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 お父様がすぐさまブラウン公爵を連れてきた。ロビンソン殿に殺されかけたというのに、よく生きていた、というのが率直な感想ではあった。

「これはこれは…麗しき第一王女アンナ様…」

 ブラウン公爵は基本的に男として魅力的である。ロビンソン殿とは異なり相当な野心家…自らの地位を上げていくために画策する典型的な貴族である。

「ブラウン公爵…よくぞご無事でしたね」

「ええ、おかげさまで。こうしてアンナ様とまたお話が出来ますこと、非常に光栄でございます…」

 なんでも、お父様の友人の医師が手術されたのだとか…それだけ、お父様が本気だということが分かった。繰り返しにはなるけど、結局は誰でもいい…ブラウン公爵は王家と比較的近い血筋でもあるから、やはり私の婚約者には最適であると考えているようだった。

「早く、孫の顔が見たいなぁっ!」なんて、お父様は最近しきりに言うようにもなっているし…これはもう、概ね決定事項なのかもしれない。私の意思は…もう遠く…止めましょう。


「あなた…私と婚約したいかしら?」

 軽いノリで質問をしてみる。すると、ブラウン公爵は笑った。

「あなた様と婚約したくない貴族なんて、いるわけないでしょう…ああ、幾つかの例外を除いてはね…」

 極めて貴族的な模範解答…そう、彼は例外だったのだ。

 いやになってしまう。そんな例外的な男のことがまだ忘れられずに…でもその気持ちは封印してこの男に抱かれると思うと…。



 未練の残るアンナ…大丈夫?
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