ、それより何か稼ぐ手段はありませんか???」
マリアが問い尋ねると、男たちは目の色を変えて、
「お嬢さんともっと親密になることができるならば……考えてもいいですぜ???」
なんて言い始めた。
「なるほど……つまり、身体を売ればいいってことですか……」
マリアはあっさりと言ってしまった。その瞬間、街が一瞬凍り付くのだった。
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