4 / 27
4
しおりを挟む
「この女のせいで……私の婚約者は私のことを愚弄したのよ!!!この女の方がいいって……私よりも!!!」
逆恨みだろう……第一、この女の婚約者を私は知らない。私に熱い視線を送って来る男どものうちの一人なのだろうか。
「だから……この場で殺す!!!」
マミーは周囲を押し切って、私を水の世界に縛り付けようとした。さすがに私は怖くなって、ジタバタしてみた。だが、この女の力が強すぎて、いよいよ抜け出せないのではないか、と考えるようになった。ああ、この女に殺されるのか……随分とつまらない人生だった……私はこの時既に回想を始めた。
「お前たちはそこで何をやっているんだ???」
また別の声が薄っすらと聞こえた。
「スーグラ様???」
「ああ、そうだが……これは一体、どういうことだ???」
「どういうことって言われましても……困ってしまいますわ」
「困るだと???本当に困っているのは、そこに沈んでいる女の方だろう!!!」
男の怒鳴り声がいよいよ大きくなった。ひとまずこの窮地を救ってくれる……私はそう思った。
「貴様たちのやっていることは殺人だぞ???」
「そんなことは分かっております。でも……この女が悪いのです!!!」
マミーは熱く語った。だが、彼の耳には全く届いていなかった。
「貴様たちの弁明などどうでもいい……この女が何を仕出かしたか知らない。いまこの現状で行われている殺人行為を私は糾弾する」
女たちは段々怖くなって最後は逃げ出した。
「うわああああああああっ!!!!!」
マミーは最後まで私を放そうとしなかった。
「貴様……私の前でこれ以上蛮行を続けるつもりか???」
男はマミーに問いただした。
「あなた様には関係のないことですわ!!!」
マミーの力がますます強くなってく気がした。段々息が出来なくなって……あと少しで死ぬんだと思った。
「ならば……仕方がない。第二王子スーグラの名の元に貴様を懲罰する」
そんな声が響き渡って10秒くらい経っただろうか、再びマミーの、
「あああああああああああああああああああっ!!!!!!!!」
という悲鳴を耳にし、私を抑え込む力がおさまったのだ。そして、私は水の世界から抜け出し、まもなく現実世界に戻ることができたのだった……。
逆恨みだろう……第一、この女の婚約者を私は知らない。私に熱い視線を送って来る男どものうちの一人なのだろうか。
「だから……この場で殺す!!!」
マミーは周囲を押し切って、私を水の世界に縛り付けようとした。さすがに私は怖くなって、ジタバタしてみた。だが、この女の力が強すぎて、いよいよ抜け出せないのではないか、と考えるようになった。ああ、この女に殺されるのか……随分とつまらない人生だった……私はこの時既に回想を始めた。
「お前たちはそこで何をやっているんだ???」
また別の声が薄っすらと聞こえた。
「スーグラ様???」
「ああ、そうだが……これは一体、どういうことだ???」
「どういうことって言われましても……困ってしまいますわ」
「困るだと???本当に困っているのは、そこに沈んでいる女の方だろう!!!」
男の怒鳴り声がいよいよ大きくなった。ひとまずこの窮地を救ってくれる……私はそう思った。
「貴様たちのやっていることは殺人だぞ???」
「そんなことは分かっております。でも……この女が悪いのです!!!」
マミーは熱く語った。だが、彼の耳には全く届いていなかった。
「貴様たちの弁明などどうでもいい……この女が何を仕出かしたか知らない。いまこの現状で行われている殺人行為を私は糾弾する」
女たちは段々怖くなって最後は逃げ出した。
「うわああああああああっ!!!!!」
マミーは最後まで私を放そうとしなかった。
「貴様……私の前でこれ以上蛮行を続けるつもりか???」
男はマミーに問いただした。
「あなた様には関係のないことですわ!!!」
マミーの力がますます強くなってく気がした。段々息が出来なくなって……あと少しで死ぬんだと思った。
「ならば……仕方がない。第二王子スーグラの名の元に貴様を懲罰する」
そんな声が響き渡って10秒くらい経っただろうか、再びマミーの、
「あああああああああああああああああああっ!!!!!!!!」
という悲鳴を耳にし、私を抑え込む力がおさまったのだ。そして、私は水の世界から抜け出し、まもなく現実世界に戻ることができたのだった……。
0
お気に入りに追加
195
あなたにおすすめの小説
ハイスぺ副社長になった初恋相手と再会したら、一途な愛を心と身体に刻み込まれました
中山紡希
恋愛
貿易会社の事務員として働く28歳の秋月結乃。
ある日、親友の奈々に高校のクラス会に行こうと誘われる。会社の上司からモラハラを受けている結乃は、その気晴らしに初めてクラス会に参加。賑やかな場所の苦手な結乃はその雰囲気に戸惑うが
そこに十年間片想いを続けている初恋相手の早瀬陽介が現れる。
陽介は国内屈指の大企業である早瀬商事の副社長になっていた。
高校時代、サッカー部の部員とマネージャーという関係だった二人は両片思いだったものの
様々な事情で気持ちが通じ合うことはなかった。
十年ぶりに陽介と言葉を交わし、今も変わらぬ陽介への恋心に気付いた結乃は……?
※甘いイチャイチャ溺愛系のR18シーンが複数個所にありますので、苦手な方はご注意ください。
※こちらはすでに全て書き終えていて、誤字脱字の修正をしながら毎日公開していきます。
少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです。
【完結】婚約破棄されたらループするので、こちらから破棄させていただきます!~薄幸令嬢はイケメン(ストーカー)魔術師に捕まりました~
雨宮羽那
恋愛
公爵令嬢フェリシア・ウィングフィールドは、義妹に婚約者を奪われ婚約破棄を告げられる。
そうしてその瞬間、ループしてしまうのだ。1年前の、婚約が決まった瞬間へと。
初めは婚約者のことが好きだったし、義妹に奪われたことが悲しかった。
だからこそ、やり直す機会を与えられて喜びもした。
しかし、婚約者に前以上にアプローチするも上手くいかず。2人が仲良くなるのを徹底的に邪魔してみても意味がなく。いっそ義妹と仲良くなろうとしてもダメ。義妹と距離をとってもダメ。
ループを4回ほど繰り返したフェリシアは思った。
――もういいや、と。
5回目のやり直しでフェリシアは、「その婚約、破棄させていただきますね」と告げて、屋敷を飛び出した。
……のはいいものの、速攻賊に襲われる。そんなフェリシアを助けてくれたのは、銀の長髪が美しい魔術師・ユーリーだった。
――あれ、私どこかでこの魔術師と会ったことある?
これは、見覚えがあるけど思い出せない魔術師・ユーリーと、幸薄め公爵令嬢フェリシアのラブストーリー。
※「小説家になろう」様にも掲載しております。
※別名義の作品のストーリーを大幅に改変したものになります。
※表紙はAIイラストです。(5/23追加しました)
時間が戻った令嬢は新しい婚約者が出来ました。
屋月 トム伽
恋愛
ifとして、時間が戻る前の半年間を時々入れます。(リディアとオズワルド以外はなかった事になっているのでifとしてます。)
私は、リディア・ウォード侯爵令嬢19歳だ。
婚約者のレオンハルト・グラディオ様はこの国の第2王子だ。
レオン様の誕生日パーティーで、私はエスコートなしで行くと、婚約者のレオン様はアリシア男爵令嬢と仲睦まじい姿を見せつけられた。
一人壁の花になっていると、レオン様の兄のアレク様のご友人オズワルド様と知り合う。
話が弾み、つい地がでそうになるが…。
そして、パーティーの控室で私は襲われ、倒れてしまった。
朦朧とする意識の中、最後に見えたのはオズワルド様が私の名前を叫びながら控室に飛び込んでくる姿だった…。
そして、目が覚めると、オズワルド様と半年前に時間が戻っていた。
レオン様との婚約を避ける為に、オズワルド様と婚約することになり、二人の日常が始まる。
ifとして、時間が戻る前の半年間を時々入れます。
第14回恋愛小説大賞にて奨励賞受賞
大嫌いな令嬢
緑谷めい
恋愛
ボージェ侯爵家令嬢アンヌはアシャール侯爵家令嬢オレリアが大嫌いである。ほとんど「憎んでいる」と言っていい程に。
同家格の侯爵家に、たまたま同じ年、同じ性別で産まれたアンヌとオレリア。アンヌには5歳年上の兄がいてオレリアには1つ下の弟がいる、という点は少し違うが、ともに実家を継ぐ男兄弟がいて、自らは将来他家に嫁ぐ立場である、という事は同じだ。その為、幼い頃から何かにつけて、二人の令嬢は周囲から比較をされ続けて来た。
アンヌはうんざりしていた。
アンヌは可愛らしい容姿している。だが、オレリアは幼い頃から「可愛い」では表現しきれぬ、特別な美しさに恵まれた令嬢だった。そして、成長するにつれ、ますますその美貌に磨きがかかっている。
そんな二人は今年13歳になり、ともに王立貴族学園に入学した。
ぽっちゃりな私は妹に婚約者を取られましたが、嫁ぎ先での溺愛がとまりません~冷酷な伯爵様とは誰のこと?~
柊木 ひなき
恋愛
「メリーナ、お前との婚約を破棄する!」夜会の最中に婚約者の第一王子から婚約破棄を告げられ、妹からは馬鹿にされ、貴族達の笑い者になった。
その時、思い出したのだ。(私の前世、美容部員だった!)この体型、ドレス、確かにやばい!
この世界の美の基準は、スリム体型が前提。まずはダイエットを……え、もう次の結婚? お相手は、超絶美形の伯爵様!? からの溺愛!? なんで!?
※シリアス展開もわりとあります。
10日後に婚約破棄される公爵令嬢
雨野六月(旧アカウント)
恋愛
公爵令嬢ミシェル・ローレンは、婚約者である第三王子が「卒業パーティでミシェルとの婚約を破棄するつもりだ」と話しているのを聞いてしまう。
「そんな目に遭わされてたまるもんですか。なんとかパーティまでに手を打って、婚約破棄を阻止してみせるわ!」「まあ頑張れよ。それはそれとして、課題はちゃんとやってきたんだろうな? ミシェル・ローレン」「先生ったら、今それどころじゃないって分からないの? どうしても提出してほしいなら先生も協力してちょうだい」
これは公爵令嬢ミシェル・ローレンが婚約破棄を阻止するために(なぜか学院教師エドガーを巻き込みながら)奮闘した10日間の備忘録である。
殿下からの寵愛は諦めることにします。
木山楽斗
恋愛
次期国王であるロウガスト殿下の婚約は、中々決まらなかった。
婚約者を五人まで絞った現国王だったが、温和な性格が原因して、そこから決断することができなかったのだ。
そこで国王は、決定権をロウガスト殿下に与えることにした。
王城に五人の令嬢を集めて、ともに生活した後、彼が一番妻に迎えたいと思った人を選択する。そういった形式にすることを決めたのだ。
そんな五人の内の一人、ノーティアは早々に出鼻をくじかれることになった。
同じ貴族であるというのに、周りの令嬢と自分を比較して、華やかさがまったく違ったからである。
こんな人達に勝てるはずはない。
そう思った彼女は、王子の婚約者になることを諦めることを決めるのだった。
幸か不幸か、そのことを他の婚約者候補や王子にまで知られてしまい、彼女は多くの人から婚約を諦めた人物として認識されるようになったのである。
そういう訳もあって、彼女は王城で気ままに暮らすことを決めた。
王子に関わらず、平和に暮らそうと思ったのである。
しかし、そんな彼女の意図とは裏腹に、ロウガスト殿下は彼女に頻繁に話しかけてくる。
どうして自分に? そんな疑問を抱きつつ、彼女は王城で暮らしているのだった。
心の声が聞こえる私は、婚約者から嫌われていることを知っている。
木山楽斗
恋愛
人の心の声が聞こえるカルミアは、婚約者が自分のことを嫌っていることを知っていた。
そんな婚約者といつまでも一緒にいるつもりはない。そう思っていたカルミアは、彼といつか婚約破棄すると決めていた。
ある時、カルミアは婚約者が浮気していることを心の声によって知った。
そこで、カルミアは、友人のロウィードに協力してもらい、浮気の証拠を集めて、婚約者に突きつけたのである。
こうして、カルミアは婚約破棄して、自分を嫌っている婚約者から解放されるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる