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(やっと着いた……)
馬車の中から外を眺めていたシャーロットはホッとしてため息をつく。隣に座っているルイスが苦笑した。
「お疲れさまでした。シャーロット嬢」
「えぇ……本当に……」
(それにしても……やっぱり王宮の中ってすごいなぁ……)
以前来た時よりもさらに豪華になっている気がする。そんなことを考えていると、不意に声をかけられた。
「あら、シャーロットじゃない!!︎」
驚いて振り返ると、そこにはリリアーナが立っていた。彼女は嬉しそうに手を振る。旧友……リリアーナはおそらくそれを演じていただけだった。
「久しぶりね。元気にしてたかしら?」
「はい、おかげさまで。……あの、どうしてここに……?」
「私も夜会に参加することになったの。といっても参加するのは殿下の婚約者のみだけど」
「そうなんですね。それはまた……珍しいこともあるんですね」
「えぇ、私もそう思うわ。それで今回はちょっと用事があってきたの」
「そうなんですか? 何のご用事で?」
「それは内緒よ。それよりもあなたはどうしてここに? 確かあなたは学園に行ってるはずよね?」
「はい。ですけど今は夏休みなので実家に帰ってきています」
「そうなのね。ということはしばらくここに滞在してるのね?」
「はい。あと数日は滞在する予定です」
「そうなの。だったら一緒にお茶でもどうかしら?」
「いいんですか!?︎ ぜひお願いします!」
「決まりね。じゃあ行きましょうか」
それから二人はリリアーナに案内され、庭園にある東屋に向かった。そこは王族と一部の貴族しか入れない特別な場所であり、限られた者しか知らない秘密の場所でもあった。
「ここは私たちの秘密の場所で、よくここでお茶をするの」
「そうなんですね。とても素敵なところですね」
「えぇ、気に入ってくれたなら嬉しいわ」
リリアーナの思い出が詰まった場所に今自分が立っていること、それを深く考えてみれば、非常に恐れ多いことだと感じずにはいられなかったのだ。
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