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ばならないだろう。何しろ主人公たる彼女は元はと言えば魔王の娘なのだからな。そう、つまり彼女は本来ならば倒すべき相手ということになるわけだ。ならば当然の如く敵対関係にあるはずなのであるが実際にはそうではないどころか寧ろ仲睦まじく暮らしているように見えることからしておかしな話だと思わないかね?思わないだろうな普通はそうだろうさ私だって当事者でなければそう思ったに違いないからな。だが事実そうなっているのだから仕方がないじゃないか。世の中そういうものなんだよ諦めろ!ちなみに言っておくと私とリリィールの関係についても似たようなものだと思ってくれて構わないぞ!何せ私達は恋人同士だからな!えっへん!……いや待て違うそうじゃないそうじゃないそうじゃないぞ断じて違うぞ!?何を勘違いしているんだ貴様等は!?そういうのじゃないと言っているだろうがぁあぁああっっ!!!……ふう……危ないところだったぜ全く油断も隙もあったものじゃないな全くもう勘弁して欲しいぜまったくもって困ったものだよなぁ本当にさぁ……さておき話を戻そうじゃないか。ええとどこまで話したんだったかな?……ああそうだ思い出したぞ!私が言いたかったのはそのことだったんだよ!要するにだな、なぜ私がこんな辺鄙な場所で暮らす羽目になったのかという話であってだね……あーうん、すまん訂正しよう。本当は単に愚痴りたいだけだったんだわこれ。あはは、ごめんごめん許してちょんまげー☆」などとふざけたことを考えつつも真面目に話すことにする私だったのだが、ここで一つ問題が発生した。というのも、いつの間にか話が脱線していたせいで肝心の部分を話し忘れていたことに気づいたからである。やれやれ情けない限りではあるが仕方ないのでもう一度最初からやり直すことにしようと思う。面倒なので手短に済ませたいところなのだが生憎とそういうわけにもいかないようなので最後まで付き合ってもらう必要があるみたいだ。そんなわけでよろしく頼むぞ読者諸君!それでは気を取り直して続きを話していこうじゃないか!え?前置きが長いって?そんなこと言われても困るんだが……まあいいか別に減るもんじゃないしな。むしろ増えるかもしれないしな!というわけで今度こそ始めさせてもらうとするぞ!えいっえいやっ!
「あっはっはーっ!」と言いながら飛び跳ねる彼女を見ているとこちらまで楽しくなってくるような気がするのだがそれはそれとして問題は解決していないわけだしどうしたものかと考え込んでいると不意に声を掛けられたので顔を上げるとそこには満面の笑みをたたえた彼女が立っていた。そしてそのままこちらに歩み寄ってくるといきなり抱きつかれてしまったことで動揺していると耳元で囁かれたことで余計にドキドキさせられてしまい顔が真っ赤になってしまったことは言うまでもないことであると言えるのではないだろうか。そんなことを考えていた時のことであった。突如として視界が暗転したかと思うと意識が遠のいていくような感覚に襲われたかと思えば次の瞬間には目の前が真っ暗になっていたために何が起こったのか理解できなかった私は困惑しつつも必死に状況を把握しようと試みていたのだがどうやら手足を縛られていることに加えて猿轡のようなものを口に噛ませられているらしく声を出すこともままならない状態だったためどうすることもできずにいると突然何者かによって担ぎ上げられたと思ったらそのままどこかへ運ばれ始めたことがわかった私は必死になって抵抗しようとしたものの無駄に終わるばかりでどうしようもなかったこともあって結局されるがままの状態が続くことになった
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