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エレン様に告白されてから数日が経過したある日のこと、いつものように冒険者ギルドに行くとエレン様が出迎えてくれた。
「おはようございます!エレン様!」元気よく挨拶をすると彼女も笑顔で返してくれた。
「おはよう、アズナちゃん」
挨拶を済ませた後、早速依頼を探すことにしたのだが今日は珍しく良い仕事が見つからなかったため仕方なく家に帰ることにした。帰り道の途中でふとあることを思いついた私はエレン様を誘ってみることにした。「あのぉ、もしよろしければなんですけど今夜あたり私の部屋に来ませんか?」と言うと彼女はキョトンとした顔でこちらを見つめてきたため慌てて弁明しようとしたところ逆に謝られてしまった。
「ごめんなさいね、気を遣わせちゃったみたいで・・・」と言って苦笑する彼女に私は慌てて否定するように言った。「いえ、違いますよ!?決してそういうわけじゃなくってですね!?」などと言い訳をしていると彼女がクスクスと笑ったため恥ずかしくなって俯いてしまった。それからしばらくの間沈黙が続いた後で再び口を開いた彼女が言った言葉は意外なものだった。「ねえ、良かったら今から行ってもいいかしら?」まさかの展開に動揺してしまったものの何とか平静を装って返事をすることができたと思う。しかし内心ではかなりドキドキしていたことは言うまでもないだろう。そうして私達は連れ立って家路につくことになったわけだが道中はずっと無言のままだったせいで余計に緊張してしまったせいか途中で転んでしまうというアクシデントに見舞われてしまったりもしたが結果的に無事に帰ることができたので良しとしようではないか!それにしても今日の夕食は何にしようかしら?そんなことを考えながら歩いていると不意に手を握られたのでドキッとしたがすぐに握り返すことでそれに応えることに成功した私は心の中でガッツポーズを決めたのだった。
***
そんなやりとりがあった日の夜、約束通り訪ねてきた彼女を迎え入れるとまずはお茶を出してもてなしてから本題に入ることにした。
最初に切り出した話題はやはり昼間の件である。なぜあんなことを言ったのか自分でもよく分からなかったがとにかく聞いて欲しかったのだということはなんとなく理解していたつもりだ。一通り話し終えた後に改めて謝罪の言葉を述べると今度は彼女が謝ってきたので面食らってしまった。てっきり怒られると思っていただけに拍子抜けした気分だったがよくよく考えてみれば当然のことだろうと思い直した私は素直に受け入れることにした。そしてお互いに謝り合った後は顔を見合わせて笑い合うことになったわけだがここで思わぬハプニングが起きてしまったことで一気に雰囲気が険悪なものになってしまったためどうしたものかと考えているうちに最悪の事態を招いてしまったのだ・・・。きっかけは本当に些細なことだったのだが今となってはもうどうすることもできない状況に陥ってしまっていた。というのも私が誤ってお茶をこぼしてしまったのだがそれがたまたまエレン様のお洋服にかかった上に染みになってしまっていたのだ。しかも運の悪いことにかなり濃いめのシミが出来上がってしまっており、どう頑張っても落ちそうにないくらい酷い有様になっていたのを見て血の気が引く思いがした。だがそれ以上にショックを受けていたのは他ならぬエレン様本人であろうことは想像に難くなかった。なぜなら彼女は今にも泣き出しそうな顔をしていたからだ。それを見た瞬間、胸が締め付けられるような思いに駆られたがどうすることもできなかった。そんな様子を見兼ねたのかエレン様が声をかけてきた。
「気にしないでちょうだい。わざとやったわけじゃないんだから仕方ないわよ」
そう言いながら微笑んでくれたおかげで幾分か救われたような気がしたがそれでもやはり申し訳ない気持ちでいっぱいだった。そこでせめてもの償いとして代わりのお召し物を貸すことを提案したところ快く承諾してくれたので急いで準備に取り掛かることにした。幸いにもサイズは同じくらいだと思われるので大丈夫だろうと判断した上で着替えを持って行くと案の定ピッタリだったので安心した反面なんだか複雑な気分にもなったが今はそんなことを気にしている場合ではないと思い直し手早く着せていった結果なんとか見られる状態にまで持っていくことが出来たのでホッとしたものだ。ちなみに下着も一緒に洗濯していたため今身に着けているのは新品のものだったりするのだがこの際だから細かいことは気にしないことにしようと思う・・・。
「おはようございます!エレン様!」元気よく挨拶をすると彼女も笑顔で返してくれた。
「おはよう、アズナちゃん」
挨拶を済ませた後、早速依頼を探すことにしたのだが今日は珍しく良い仕事が見つからなかったため仕方なく家に帰ることにした。帰り道の途中でふとあることを思いついた私はエレン様を誘ってみることにした。「あのぉ、もしよろしければなんですけど今夜あたり私の部屋に来ませんか?」と言うと彼女はキョトンとした顔でこちらを見つめてきたため慌てて弁明しようとしたところ逆に謝られてしまった。
「ごめんなさいね、気を遣わせちゃったみたいで・・・」と言って苦笑する彼女に私は慌てて否定するように言った。「いえ、違いますよ!?決してそういうわけじゃなくってですね!?」などと言い訳をしていると彼女がクスクスと笑ったため恥ずかしくなって俯いてしまった。それからしばらくの間沈黙が続いた後で再び口を開いた彼女が言った言葉は意外なものだった。「ねえ、良かったら今から行ってもいいかしら?」まさかの展開に動揺してしまったものの何とか平静を装って返事をすることができたと思う。しかし内心ではかなりドキドキしていたことは言うまでもないだろう。そうして私達は連れ立って家路につくことになったわけだが道中はずっと無言のままだったせいで余計に緊張してしまったせいか途中で転んでしまうというアクシデントに見舞われてしまったりもしたが結果的に無事に帰ることができたので良しとしようではないか!それにしても今日の夕食は何にしようかしら?そんなことを考えながら歩いていると不意に手を握られたのでドキッとしたがすぐに握り返すことでそれに応えることに成功した私は心の中でガッツポーズを決めたのだった。
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そんなやりとりがあった日の夜、約束通り訪ねてきた彼女を迎え入れるとまずはお茶を出してもてなしてから本題に入ることにした。
最初に切り出した話題はやはり昼間の件である。なぜあんなことを言ったのか自分でもよく分からなかったがとにかく聞いて欲しかったのだということはなんとなく理解していたつもりだ。一通り話し終えた後に改めて謝罪の言葉を述べると今度は彼女が謝ってきたので面食らってしまった。てっきり怒られると思っていただけに拍子抜けした気分だったがよくよく考えてみれば当然のことだろうと思い直した私は素直に受け入れることにした。そしてお互いに謝り合った後は顔を見合わせて笑い合うことになったわけだがここで思わぬハプニングが起きてしまったことで一気に雰囲気が険悪なものになってしまったためどうしたものかと考えているうちに最悪の事態を招いてしまったのだ・・・。きっかけは本当に些細なことだったのだが今となってはもうどうすることもできない状況に陥ってしまっていた。というのも私が誤ってお茶をこぼしてしまったのだがそれがたまたまエレン様のお洋服にかかった上に染みになってしまっていたのだ。しかも運の悪いことにかなり濃いめのシミが出来上がってしまっており、どう頑張っても落ちそうにないくらい酷い有様になっていたのを見て血の気が引く思いがした。だがそれ以上にショックを受けていたのは他ならぬエレン様本人であろうことは想像に難くなかった。なぜなら彼女は今にも泣き出しそうな顔をしていたからだ。それを見た瞬間、胸が締め付けられるような思いに駆られたがどうすることもできなかった。そんな様子を見兼ねたのかエレン様が声をかけてきた。
「気にしないでちょうだい。わざとやったわけじゃないんだから仕方ないわよ」
そう言いながら微笑んでくれたおかげで幾分か救われたような気がしたがそれでもやはり申し訳ない気持ちでいっぱいだった。そこでせめてもの償いとして代わりのお召し物を貸すことを提案したところ快く承諾してくれたので急いで準備に取り掛かることにした。幸いにもサイズは同じくらいだと思われるので大丈夫だろうと判断した上で着替えを持って行くと案の定ピッタリだったので安心した反面なんだか複雑な気分にもなったが今はそんなことを気にしている場合ではないと思い直し手早く着せていった結果なんとか見られる状態にまで持っていくことが出来たのでホッとしたものだ。ちなみに下着も一緒に洗濯していたため今身に着けているのは新品のものだったりするのだがこの際だから細かいことは気にしないことにしようと思う・・・。
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