上 下
9 / 20

9

しおりを挟む
「偉大なるボリス様の婚約者……その秘密を墓場まで持っていくと言ってるんだから……高くはないはずよ。それと、あなたのお家がどれだけあくどいことをしてきたのか、そう言うのも調べて分かっちゃったんだよねえ……」

「あくどいこと???お父様がそんなことをするはずない!!!でっち上げよ!!!」

「あら、そうかしら???まあ、いいわ。ともかく、あなたがしてきたことを暴露するのも、十分リスキーでしょう。そんなことをしたら……ボリス様が許しても、世間はあなたを赦さない……ああ、と言うか、もはやボリス様もあなたに興味がないのか……」

この女……言うだけ言っておいて、本当に許せない!!!でも、反論することはできなかった。今はひとまず、彼女の言う通りにする必要があると思った。

「それで……いくら欲しいのよ……」

「あらまあ、話が早いのね。そうねえ……今までの倍は払ってもらおうかしら……」

「倍ですって!!!」

「あなたにとって、それほど難しくはないでしょう???まあ、お父様からの支援が途絶えても、あなたには自分で稼ぐ手段を持っているからねえ。巷では人気なのよ。あなたを抱きたがる殿方は沢山いらっしゃるからねえ。今度紹介しましょうか???儲かるわよ。ああ、ボリス様より上流……つまり、王族の中にもいたりいなかったり……」

「いい加減にして。そう言う話はいいから、金を用意すればいいんでしょう。待ってなさい……」

「分かればいいのよ。あなたはまたとない金づるだからねえ……これを放す手はないから……」

様々な方向から降り注ぐ屈辱……狂いそうだった。

「まあ、すぐにとは言わないから。今度遊びに来るときでいいわ。それまで、楽しみに待っているから……」

そう言って、女は帰っていった。ああ、これほど気分が悪いことって……今まであったかしら???


「ティアが死んだ???」


それから3日後のこと……私の元にこんなニュースが舞い込んできた。私たちと同じく公爵令嬢であり、事件性があるかもしれない、ということで、また新たな話題になるところだった……。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!

ユウ
恋愛
10歳の頃から伯爵家の嫁になるべく厳しい花嫁修業を受け。 貴族院を卒業して伯爵夫人になるべく努力をしていたアリアだったが事あるごと実娘と比べられて来た。 実の娘に勝る者はないと、嫌味を言われ。 嫁でありながら使用人のような扱いに苦しみながらも嫁として口答えをすることなく耐えて来たが限界を感じていた最中、義妹が出戻って来た。 そして告げられたのは。 「娘が帰って来るからでていってくれないかしら」 理不尽な言葉を告げられ精神的なショックを受けながらも泣く泣く家を出ることになった。 …はずだったが。 「やった!自由だ!」 夫や舅は申し訳ない顔をしていたけど、正直我儘放題の姑に我儘で自分を見下してくる義妹と縁を切りたかったので同居解消を喜んでいた。 これで解放されると心の中で両手を上げて喜んだのだが… これまで尽くして来た嫁を放り出した姑を世間は良しとせず。 生活費の負担をしていたのは息子夫婦で使用人を雇う事もできず生活が困窮するのだった。 縁を切ったはずが… 「生活費を負担してちょうだい」 「可愛い妹の為でしょ?」 手のひらを返すのだった。

かませ役♂に憑依転生した俺はTSを諦めない~現代ダンジョンのある学園都市で、俺はミステリアス美少女ムーブを繰り返す~

不破ふわり
ファンタジー
生まれ変わるならば、美少女であるのが当然である。 男は死後、愛読していた現代ダンジョン系漫画の世界に憑依転生する。 が、その憑依先はかませ役♂だった。 「どうして女の子じゃないんだ……!」 転生するなら美少女が良い。 そんな当たり前な真理を胸に、男はかませ役♂(出番はもうない)として目的のために生きていく。 目指すは原作で一年後に起きるTSイベントの奪取。そして、念願の美少女化! これは現代ダンジョン世界に生きる探索者の物語。 そして、TS願望に脳を焼かれた男の物語である。 なお、TS願望が転じて行った女装行為が原因で、原作の全勢力から未知の新勢力と認識され警戒されていることは考慮しないものとする。

物語のようにはいかない

わらびもち
恋愛
 転生したら「お前を愛することはない」と夫に向かって言ってしまった『妻』だった。  そう、言われる方ではなく『言う』方。  しかも言ってしまってから一年は経過している。  そして案の定、夫婦関係はもうキンキンに冷え切っていた。  え? これ、どうやって関係を修復したらいいの?  いや、そもそも修復可能なの?   発言直後ならまだしも、一年も経っているのに今更仲直りとか無理じゃない?  せめて失言『前』に転生していればよかったのに!  自分が言われた側なら、初夜でこんな阿呆な事を言う相手と夫婦関係を続けるなど無理だ。諦めて夫に離婚を申し出たのだが、彼は婚姻継続を望んだ。  夫が望むならと婚姻継続を受け入れたレイチェル。これから少しずつでも仲を改善出来たらいいなと希望を持つのだが、現実はそう上手くいかなかった……。

【R18】ショタが無表情オートマタに結婚強要逆レイプされてお婿さんになっちゃう話

みやび
恋愛
タイトル通りのエロ小説です。 ほかのエロ小説は「タイトル通りのエロ小説シリーズ」まで

【完結】愛されなかった私が幸せになるまで 〜旦那様には大切な幼馴染がいる〜

高瀬船
恋愛
2年前に婚約し、婚姻式を終えた夜。 フィファナはドキドキと逸る鼓動を落ち着かせるため、夫婦の寝室で夫を待っていた。 湯上りで温まった体が夜の冷たい空気に冷えて来た頃やってきた夫、ヨードはベッドにぽつりと所在なさげに座り、待っていたフィファナを嫌悪感の籠った瞳で一瞥し呆れたように「まだ起きていたのか」と吐き捨てた。 夫婦になるつもりはないと冷たく告げて寝室を去っていくヨードの後ろ姿を見ながら、フィファナは悲しげに唇を噛み締めたのだった。

救国の大聖女は生まれ変わって【薬剤師】になりました ~聖女の力には限界があるけど、万能薬ならもっとたくさんの人を救えますよね?~

日之影ソラ
恋愛
千年前、大聖女として多くの人々を救った一人の女性がいた。国を蝕む病と一人で戦った彼女は、僅かニ十歳でその生涯を終えてしまう。その原因は、聖女の力を使い過ぎたこと。聖女の力には、使うことで自身の命を削るというリスクがあった。それを知ってからも、彼女は聖女としての使命を果たすべく、人々のために祈り続けた。そして、命が終わる瞬間、彼女は後悔した。もっと多くの人を救えたはずなのに……と。 そんな彼女は、ユリアとして千年後の世界で新たな生を受ける。今度こそ、より多くの人を救いたい。その一心で、彼女は薬剤師になった。万能薬を作ることで、かつて救えなかった人たちの笑顔を守ろうとした。 優しい王子に、元気で真面目な後輩。宮廷での環境にも恵まれ、一歩ずつ万能薬という目標に進んでいく。 しかし、新たな聖女が誕生してしまったことで、彼女の人生は大きく変化する。

魔力ゼロの出来損ない貴族、四大精霊王に溺愛される

日之影ソラ
ファンタジー
魔法使いの名門マスタローグ家の次男として生をうけたアスク。兄のように優れた才能を期待されたアスクには何もなかった。魔法使いとしての才能はおろか、誰もが持って生まれる魔力すらない。加えて感情も欠落していた彼は、両親から拒絶され別宅で一人暮らす。 そんなある日、アスクは一冊の不思議な本を見つけた。本に誘われた世界で四大精霊王と邂逅し、自らの才能と可能性を知る。そして精霊王の契約者となったアスクは感情も取り戻し、これまで自分を馬鹿にしてきた周囲を見返していく。 HOTランキング&ファンタジーランキング1位達成!!

【完結】8私だけ本当の家族じゃないと、妹の身代わりで、辺境伯に嫁ぐことになった

華蓮
恋愛
次期辺境伯は、妹アリーサに求婚した。 でも、アリーサは、辺境伯に嫁ぎたいと父に頼み込んで、代わりに姉サマリーを、嫁がせた。  辺境伯に行くと、、、、、

処理中です...