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その11
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「私たちはカーティス伯爵から依頼を受けて、ここまで旅をしてきたのです。手紙によると、伯爵は重病で命が長くないとのこと。しかしながら、彼の子供はまだ小さく、少なくとも物心つくまでは死ぬわけにはいかないと。ですから、こうして私が聖なる魂を授けにやって来たと、こういうわけなんですよ……」
私が説明を終えると、男は涙していた。
「伯爵に変わりまして、私の方から感謝を申し上げさせて頂きます。本当にありがとうございます……」
「それで、その聖女と名乗る女がやって来て、どうなったの?」
「はい、聖女様がおっしゃる通り、伯爵は生まれつき身体が弱かったのです。長くはもたないと、医者に言われていました。しかし、伯爵は自分の血筋が絶えることだけは許せなかったみたいで、婚約者を探したんです。しかし、将来の見通せない貴族と婚約する令嬢なんて、なかなかいません。伯爵は嘆きました。なんとかして、自分と婚約してくれそうな令嬢を探しました。そして、ある一人の令嬢を見つけ出すことに成功したのです」
「それが、聖女と名乗る女なのね?」
男はこくりと頷いた。その女が何か悪いことをしたというのは明白だった。
「伯爵の一目惚れでした。女は伯爵の子供を孕んだのです。そこまではよかったのです。皆さまお分かりのこととは存じますが、普通の成り行きでございましょう」
確かにそうだ。一目惚れだけで婚約まで持っていくのは、少し強引にも思えるが、まあ、許容範囲だ。
「問題が生じたのはその後です。その女は、自らの身体に宿った子供を、そっくりそのまま他の女の身体に移し替えたのです」
「なんですって?」
さすがにでたらめだと思った。聖女の私でさえ、そのようなことはできない。だから、普通の人間にできるはずなどないのだ。
「疑いになるのはもっともだと思います。ですが、これは間違いなく事実なのです。そして、この女は娼婦であることが後にわかりました」
娼婦と聞いて、このとんでもない事態に発展したことについては納得した。だが、それにしても、子供を入れ替えるとは一体?
「そして、女は知らず知らずのうちに疫病を伯爵に植えつけたのです。実を言いますと、疫病に侵されたのは、伯爵のみならず、私たちもそうなのです」
「ということは、あなたたちもその女と寝たというわけなのね?」
私がこう尋ねると、男は恥ずかしそうに、
「はい」
と答えた。
「娼婦がもたらした疫病か……。伯爵はその後どうなったの?」
「伯爵は……」
男は言葉が詰まった。
「見るも無残な姿に成り果てました。ああ、実物を見ていただく方が早いでしょうか。これから案内しましょう……」
男は立ち上がって、私たちを先導した。
私が説明を終えると、男は涙していた。
「伯爵に変わりまして、私の方から感謝を申し上げさせて頂きます。本当にありがとうございます……」
「それで、その聖女と名乗る女がやって来て、どうなったの?」
「はい、聖女様がおっしゃる通り、伯爵は生まれつき身体が弱かったのです。長くはもたないと、医者に言われていました。しかし、伯爵は自分の血筋が絶えることだけは許せなかったみたいで、婚約者を探したんです。しかし、将来の見通せない貴族と婚約する令嬢なんて、なかなかいません。伯爵は嘆きました。なんとかして、自分と婚約してくれそうな令嬢を探しました。そして、ある一人の令嬢を見つけ出すことに成功したのです」
「それが、聖女と名乗る女なのね?」
男はこくりと頷いた。その女が何か悪いことをしたというのは明白だった。
「伯爵の一目惚れでした。女は伯爵の子供を孕んだのです。そこまではよかったのです。皆さまお分かりのこととは存じますが、普通の成り行きでございましょう」
確かにそうだ。一目惚れだけで婚約まで持っていくのは、少し強引にも思えるが、まあ、許容範囲だ。
「問題が生じたのはその後です。その女は、自らの身体に宿った子供を、そっくりそのまま他の女の身体に移し替えたのです」
「なんですって?」
さすがにでたらめだと思った。聖女の私でさえ、そのようなことはできない。だから、普通の人間にできるはずなどないのだ。
「疑いになるのはもっともだと思います。ですが、これは間違いなく事実なのです。そして、この女は娼婦であることが後にわかりました」
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「そして、女は知らず知らずのうちに疫病を伯爵に植えつけたのです。実を言いますと、疫病に侵されたのは、伯爵のみならず、私たちもそうなのです」
「ということは、あなたたちもその女と寝たというわけなのね?」
私がこう尋ねると、男は恥ずかしそうに、
「はい」
と答えた。
「娼婦がもたらした疫病か……。伯爵はその後どうなったの?」
「伯爵は……」
男は言葉が詰まった。
「見るも無残な姿に成り果てました。ああ、実物を見ていただく方が早いでしょうか。これから案内しましょう……」
男は立ち上がって、私たちを先導した。
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