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その1

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「お嬢様!!!!今すぐお城にお上がりください!!!!婚約者である王子アンカロン様がお呼びのようです!!!!!」

それは、突然の出来事でした。私アンナの元に執事が息を切らしてやって来たのです。何かと思って話を聞きますと、彼はアンカロン様が認めたという手紙を持っているのでした。そこには、とにかく早く参上せよ、と書かれていたのです。ですから、私は何も迷わずに仕度を始めたわけでございました。

アンカロン様の元に嫁ぐためのドレスを今すぐ着ていけばいいのか、あるいは、こんな緊急の呼び出しということは、アンカロン様の家族に何か不幸があったのか、もしそうだとしたら、婚約用の華やかなドレスを着ていくなんて、それは非常に場違いなことだと考えました。

結局、私は普段着の簡素なドレスを纏い、すぐさま馬車に乗り込みました。

「アンナ!!!!!」

心配したお父様、お母様が私の出発を見送りに参りました。

「心配なさらないでください」

私はこう言いました。

「ああ、頼むから、アンカロン様のご機嫌を損なうことだけはしないでくれよ????ここまでこぎつけるのに、私たちがどれほど努力をしたことか……」

はいはい……お二人の自慢話を聞く余裕はありませんでした。私はすぐさま出発の合図である鈴を鳴らして、お城に急ぐのでした。

お父様、お母様は結局のところ、私の幸せよりも、家のことを優先するわけでございました。まあ、こんなことを嘆いても仕方がないのです。だったら、自分で早く婚約相手を見つけろってことですからね。

まあ、ともあれ、私のお父様は公爵の中でも皇帝陛下の側近クラスでございますから、例え辺鄙な殿方と恋に落ちて、我が家に招き入れたところで、その答えは最初から分かっておりました。

私はお父様やお母様にとって、単なる操り人形なのです。その運命を受け入れるのが、公爵令嬢……ひいては、長女として生まれてきた私に与えられた使命なのです。

ですから、嫌でも私はこの使命を全うしなければならないのです。誰が何といおうと……。


そして、このアンカロン様の呼び出しから、私の人生が大きく変わることを、誰もまだ知りませんでした……。
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