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フランツとの関係は良好そのものだ。
一緒に学園に行き。放課後になったら図書室に行って勉強する。
フランツに教えてもらうと、わからないところがよくわかる。
そして、フランツも同じように感じてくれているようだった。
二人で勉強しながら思った事がある。
「みんなで、勉強会しない?」
それは、二人だけで勉強するのでなく、何人かで勉強する事だった。
フランツの教え方はとても上手で、私がそれを独占するのは勿体無い気がしたのと。
結局、私は狭い世界にいるのだと思うようになったからだ。
そう、フランツとステラ以外に友達がいない。
「え?」
私の提案にフランツは明らかに戸惑っている。
彼の性格だったら「いいね」と、言ってくれそうな気がするのに。
「わからないところとか教えて欲しい人もいると思うんだよね」
「なるほど、でも、僕たちが教えてもらうことはないと思うんだけど」
なんだか、やりたくなさそうな雰囲気を出すフランツに違和感を覚えながらも私は説得する言葉を連ねる。
「損得勘定でやるわけじゃないし、私はいいかなって思うんだ。教える事も勉強になるし。やりたい」
「でもさ、誰かに構ってたら成績下がるかもよ。一位取るのが目標なんでしょ?」
「そうだけど、気がついたんだよね。卒業したら一位も二位もあまり関係ないんだって、いい成績だったことには変わらないし、それにこだわらないで他の人と交流したいなって思ってて」
「……そうだね。確かに。うん、いいんじゃないかな」
「何か不満でもある?」
明らかに不満そうなフランツに、私はその理由を聞く。
「二人きりの時間が無くなるのが嫌だ」
確かに放課後に勉強会をしたら、フランツと二人きりで過ごす時間は無くなってしまう。
「別にいいじゃない。学園がない日に出かければ」
「……!」
私の提案にフランツは喜色満面で頷く。
話し合い。今週末に一緒に出かけることになった。
次の日、私はまず最初にステラに声をかけることにした。
あれからかなり仲良くなれた気がする。お互いに相性で呼ぶくらいには。
「ステラ、あのね。これから放課後に勉強会をするつもりなんだけど、もしよかったら参加してくれるかな?」
「えっ、いいの?フランツさんとエーデルが教えてくれるなら助かる!絶対に行くから!」
ステラは二つ返事で喜んでくれた。
「もし、お友達とかいて一緒にしてもいいって思う子いたから声かけてくれるかな?」
「うん!一緒にやりたい子多いと思う」
ステラは、そう言ってくれるが実際はどうなるのかわからないので少しだけ不安だ。
「でもいいのかな?」
「何が?」
「だって、勉強会っていうカップルの時間を邪魔しちゃってフランツさん怒らない?」
ステラはこういったことへの気遣いができるタイプのようだ。
もしも、困ったことがあったら相談しよう。
「大丈夫だと思う。今度デートに行くし」
「嘘!その話聞かせてよ!」
ステラは、私の話に食いついた。
どこに行くかも聞かれて、来ないでね。と、念押しして、少し困りながらも答えた。
学園生活というものは、たぶん、こういった物なのだと思う。
勉強ばかりではなくて周囲に気を向ける事。頑張ることは頑張って、今を楽しむ。
それが大切なのだと思う。順位なんて関係ない。
フランツとの関係は良好そのものだ。
一緒に学園に行き。放課後になったら図書室に行って勉強する。
フランツに教えてもらうと、わからないところがよくわかる。
そして、フランツも同じように感じてくれているようだった。
二人で勉強しながら思った事がある。
「みんなで、勉強会しない?」
それは、二人だけで勉強するのでなく、何人かで勉強する事だった。
フランツの教え方はとても上手で、私がそれを独占するのは勿体無い気がしたのと。
結局、私は狭い世界にいるのだと思うようになったからだ。
そう、フランツとステラ以外に友達がいない。
「え?」
私の提案にフランツは明らかに戸惑っている。
彼の性格だったら「いいね」と、言ってくれそうな気がするのに。
「わからないところとか教えて欲しい人もいると思うんだよね」
「なるほど、でも、僕たちが教えてもらうことはないと思うんだけど」
なんだか、やりたくなさそうな雰囲気を出すフランツに違和感を覚えながらも私は説得する言葉を連ねる。
「損得勘定でやるわけじゃないし、私はいいかなって思うんだ。教える事も勉強になるし。やりたい」
「でもさ、誰かに構ってたら成績下がるかもよ。一位取るのが目標なんでしょ?」
「そうだけど、気がついたんだよね。卒業したら一位も二位もあまり関係ないんだって、いい成績だったことには変わらないし、それにこだわらないで他の人と交流したいなって思ってて」
「……そうだね。確かに。うん、いいんじゃないかな」
「何か不満でもある?」
明らかに不満そうなフランツに、私はその理由を聞く。
「二人きりの時間が無くなるのが嫌だ」
確かに放課後に勉強会をしたら、フランツと二人きりで過ごす時間は無くなってしまう。
「別にいいじゃない。学園がない日に出かければ」
「……!」
私の提案にフランツは喜色満面で頷く。
話し合い。今週末に一緒に出かけることになった。
次の日、私はまず最初にステラに声をかけることにした。
あれからかなり仲良くなれた気がする。お互いに相性で呼ぶくらいには。
「ステラ、あのね。これから放課後に勉強会をするつもりなんだけど、もしよかったら参加してくれるかな?」
「えっ、いいの?フランツさんとエーデルが教えてくれるなら助かる!絶対に行くから!」
ステラは二つ返事で喜んでくれた。
「もし、お友達とかいて一緒にしてもいいって思う子いたから声かけてくれるかな?」
「うん!一緒にやりたい子多いと思う」
ステラは、そう言ってくれるが実際はどうなるのかわからないので少しだけ不安だ。
「でもいいのかな?」
「何が?」
「だって、勉強会っていうカップルの時間を邪魔しちゃってフランツさん怒らない?」
ステラはこういったことへの気遣いができるタイプのようだ。
もしも、困ったことがあったら相談しよう。
「大丈夫だと思う。今度デートに行くし」
「嘘!その話聞かせてよ!」
ステラは、私の話に食いついた。
どこに行くかも聞かれて、来ないでね。と、念押しして、少し困りながらも答えた。
学園生活というものは、たぶん、こういった物なのだと思う。
勉強ばかりではなくて周囲に気を向ける事。頑張ることは頑張って、今を楽しむ。
それが大切なのだと思う。順位なんて関係ない。
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