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「スミスさまー」
私は何度も声をかけました。そうしないと、彼は振り向いてくれなくなりました。どうしてこんなことになってしまったのか。今でも、彼は私のことを愛してくれているそうです。でも、すっかりエリーゼの虜になってしまったのでしょう。
「ああああっ、エリーゼ!」
彼はいつも、エリーゼのことを呼ぶようになってしまいました。
そして、エリーゼはまもなくスミス様の子供を身ごもることになりました。
「よくやった」
スミス様だけではなくて、皇帝陛下も喜びました。これで皇帝陛下の思惑通りになりました。よかったんじゃありませんか。こうなることが彼らにとって理想的だったわけですから。
「マリア、私は今でも君のことを愛し続けている。それはいつまでたっても変わらないことだ。でもね、私はすっかり女の魅力と言うものに取り付かれてしまったんだ。これはある種の病気だろうか。エリーゼが教えてくれたんだ。私はエリーゼを愛する事は多分ないと思う。でもね、これから相手にするのはエリーゼ中心になると思うんだ。悪く思わないでくれよ」
私のことを愛し続けてくれる、そうだとしたら悪くはないと思いました。このままでもいいと思いました。でもね、本当にそうだったのでしょうか。
「エリーゼ、もっと激しく私のことを愛してくれ」
スミス様はずっと、夜になるとエリーゼのことを求めていました。まるで私のことなんか眼中にないようでした。それほど、彼女に夢中になっていたと言うことでしょう。仕方ない。諦めるしかない。それでも、彼が言ってくれた言葉、私のことを愛し続ける、信じるしかありませんでした。
「いつか、私のもとに帰ってくる日を信じて待っていますね」
エリーゼほど高慢な女は、いつしかめんどくさくなると思いました。その時を狙って、再び私のことを愛してくれればいいと思いました。
とりあえず、さようなら。
(本編終了)
私は何度も声をかけました。そうしないと、彼は振り向いてくれなくなりました。どうしてこんなことになってしまったのか。今でも、彼は私のことを愛してくれているそうです。でも、すっかりエリーゼの虜になってしまったのでしょう。
「ああああっ、エリーゼ!」
彼はいつも、エリーゼのことを呼ぶようになってしまいました。
そして、エリーゼはまもなくスミス様の子供を身ごもることになりました。
「よくやった」
スミス様だけではなくて、皇帝陛下も喜びました。これで皇帝陛下の思惑通りになりました。よかったんじゃありませんか。こうなることが彼らにとって理想的だったわけですから。
「マリア、私は今でも君のことを愛し続けている。それはいつまでたっても変わらないことだ。でもね、私はすっかり女の魅力と言うものに取り付かれてしまったんだ。これはある種の病気だろうか。エリーゼが教えてくれたんだ。私はエリーゼを愛する事は多分ないと思う。でもね、これから相手にするのはエリーゼ中心になると思うんだ。悪く思わないでくれよ」
私のことを愛し続けてくれる、そうだとしたら悪くはないと思いました。このままでもいいと思いました。でもね、本当にそうだったのでしょうか。
「エリーゼ、もっと激しく私のことを愛してくれ」
スミス様はずっと、夜になるとエリーゼのことを求めていました。まるで私のことなんか眼中にないようでした。それほど、彼女に夢中になっていたと言うことでしょう。仕方ない。諦めるしかない。それでも、彼が言ってくれた言葉、私のことを愛し続ける、信じるしかありませんでした。
「いつか、私のもとに帰ってくる日を信じて待っていますね」
エリーゼほど高慢な女は、いつしかめんどくさくなると思いました。その時を狙って、再び私のことを愛してくれればいいと思いました。
とりあえず、さようなら。
(本編終了)
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