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番外編3
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「メリーは本当にかわいい子だ……」
どこか昔……彼女のことを可愛がる男がいた。
「よくできた娘……君はこれからたくさんの男たちから注目を浴びることになるのか……」
彼はメリーのことを期待していた。だがしかし、彼女は次女だった。
彼は先にエクアを生んでしまった。エクアは……メリーほど美しくはなかった。美しくないって事実は仕方がない。
「でもね、私はこの子こそが……次の世界の主人公になると信じているのさ……」
彼はおおよそ、メリーにやさしかった。でも、人々はそんな彼を許さなかった。
「娘のことが可愛いのは仕方がない。だがしかし、彼女は次女なのだ。貴族のしきたりを忘れたのか???君はようするに、自分の娘を王家に嫁がせたいって魂胆なんだろう???ああ、わかっているさ……。君は優しい父親の仮面をかぶっているが、実際は大したことないんだ……」
「お前は所詮、下世話な貴族の仲間……娘を可愛がるとか、そんな理想を掲げるキャラクターではないだろう???」
「はあ……そう言われてしまうと、まあそんな感じもしますが……」
「だから、性に合わないことはやめなさい……君らしくないさ」
「はあっ…………」
彼は次第に娘を愛さなくなった。愛する意味を失ってしまった。誰かに規定された世界でしか、生きていくことのできない人間……貴族とはそういうものだと誰かが言った。彼はまさしくそういう貴族に成り下がっていったのだ。
********************************************************
「お前は私にとってなんの価値もない……」
こういうことを平気で言い放つ人間が完成していくのだ。
どこか昔……彼女のことを可愛がる男がいた。
「よくできた娘……君はこれからたくさんの男たちから注目を浴びることになるのか……」
彼はメリーのことを期待していた。だがしかし、彼女は次女だった。
彼は先にエクアを生んでしまった。エクアは……メリーほど美しくはなかった。美しくないって事実は仕方がない。
「でもね、私はこの子こそが……次の世界の主人公になると信じているのさ……」
彼はおおよそ、メリーにやさしかった。でも、人々はそんな彼を許さなかった。
「娘のことが可愛いのは仕方がない。だがしかし、彼女は次女なのだ。貴族のしきたりを忘れたのか???君はようするに、自分の娘を王家に嫁がせたいって魂胆なんだろう???ああ、わかっているさ……。君は優しい父親の仮面をかぶっているが、実際は大したことないんだ……」
「お前は所詮、下世話な貴族の仲間……娘を可愛がるとか、そんな理想を掲げるキャラクターではないだろう???」
「はあ……そう言われてしまうと、まあそんな感じもしますが……」
「だから、性に合わないことはやめなさい……君らしくないさ」
「はあっ…………」
彼は次第に娘を愛さなくなった。愛する意味を失ってしまった。誰かに規定された世界でしか、生きていくことのできない人間……貴族とはそういうものだと誰かが言った。彼はまさしくそういう貴族に成り下がっていったのだ。
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「お前は私にとってなんの価値もない……」
こういうことを平気で言い放つ人間が完成していくのだ。
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