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然のことかもしれない。最初は恥ずかしかったのだが今ではすっかり慣れてしまったのか安心感を覚えるようになっていたため素直に身を委ねることにした私は目を閉じてリラックスすることにしたのだった。
そんな私の様子に気付いたのかクスリと笑うと再び頭を撫で始めるリリィールに甘えるように擦り寄っていくとそれに応えるように抱きしめてくれる力が強くなるのを感じた私は嬉しくなって笑顔を浮かべると自分から抱きついていった。
こうして、しばらくの間抱き合っていた私達だったが不意にお腹が鳴ってしまったことで我に返った私は恥ずかしさのあまり赤面してしまったのだが、その様子を見ていたリリィールがくすりと笑っていたので余計に恥ずかしくなってしまった私は俯いて黙り込んでしまった。しかし、そんな彼女の様子を見たリリィールは優しく微笑むと言った。
大丈夫ですよ、私もお腹空いてきましたしそろそろご飯にしましょうか? その言葉を聞いて顔を上げた私は笑顔で頷くと早速準備に取り掛かることにしたのだ。とは言っても用意するものはそれほど多くなかったのであっという間に終わってしまったわけだが……まぁいいかと思いながら振り返るとそこには期待に満ちた眼差しを向けてきているリリィールの姿があったわけで……仕方ないなぁと思いつつ苦笑しつつ手招きしてあげると嬉しそうに駆け寄ってきた彼女を迎え入れてから一緒に食事を取ることにした。メニューはもちろんパンである。
いただきますと言って食べ始めた二人であったがその味はとても美味しいものでついつい夢中になって食べていたせいであっという間に平らげてしまうことになったわけだがそれでもまだまだ足りなかったためおかわりをする事にした私達はその後も何度もおかわりをして結局五回ほど食べることになった結果、さすがにこれ以上は入らないということで断念することになったのである。
ごちそうさまでした。美味しかったねぇ~☆ そうですね……また食べたいですわ……
名残惜しそうにしながらも満足そうにしている二人を見て微笑ましく思っていた私ではあったが同時に羨ましくもあったので今度自分でも作ってみようかと考え始めていたところであった。そんな時だった、突然玄関の扉がノックされたかと思うと声が聞こえてきたので慌てて出てみるとそこにいたのは見覚えのある人物が立っていたので驚いたものである。その人物とは誰あろう、かつて私のライバルとして競い合っていた相手であり宿敵でもあった女剣士ことアリスティアだったのである。彼女は相変わらず不機嫌そうな表情を浮かべたまま私のことを見下ろしていたのだがやがて口を開いたかと思えばこう言ったのである。久しぶりだね、元気にしてたかい? その言葉を聞いた瞬間、私は驚きのあまりに固まってしまったのだがそんな事にはお構いなしとばかりに話を続けていく彼女に対して困惑しつつも何とか返事をすることに成功した私は恐る恐る尋ねてみたのだが返ってきた答えは意外なものであった。てっきり罵倒されると思っていただけに拍子抜けしてしまったのだがそれと同時にホッとしたのも事実だったのだがそんな事を考えているうちに彼女が続けて口にした言葉で一気に現実に引き戻されることになったのだ。それはつまりこういうことだったからである。実は君に頼みがあって来たんだよ、聞いてくれるよね? 有無を言わせぬ迫力に負けて頷いてしまった私に満足そうな笑みを浮かべるとついてこいと言わんばかりに歩き出した彼女の後をついていくことにした私が連れてこられたのは森の中に建つ一軒家だったわけで中に入るとリビングに案内された後で
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