[完結]幻の伯爵令嬢～運命を超えた愛～

第18話: 宿敵との再会

暗黒騎士団の打倒と王都の解放を
成し遂げたリリスたち一行は、
英雄として迎えられた。
王都の住民たちは彼らの勝利を
祝うため、盛大な凱旋パレードを
計画していた。

「リリス様、準備は整いました。
どうぞ、こちらへ。」
市民代表がリリスを迎えに来た。

「ありがとう。
これも皆さんの協力のおかげです。
感謝しています。」
リリスは微笑んで答えた。

華やかな装飾が施された街並みを
進むリリスたちの姿に、
市民たちは歓声を上げ、
花束を投げ入れた。
リリスの隣にはアレクシスが
寄り添い、仲間たちも共に
パレードを盛り上げていた。

「リリス様、
これだけ多くの人々が私たちの
勝利を祝ってくれるなんて、
感動しますね。」
アレクシスが感慨深げに言った。

「そうね。
皆の力があったからこそ、
この勝利を手にすること
ができたの。」
リリスは感謝の気持ちを
込めて答えた。


日中の凱旋パレードが終わると、
夜には王宮で盛大な祝勝夜会が
開かれることになった。
リリスたちは夜会に備えて
準備を整えた。

「リリス様、
今日の夜会での衣装は
こちらです。」
侍女が白の儀礼服を差し出した。

「ありがとう。
皆と共にこの夜会を楽しむわ」
リリスは優雅に微笑み、
儀礼服に袖を通した。


夜になると、
王宮の大広間には多くの貴族や
市民たちが集まり、
豪華な宴が始まった。
美しい音楽が流れ、
華やかな装飾が施された会場は
一層輝いていた。

「リリス様、
今日は本当におめでとうございます。
あなたの勇気に敬意を表します。」
一人の貴族がリリスに祝辞を述べた。

「ありがとうございます。
これからも皆さんと共に
平和を築いていきたいと思います。」
リリスは感謝の言葉を述べた。


祝勝夜会が盛り上がる中、
リリスはふと一人の女性の姿を
見かけた。
彼女はクラリス、
かつてリリスと敵対していた
宿敵だった。

「リリス・フォン・アルトハイム、
ここで再会するとは思わなかったわ。」
クラリスが冷たい微笑みを
浮かべて言った。

「クラリス…
まさか、ここに来ていたとは。
何を企んでいるの？」
リリスは警戒を強めた。

「お祝いの夜会に参加するだけよ。
でも、あなたに一つ試合を
申し込みたいの。
今度は馬術でどうかしら？」
クラリスが挑戦的に言った。

「受けて立つわ。
あなたとの決着を
つける時が来た。」
リリスは決意を固めた。


夜会は夜遅くまで続き、
リリスとクラリスの間には
緊張感が漂っていたが、
他の参加者たちは楽しい
ひとときを過ごしていた。

「リリス様、
クラリスとの対決、
楽しみにしています。」
アレクシスが微笑んで言った。

「ええ、
彼女との勝負に全力を尽くすわ。」
リリスは微笑みながら答えた。


翌朝、
リリスとクラリスの馬術対決が
王宮の特設競技場で行われた。
観衆が見守る中、二人は馬に跨がり、
スタートの合図を待った。

「リリス、
ここであなたとの
決着をつけるわ。」
クラリスが挑発的に言った。

「そうね、
お互い全力で戦いましょう。」
リリスは冷静に答えた。

スタートの合図が鳴り響き、
二人の馬が一斉に駆け出した。
クラリスの馬術は見事で、
リリスを追い越す瞬間もあった。
しかし、
リリスも負けじと技を駆使し、
華麗に障害物を乗り越えていった。

競技は激しい接戦となり、
最後の直線で二人の馬は
並んで走った。
観衆は息を飲んで見守り、
勝負の行方を見守った。


ゴール直前、
リリスは馬に最後の力を振り絞らせ、
僅かな差でクラリスを追い越した。
ゴールラインを越えた瞬間、
観衆は歓声を上げ、
リリスの勝利を讃えた。

「リリス、見事だったわ。」
クラリスは息を切らしながらも、
素直に敗北を認めた。

「ありがとう、クラリス。
あなたも素晴らしい技を
持っているわ。」
リリスは手を差し伸べ、
クラリスを立ち上がらせた。