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 バートンの地に引っ越して1週間が経過した。バートンと過ごす時間はもちろんだが、屋敷の方々は私を迫害することなく、寧ろ好意的に受け入れてくれた。まだ正式に婚約しているわけではないが、バートンのお母様…ロールス伯爵夫人も同様だった。

 バートンのお父様とお母様への挨拶…私は緊張していた。ここで地雷を踏んでしまったら…そこで物語が終わってしまうのだから。

「緊張しているの?大丈夫だよ。お父様もお母様も優しいから…」

 バートンはまるで、医者嫌いの子供に付き添う親のようだった。いや、声をかけてくれても不安なものは不安なんだよね…。

 私とバートンは2人の待つ広間へ足を踏み入れた。思ったよりも簡素な部屋だった。

「おお、君が息子の婚約者か!!!」

 お父様は私のことを好意的に受け入れてくれた。

「お父様、婚約者だなんて、そんな……」

 バートンは狼狽えてしまった。

「おい、バートン?私の約束を忘れてしまったのか?」

 約束ってなんだろう…?

「そんなことはありませんが…」

「それでは、そこのお嬢さんに告白は済ませたのか?」

「いいえ、ですからまだそこまでは…」

「ああ、お前はまだ青臭いなあっ……」


 お父様は1人で盛り上がり、バートンは困惑していた。約束とは?

「旦那様…それ以上バートンをいじめないで…」

 お母様がお父様をなだめた。


「あなたが…アンナさんですね?」

 お母様の声は優しかった。

「バートンのことを末永くよろしくお願いします…」

 元とは言え、公爵令嬢だから言葉遣いが改まっているのか?いや、令嬢はそういうのを結構気にするものだから。お母様は私のことを調節見ずに、頭を下げた。

「あのおぉ…そんなに畏まらなくても。かえって、こっちが恐縮してしまいますから……」


 バートンのお父様、お母様に無事に受け入れられて…一度終わったはずの人生が再スタートした。



「そろそろ世継ぎは出来たか???」

 お父様が時々顔を出して…私たちに問いかける。2人とも赤面して…そもそも正式に付き合っているのかよく分からないから。

 みんなの認識としては、婚約が成立している。でも、正式に婚約を交わしたわけではないし、バートンから正式に告白されたわけでもない。でも…こんなホンワカした関係でもいいんじゃないかって思った。正式に婚約したら、色々面倒くさいと思ったから。お父様やお母様もきっと許してくれると思ったから。















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