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「わぁ~」
あくびが出る、最近忙しすぎてろくに眠れてない。
死神、人の死を見届けて魂を送り出すそれが俺の仕事だ。
黒いスーツにボサボサの頭に缶コーヒーを持ってビルの上で座っていると携帯がなった。
「はぁ」
次の仕事だ。
俺は屋上の柵を登りそのまま柵から飛び降りた。
グシャ
俺の体はグシャグシャになった、だが生きている。
「はぁ、痛ぇ」
死神は皆、元人間だ、正確に言えば死ねなくなった人間だ。
バラバラになった肉片が1つになって元の姿に戻った。
「はぁ」
片方の靴がない、周りを確認すると通る人たちに踏まれている俺の靴があった。
死神を認識できるのは死人か霊感が強い人間だけだ、自分から姿を現すこともできるが仕事に関係ないから基本的に人前に姿を現さない。
「めんどくせぇけど仕事だから行くか」
こんな体になっても腹は減るし疲れも溜まるそれを癒すのには多少なりとも金がかかるだから仕事をしなきゃならない。
「2つ目の角を左でまっすぐ行けばいいのか」
そこには萎れたサラリーマンがいた。
山田 健一(やまだ けんいち)46歳
15:12 通り魔に腹を刺されて死亡
俺は携帯のホーム画面を開いて時間を確認した。
15:10あと2分であのサラリーマンは死ぬ。
「うぁーーーーーー」
フードをかぶった男が奇声を上げながらバックからナイフを取り出して周りの人たちに切り掛かっていった。
あと20秒
山田の腹にナイフが刺さった、真っ赤な血が止まることを知らないかのように流れていく。
0秒
山田 健一の死亡を見届けた、やれやれここからが死神の大変なお仕事の時間だ。
○○○○
変な感じだな自分の体を見ているのは。
外に営業に行き会社に戻るときに私はフードをかぶった青年に刃物で腹を刺された、自分の体を見ていると言うことは私は多分、死んだのだろう。
「山田様、本日は誠にご愁傷様です」
いきなり声をかけられてビックリした、恐る恐る振り返るとそこには頭がボサボサのスーツ姿の男が立っていた。
「あの、あなたは」
「私は藤田 新一、死神です」
死神、つまりそう言うことなんだと察した。
「死神さんつまり私は」
「はい、先程息をお引き取りになりました」
質問にすぐに返事をした死神、結構勇気を出して聞いたのにな。
「あの」
「すいません山田様、お話しは少し場所を変えましょうか」
「えっ?」
藤田と山田の周りには知らない間に人集りができていた。
「そっ、そうですね」
私たちは街が一望できる丘がある公園にきた、ここの景色はかなり素晴らしい生きているとき家族で来たのを思い出す、あのときは本当に良かった。
「あの死神さん」
「なんですか」
眠そうな顔で前かがみになってベンチに座っていた。
「私はこれからどうなるんですか」
「基本はあの世に行ってもらいます」
やっぱりあるのか、あの世。
「ですが今すぐと言うわけではありません山田様にはあの世に行くまで少し時間を差し上げることができます」
「本当ですか!?」
「本当です、皆さま自分のお葬式が終わってから旅立たれるかたが多いですね」
葬式か、自分の葬式を見るってどうなんだろうか。
「山田様がお望みなら今すぐにでも旅立つことは可能ですよ」
「いえいえ、自分の葬式が終わってから行かせてもらいます」
「そうですか」
死神さんは下を向きながら軽く答えてた。
私が死んでから2日たったお通夜には行ってない家族が私が死んでどんな顔でいるのか怖くなった。
会社での成績は悪い方ではなかったが余り目立たづ、娘は絶賛反抗期、妻は最近素っ気ない、私が死んでも喜ばれるだけならどうしようと思うと怖くなる。
「山田様、本当に今日行かれるのでよろしいのですね」
「はい、構いません」
心の準備はできた、でも最後に家族の顔を見ておきたい。
葬式場にゾロゾロ人が入ってきた、そこには妻と娘もいた、2人とも目が腫れていた。
葬式も終盤、皆で棺桶に花を入れ始めた、娘が私の棺桶に花を入れた。
「なんで、いきなり死んでだよクソ親父」
目には大きな涙を溜め、声は震えていた。
「もっと色々話してたらよかったて昨日顔見てからずっと後悔してた」
大きな涙が私の顔に落ちる、娘は涙を手でぬぐっていた、妻は娘の肩に手を置き花を入れた。
「普通、父親ってのは花嫁をエスコートするものよこの子が結婚するときどうするの?」
後ろで2人の姿を見て自分の中の感情が大きく動く。
「俺だって、俺だってもっとお前たちと色々話したかったよ、お前のウエディングドレス姿をエスコートしたかったよもっと生きてお前たちを抱きしめたかったよ」
俺がどれだけ大きな声で叫んでも2人に届くことはない、お前たちに触れようと思ってもこの手はお前たちを通り抜けてしまう。
私の棺桶が霊柩車に乗せられ火葬場に運ばれるのを見送った。
「死神さん」
「なんですか」
「ありがとう」
死神さんは驚いた顔をしていた、だが最後に家族に合わせてくれたことには感謝しなくてはならないだからもう一度言うことにする
「ありがとう」
死神さんは照れ臭そうな顔をしていた。
「山田様そろそろお時間です」
「わかりました」
やりたいことも多いが死んだ私がこの世界にずっと居ていい世界ではないことぐらい知っている。
「行きましょうか」
「山田様こちらを」
死神さんは私に提灯を渡してた。
「あの世への続く道はかなり暗いですから」
「本当にありがとうございます」
提灯を受け取った瞬間、足元から徐々に消えていった、消えていく間ずっと死神さんは頭を下げていった、本当にありがとうございます。
山田は藤田に微笑みかけて消えていった。
「山田 健一様、本日は誠にご愁傷様です」
あくびが出る、最近忙しすぎてろくに眠れてない。
死神、人の死を見届けて魂を送り出すそれが俺の仕事だ。
黒いスーツにボサボサの頭に缶コーヒーを持ってビルの上で座っていると携帯がなった。
「はぁ」
次の仕事だ。
俺は屋上の柵を登りそのまま柵から飛び降りた。
グシャ
俺の体はグシャグシャになった、だが生きている。
「はぁ、痛ぇ」
死神は皆、元人間だ、正確に言えば死ねなくなった人間だ。
バラバラになった肉片が1つになって元の姿に戻った。
「はぁ」
片方の靴がない、周りを確認すると通る人たちに踏まれている俺の靴があった。
死神を認識できるのは死人か霊感が強い人間だけだ、自分から姿を現すこともできるが仕事に関係ないから基本的に人前に姿を現さない。
「めんどくせぇけど仕事だから行くか」
こんな体になっても腹は減るし疲れも溜まるそれを癒すのには多少なりとも金がかかるだから仕事をしなきゃならない。
「2つ目の角を左でまっすぐ行けばいいのか」
そこには萎れたサラリーマンがいた。
山田 健一(やまだ けんいち)46歳
15:12 通り魔に腹を刺されて死亡
俺は携帯のホーム画面を開いて時間を確認した。
15:10あと2分であのサラリーマンは死ぬ。
「うぁーーーーーー」
フードをかぶった男が奇声を上げながらバックからナイフを取り出して周りの人たちに切り掛かっていった。
あと20秒
山田の腹にナイフが刺さった、真っ赤な血が止まることを知らないかのように流れていく。
0秒
山田 健一の死亡を見届けた、やれやれここからが死神の大変なお仕事の時間だ。
○○○○
変な感じだな自分の体を見ているのは。
外に営業に行き会社に戻るときに私はフードをかぶった青年に刃物で腹を刺された、自分の体を見ていると言うことは私は多分、死んだのだろう。
「山田様、本日は誠にご愁傷様です」
いきなり声をかけられてビックリした、恐る恐る振り返るとそこには頭がボサボサのスーツ姿の男が立っていた。
「あの、あなたは」
「私は藤田 新一、死神です」
死神、つまりそう言うことなんだと察した。
「死神さんつまり私は」
「はい、先程息をお引き取りになりました」
質問にすぐに返事をした死神、結構勇気を出して聞いたのにな。
「あの」
「すいません山田様、お話しは少し場所を変えましょうか」
「えっ?」
藤田と山田の周りには知らない間に人集りができていた。
「そっ、そうですね」
私たちは街が一望できる丘がある公園にきた、ここの景色はかなり素晴らしい生きているとき家族で来たのを思い出す、あのときは本当に良かった。
「あの死神さん」
「なんですか」
眠そうな顔で前かがみになってベンチに座っていた。
「私はこれからどうなるんですか」
「基本はあの世に行ってもらいます」
やっぱりあるのか、あの世。
「ですが今すぐと言うわけではありません山田様にはあの世に行くまで少し時間を差し上げることができます」
「本当ですか!?」
「本当です、皆さま自分のお葬式が終わってから旅立たれるかたが多いですね」
葬式か、自分の葬式を見るってどうなんだろうか。
「山田様がお望みなら今すぐにでも旅立つことは可能ですよ」
「いえいえ、自分の葬式が終わってから行かせてもらいます」
「そうですか」
死神さんは下を向きながら軽く答えてた。
私が死んでから2日たったお通夜には行ってない家族が私が死んでどんな顔でいるのか怖くなった。
会社での成績は悪い方ではなかったが余り目立たづ、娘は絶賛反抗期、妻は最近素っ気ない、私が死んでも喜ばれるだけならどうしようと思うと怖くなる。
「山田様、本当に今日行かれるのでよろしいのですね」
「はい、構いません」
心の準備はできた、でも最後に家族の顔を見ておきたい。
葬式場にゾロゾロ人が入ってきた、そこには妻と娘もいた、2人とも目が腫れていた。
葬式も終盤、皆で棺桶に花を入れ始めた、娘が私の棺桶に花を入れた。
「なんで、いきなり死んでだよクソ親父」
目には大きな涙を溜め、声は震えていた。
「もっと色々話してたらよかったて昨日顔見てからずっと後悔してた」
大きな涙が私の顔に落ちる、娘は涙を手でぬぐっていた、妻は娘の肩に手を置き花を入れた。
「普通、父親ってのは花嫁をエスコートするものよこの子が結婚するときどうするの?」
後ろで2人の姿を見て自分の中の感情が大きく動く。
「俺だって、俺だってもっとお前たちと色々話したかったよ、お前のウエディングドレス姿をエスコートしたかったよもっと生きてお前たちを抱きしめたかったよ」
俺がどれだけ大きな声で叫んでも2人に届くことはない、お前たちに触れようと思ってもこの手はお前たちを通り抜けてしまう。
私の棺桶が霊柩車に乗せられ火葬場に運ばれるのを見送った。
「死神さん」
「なんですか」
「ありがとう」
死神さんは驚いた顔をしていた、だが最後に家族に合わせてくれたことには感謝しなくてはならないだからもう一度言うことにする
「ありがとう」
死神さんは照れ臭そうな顔をしていた。
「山田様そろそろお時間です」
「わかりました」
やりたいことも多いが死んだ私がこの世界にずっと居ていい世界ではないことぐらい知っている。
「行きましょうか」
「山田様こちらを」
死神さんは私に提灯を渡してた。
「あの世への続く道はかなり暗いですから」
「本当にありがとうございます」
提灯を受け取った瞬間、足元から徐々に消えていった、消えていく間ずっと死神さんは頭を下げていった、本当にありがとうございます。
山田は藤田に微笑みかけて消えていった。
「山田 健一様、本日は誠にご愁傷様です」
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