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善は急げ、というのがスミス様の口癖でした。だからこそ、私の承諾を耳にした一週間後、再び我が家にやって来て婚約の話を始めました。普通だったら、王子様の婚約内定なのですから、披露宴とかそう言った類のイベントを盛大に行うものでした。でもね、私の性格を把握していたせいか、
「まあ、静かにやろうか」
なんて言い出すものですから、スミス様は本当に私のことをよく理解しているんだと感心しました。
「披露宴をやらないのか???」
皇帝陛下から質問されたそうですが、スミス様はきっぱりと断ったそうです。つまり、内輪だけで粛々そ進めていくという感じでした。私にとっては非常にありがったかったのです。まあ、逆の解釈では、華やかさが欠落している、ということもできたでしょう。事実、貴族社会の間では、披露宴を行わいことが非常に珍しいことだと話題になっておりました。
「スミス様と侯爵令嬢マリアの披露宴……やらないんですってね」
「令嬢にとっては一番の花舞台なのに……何を考えているのかしらね」
「でもまあ、マリアの性格を考えたら、確かにやりそうもないか……」
「まあ、それはそうなんだけどもね……」
華やかさがないというレッテルを張られて……でも、私は今さら何も気にしませんでした。人々が何を言おうと、スミス様が私のことを心から愛してくれるのであれば、それ以上望むものなんてありませんでした。
「お待たせ、マリア!!!」
いよいよ、王宮に入る日がやってまいりました。スミス様はスミス様で、やはり非常に質素なたたずまいでいらっしゃいました。私に気を使っているのか、世間で華やかさが欠落している妃と言われているのを知っているからなのか、とにかく私と同じように質素な装いでした。
「スミス様……お待ちしておりました……」
考えてもみれば、父親の顔を見るのは、下手をするとこれが最後になると思いました。正直なところ、父親の顔を見なくて済むと思うと、安心しました。愛情のない親に育てられた娘の末路……父親は自分の名誉を守るため、自らがうれしくなるため、それしか考えていませんでしたからね。でもまあ、その結果、私もこうしてスミス様と結ばれることになって……幸せを感じているわけですから、その点は感謝してもいいと思いました。結果論ですけどね。
「ありがとうございました」
私は最後、一応父親に挨拶をしておきました。
「お前のほうから挨拶をするなんて珍しいなあ……」
父親は最後まで皮肉たっぷりでした。まあ、そのほうが彼らしいと思いました。
「それでは行ってまいります」
披露宴がないため、父親が王宮に向かうことはありませんでした。
「ああ、行ってらっしゃい……」
娘を送り出す父親……表情だけを見ていると非常に似つかわしくなかったと思います。でも、不思議なことに、この日はいつも以上に緊張しているのか、あるいは持病なのか、両方の腕がプルプルと振るえているようでした。
**********************************************
「憎まれ役を演じたかいがあったな。幸せになりなさい……」
**********************************************
「これから楽しみだね!!!!!」
スミス様のお顔は期待にあふれておりました。思い返せば、あの時がピークだったのかもしれません。それとも、やはり私がいけなかったのでしょうか。正直わからないのです。でもね、あの時の表情がしっかりと脳裏に焼き付いている以上、そこから少しずつ変わっていくスミス様を見るのは、恥ずかしいというか、自分があまりにもふがいないというか、いろいろな感情がごちゃ混ぜになってしまって、収拾がつかなくなってしまったのでした。
「まあ、静かにやろうか」
なんて言い出すものですから、スミス様は本当に私のことをよく理解しているんだと感心しました。
「披露宴をやらないのか???」
皇帝陛下から質問されたそうですが、スミス様はきっぱりと断ったそうです。つまり、内輪だけで粛々そ進めていくという感じでした。私にとっては非常にありがったかったのです。まあ、逆の解釈では、華やかさが欠落している、ということもできたでしょう。事実、貴族社会の間では、披露宴を行わいことが非常に珍しいことだと話題になっておりました。
「スミス様と侯爵令嬢マリアの披露宴……やらないんですってね」
「令嬢にとっては一番の花舞台なのに……何を考えているのかしらね」
「でもまあ、マリアの性格を考えたら、確かにやりそうもないか……」
「まあ、それはそうなんだけどもね……」
華やかさがないというレッテルを張られて……でも、私は今さら何も気にしませんでした。人々が何を言おうと、スミス様が私のことを心から愛してくれるのであれば、それ以上望むものなんてありませんでした。
「お待たせ、マリア!!!」
いよいよ、王宮に入る日がやってまいりました。スミス様はスミス様で、やはり非常に質素なたたずまいでいらっしゃいました。私に気を使っているのか、世間で華やかさが欠落している妃と言われているのを知っているからなのか、とにかく私と同じように質素な装いでした。
「スミス様……お待ちしておりました……」
考えてもみれば、父親の顔を見るのは、下手をするとこれが最後になると思いました。正直なところ、父親の顔を見なくて済むと思うと、安心しました。愛情のない親に育てられた娘の末路……父親は自分の名誉を守るため、自らがうれしくなるため、それしか考えていませんでしたからね。でもまあ、その結果、私もこうしてスミス様と結ばれることになって……幸せを感じているわけですから、その点は感謝してもいいと思いました。結果論ですけどね。
「ありがとうございました」
私は最後、一応父親に挨拶をしておきました。
「お前のほうから挨拶をするなんて珍しいなあ……」
父親は最後まで皮肉たっぷりでした。まあ、そのほうが彼らしいと思いました。
「それでは行ってまいります」
披露宴がないため、父親が王宮に向かうことはありませんでした。
「ああ、行ってらっしゃい……」
娘を送り出す父親……表情だけを見ていると非常に似つかわしくなかったと思います。でも、不思議なことに、この日はいつも以上に緊張しているのか、あるいは持病なのか、両方の腕がプルプルと振るえているようでした。
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「憎まれ役を演じたかいがあったな。幸せになりなさい……」
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「これから楽しみだね!!!!!」
スミス様のお顔は期待にあふれておりました。思い返せば、あの時がピークだったのかもしれません。それとも、やはり私がいけなかったのでしょうか。正直わからないのです。でもね、あの時の表情がしっかりと脳裏に焼き付いている以上、そこから少しずつ変わっていくスミス様を見るのは、恥ずかしいというか、自分があまりにもふがいないというか、いろいろな感情がごちゃ混ぜになってしまって、収拾がつかなくなってしまったのでした。
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