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フレディが私に会いに来る事はなかった。
もしかしたら、お別れの時までライザと会っているのかもしれないがよくわからない。
リジーはライザのドレスを作る事に必死なのか、私のドレスのサイズ合わせすらしにこない。
どうすればいいのか。どうなるのか。不安感に苛まれながら私は誕生パーティーの日を数えた。
正直なところ、失敗が目に見えているこの状況下で何人もの人を招待して恥をかくくらいなら、少数でいいと思い招待状は最小限にした。
私とフレディの身内だけにしたのだ。
フレディも、誰を招待するかという話の中で「全て君に任せるよ」と丸投げしてきたのでそうさせてもらった。
兄のレオナルドには招待状を送らなかった。忙しいだろうし、どうせ呼んだところで来るはずがない。
第二王子のところで頑張っているのに、自分のわがままで呼び出すのは申し訳なかったのもあった。
誕生パーティー当日。
クラリスに野暮ったいドレスを着せてもらいながら、あることに気がついた。
サイズが合っていないのだ。痩せぎすの私には普通のサイズのドレスですらぶかぶかでずり落ちでしまう。
「なんですかこのドレスは!サイズが合っていないじゃない!」
クラリスは、苛立った様子で私に怒鳴りつけた。
「はあ、めんどくさい!縫うからじっとしててください」
クラリスは裁縫道具を持ち出して、ブカブカのドレスがずり落ちないように縫い始める。
クラリスに言われた通りじっとしていると、突然チクリと背中が痛んだ。
針に刺されたのだとすぐにわかった。
「っう……」
身を捩りそうになるが、唇を噛み締めて耐えると、クラリスは軽く笑った。
「動くからですよ!あ、ごめんなさい。手が滑りました」
今度はわざとだ。
針が深々と刺さったのがわかった。
「いたっ……!」
あまりの痛さに思わず声を上げると、クラリスは、それを鼻で笑った。
「こんな痛み、ライザお嬢様に比べたら大したものじゃないですよ。どれだけ泣いていたかわかりますか?!」
ライザがフレディのことを好きなのは知っていた。
けれど、決められた婚約を覆す事は難しい。それが、気に入らないのなら、クラリスは私に八つ当たりするのではなく、両親やデンプシー家に掛け合うべきだ。
それができないから私に八つ当たりしているのだ。
「……」
何度も同じ箇所を針で刺されながら、私は痛みに耐えた。
嫌だ。やめて欲しい。と、騒いだところで誰も助けてはくれないことをよく理解しているから。
それなら、早くこの時間が終わ流ように待つしかない。
「……私の手を煩わせないでください。お願いですから」
ブカブカの首元を縫い付け終わったクラリスは、吐き捨てるようにそう言い部屋から出ていった。
縫い目はガタガタで、わざと汚く縫ったのがわかった。
そういえば、髪の毛すら整えてもらっていない。
自分で整えようにも、時間は刻一刻と迫っている。
「自分でどうにかしなくちゃ」
鏡台に座ろうとすると、確認もなく部屋のドアが開いた。
「何しているんですか!さっさときてください!」
クラリスが私の腕を捻るように掴み強引に部屋から連れ出した。
「フレディ様がお待ちです。私の手を煩わせるなとあれほど言いましたよね!」
フレディの控え室に連れて行かれると、わざとらしく針で刺した場所を押された。
「っ……!」
痛みに顔を顰めていると、フレディは、私以上に不愉快そうな顔をして立っていた。
その胸に付いているブローチも、着ている服も、ライザの瞳と同じアクアマリンだ。
私はあまりの衝撃に目を見開いた。
それは、彼が誰に心を捧げているのか、周囲に見せつけるようだった。
~~~~
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フレディが私に会いに来る事はなかった。
もしかしたら、お別れの時までライザと会っているのかもしれないがよくわからない。
リジーはライザのドレスを作る事に必死なのか、私のドレスのサイズ合わせすらしにこない。
どうすればいいのか。どうなるのか。不安感に苛まれながら私は誕生パーティーの日を数えた。
正直なところ、失敗が目に見えているこの状況下で何人もの人を招待して恥をかくくらいなら、少数でいいと思い招待状は最小限にした。
私とフレディの身内だけにしたのだ。
フレディも、誰を招待するかという話の中で「全て君に任せるよ」と丸投げしてきたのでそうさせてもらった。
兄のレオナルドには招待状を送らなかった。忙しいだろうし、どうせ呼んだところで来るはずがない。
第二王子のところで頑張っているのに、自分のわがままで呼び出すのは申し訳なかったのもあった。
誕生パーティー当日。
クラリスに野暮ったいドレスを着せてもらいながら、あることに気がついた。
サイズが合っていないのだ。痩せぎすの私には普通のサイズのドレスですらぶかぶかでずり落ちでしまう。
「なんですかこのドレスは!サイズが合っていないじゃない!」
クラリスは、苛立った様子で私に怒鳴りつけた。
「はあ、めんどくさい!縫うからじっとしててください」
クラリスは裁縫道具を持ち出して、ブカブカのドレスがずり落ちないように縫い始める。
クラリスに言われた通りじっとしていると、突然チクリと背中が痛んだ。
針に刺されたのだとすぐにわかった。
「っう……」
身を捩りそうになるが、唇を噛み締めて耐えると、クラリスは軽く笑った。
「動くからですよ!あ、ごめんなさい。手が滑りました」
今度はわざとだ。
針が深々と刺さったのがわかった。
「いたっ……!」
あまりの痛さに思わず声を上げると、クラリスは、それを鼻で笑った。
「こんな痛み、ライザお嬢様に比べたら大したものじゃないですよ。どれだけ泣いていたかわかりますか?!」
ライザがフレディのことを好きなのは知っていた。
けれど、決められた婚約を覆す事は難しい。それが、気に入らないのなら、クラリスは私に八つ当たりするのではなく、両親やデンプシー家に掛け合うべきだ。
それができないから私に八つ当たりしているのだ。
「……」
何度も同じ箇所を針で刺されながら、私は痛みに耐えた。
嫌だ。やめて欲しい。と、騒いだところで誰も助けてはくれないことをよく理解しているから。
それなら、早くこの時間が終わ流ように待つしかない。
「……私の手を煩わせないでください。お願いですから」
ブカブカの首元を縫い付け終わったクラリスは、吐き捨てるようにそう言い部屋から出ていった。
縫い目はガタガタで、わざと汚く縫ったのがわかった。
そういえば、髪の毛すら整えてもらっていない。
自分で整えようにも、時間は刻一刻と迫っている。
「自分でどうにかしなくちゃ」
鏡台に座ろうとすると、確認もなく部屋のドアが開いた。
「何しているんですか!さっさときてください!」
クラリスが私の腕を捻るように掴み強引に部屋から連れ出した。
「フレディ様がお待ちです。私の手を煩わせるなとあれほど言いましたよね!」
フレディの控え室に連れて行かれると、わざとらしく針で刺した場所を押された。
「っ……!」
痛みに顔を顰めていると、フレディは、私以上に不愉快そうな顔をして立っていた。
その胸に付いているブローチも、着ている服も、ライザの瞳と同じアクアマリンだ。
私はあまりの衝撃に目を見開いた。
それは、彼が誰に心を捧げているのか、周囲に見せつけるようだった。
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