婚約者が不倫しても平気です~公爵令嬢は案外冷静~

岡暁舟

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「怖い、怖いよ……アンナがこんな令嬢だなんて……!!」

 バートンはすっかり怖気付いてしまった。なんで……私は別に悪いことをしていいないのに。

「ねえ、どうして?結局は私たちのためにやっているのに……」

「そうだとしても……」

「ねえ、バートン。真っ直ぐにこっちをみてくれる?」

「ハハっ……はいっ!」

「バートン、あなたが告白してくれないんだったら……私の方からでいいかしら?好きです、婚約してくれますか?」

 ありきたりの告白だった。スティーブンの嫌味ったらしい視線を横で感じながら。

「僕で……よろしいのですか?」

「あなたが……私の婚約者に相応しいと思うから!」

「そんなこと言われると……照れますね……」

「照れるんじゃなくて……答えを聞かせて!!」

「それでは……うううんっと、お受けします、か?」

「お受けしますか、じゃないだろう!」


 スティーブンが吠えた。

「私にとって憧れであるアンナの期待を……裏切るな!」

 スティーブンのヤジに後押しされたのか、バートンは元気よく、「よろしくお願いします!」と答えた。


「ああ、仕方ないな……」

 スティーブンはその場に座り込んだ。

「それでは、私が証人として、2人の婚約を認めよう!」

 皇帝陛下に見届けられて、ある意味すごいことだと思うが、私とバートンの正式な婚約が決定した。


「ああ、そう言えば、君を王宮に招いたのはこの私なんだ……」

 皇帝陛下がバートンに告げた。

「皇帝陛下、自ら、ですか?」

「ああ、その通りだ……」

 皇帝陛下はニヤリと微笑んだ。なになに……どういうことかしら?私には分からなかった。
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