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第1章 魔女になりたくて
第2話(2) 魔女 アルマ
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あれ、少し声が大きかったですかね?なんか周りの視線が私にすごく、すごく、こうなんというか言葉では表せないほど集中してしまっている気がします。まあ気のせいですよね?そんなに見つめられたら恥ずかしいじゃないですか。
「弟子に…ですか?」
「はい、私、昨日のひまわり畑にいて、それであなたの、魔法を見たんです!それで、私も魔女になりたいなって思って…」
すると私の方を向いて、食い気味にその魔女は聞いてきました。
「本当にあなたは魔女になりたいんですか?」
「え?…はい、私、なりたいです」
「魔女への道は厳しい道です。それでもですか?」
「それでもです」
魔女は黙って私を見つめています。なんだかよくわからないけど、とりあえず辛い、そんな空気が流れています。めちゃくちゃ周りからの視線が痛いです。やばいです。
「あなたは、お母さんのことが好きですか?」
ん?この魔女さんは何を言っているのでしょう?私としては早くこの場から逃れて2人きりになりたいのです。なぜこんなあからさまに話を逸らすんですか?
「好き、です」
「そうですか。私のライバルですか」
ライバル?ライバルってなんのことですか?
「あなたの名前…教えてくれる?」
「あ、はい。フロンタって言います」
「私の名前はアルマ。よろしくね。あなたのことはよく知っています。とりあえず着いてきてください」
そう言って魔女、いえアルマさん、いえ師匠は再び前を向いて歩き始めました。
私はまた先ほどのように着いていきます。
しばらくすると細い路地に入り、師匠はある家に入っていきました。薄暗い路地にあるその家は穴が開きそうなくらいボロボロなドアや割れかけの窓で構成されており、とても人が住んでいるとは思えません。住んでいるとしても貧困そうな人が住んでいる、そんな所です。そこに師匠は入っていったのです。
もしかして、師匠って貧乏?まあ貧乏だったところで私は構わないのですが。
家の中に入ると師匠は「こっちよ」と言って私を家の奥に誘導していきます。ボロボロな家は中もボロボロで、まるで人が住んでいるとは思えません。
しかしやけに長い廊下ですね。まだ先に進みます。そしてしばらくしてようやく右に曲がりました。そこには地下への階段がありました。あと魔力結界がありました。
魔力結界がなにかって?
この世界では大抵の人は多少なりとも魔力を持っています。それは生まれ持ったものであり、生きているうちに最大貯蔵量が増減することはありません。
私たちはそれを消費することで魔法を使うことができるのです。ただ魔法を使うには十分な量の魔力が必要なので、魔力の少ない者は魔女にはなれないという寸法なのです。
魔力は生まれた時に病院で計られます。私はどうやら通常の人よりもとてもとても魔力が多く、魔女に向いているとのことでした。
病院の方は「さすがですね。お母さん」と言っていましたが、どういうことなのかは当時の私には理解できませんでした。
さて話を戻しましょう。魔力結界というのは、一定以上の魔力を持っていないと通れない結界なのです。つまり応用すれば魔女だけが通れる結界などにもできます。
魔力のボーダーによって様々な種類があり、自分が目視で確認できるのは自分が通れる結界だけです。通れないものは見ることはできません。
というわけなので私はすんなりと結界を抜けることができました。
地下に入るとそこは広くて綺麗な部屋でした。椅子やテーブル、棚など生活に必要なものに加えて、壺や絵画、絨毯などもあり、まあなんというかすごく綺麗です。師匠は私に椅子に座るように言いました。
私が座ると師匠は反対側の椅子に座りました。さて。あ、ちなみにこの時初めて師匠の顔を見ました。
「あなたのことはよく知っています」
師匠は帽子を机に置きながら言いました。
「あなたは分かってるとは思うけどこの部屋に入れるのは、魔女になるのに十分な魔力を持っている人だけなの。つまりあなたには素質がある。そういうことです」
まあそれは自分でも分かってはいましたが、魔女になりたいと思い立ったのはあなたのおかげですよ。
「それであなた、いえ、フロンタは魔女になるにはどうすればよいかとかちゃんと分かっていますか?」
「いや、あんまり分かっていません…とりあえずお母さんから聞いたことは魔女に弟子入りするっていうことだけなので」
「そうですか。じゃあまずこの世界の魔女について話しましょうか。この世界では基本的に魔女といえばどの国でも国王直属レベルの偉い職業です。もちろんそれはこの国においても。ただそんな職業だからこそなるのは大変なのです。魔女には、いえ正確には魔法使いには5段階のステップがあります。
まず魔力保有者。これが1番下でこれはこの国ではほぼ全員が当てはまります。
次に初心魔者。これは最低限の魔法が使える状況で、魔女から証明書をもらったらなれます。ここまでは簡単です。あなたなら今週中にでもなれるでしょう。次からは試験があるのです。
次のランクは魔女見習いです。魔女見習いになるためには、試験に合格しなければなりません。それはここからそこそこ離れた魔法使いの国で月に1度のみ行われます。魔法使いの国は初心魔者以上でないと入国できないのです。さらにこの試験での合格者数は1回の試験あたり2名まで。まあこの試験の詳細についてはまた後ほど話します。
そしてその次、試験に合格すると魔女になれます。しかしそれで終わってしまうわけではありません。これまた魔法使いの国で行われる全世界魔法使いグランプリ、通称WMGで優勝すると大魔女になれるのです。ただこの大会は年に1回しか行われません。あ、私は大魔女ですよ」
「え?大魔女なんですか?」
私はとても驚きました。今の話を聞いて、大魔女にいつか会いたいな、私でもなれるかなと思った瞬間、目の前に大魔女がいるということを知らされたのですから。
「まあもう優勝してから3年くらい経つんですけどね」
「はぇぇ…」
「ちなみにこの部屋の結界は私が優勝した当時の魔力と同等です」
「え?」
「つまり、あなたには私以上の魔力があるとみていいでしょう」
あら、そうなんですか。まさかそんなにだとは思ってもみませんでした。すると師匠はこう言いました。
「じゃあ早速だけどいち早く初心魔者になるためにも、魔法の練習をしてみましょうか。場所はここだと狭いから、ひまわり畑の方でいい?」
もうですか。随分と早いですね。
「いいですけど、ひまわり畑は遠くありませんか?今からだと日が暮れてしまうのでは」
「いやいや、ほうきで飛びますよ。これも練習です」
「あの、私、ほうき持ってないんですけど」
「あれ?」
そういえば昨日、お母さんはこんなことを言っていました。
「魔法使いになるのでしたら、ほうきが必要でしょう?ほうきは役場に行って魔法使い申請をすれば貰えるから師匠探しの前に行ってらっしゃい」
あ、完全に忘れていました。これは私のミスです。
「あの…今から役場行ってもいいですか?」
「申請し忘れたんですね。しょうがない弟子ですね」
そうして私たちは役場に向かいました。
役場につくとなぜかどの職員も忙しそうで、誰に話しかけてもスルーされてしまいました。普段なら平和な街なので、6割くらいの職員は暇で、すぐに対応してくれるんですが。
なぜでしょうか?
私たちはようやく1人ほど職員を捕まえて、申請することができました。ちゃんとほうきも受け取りました。受け取ったほうきは特に装飾などはなく、質素な物ではありましたが、どこか愛着が湧くようなそんなものでした。ついでに気になっていたことを聞いてみることにしました。
「なんで今日はこんなに忙しそうなんですか?」
「なにかあったんですか?」
師匠も事情を知らないようです。
「あなた魔女なのに知らないんですか…」
職員の人は小さくため息をついて
「最近この街の北の方のひまわり畑にひまわりの化け物が現れましてね…それを倒せる魔女を探しているんですが、どの魔女も掛け合ってくれないんですよ。それで隣町の魔女などにも交渉している感じで」
「ひまわり畑の化け物?」
私にはそれに心当たりがありました。なんなら見覚えもありました。横にいる師匠も心当たりがあるようです、まあ当たり前ですが。
「それって倒したら報酬とかもらえます?」
え?報酬?
もうすでに倒された化け物で金稼ごうとしてます?
「倒してその死体を確認できたら金貨10枚差し上げますよ」
おっと?師匠の目がキラキラしてます。これ、ダメなやつだと思います。
「じゃあ私が倒してくるわ」
もう倒されているでしょうに。
そして私たちはまたもあのひまわり畑に来ていました。涼しい風になびいてひまわりが一斉に揺れ始めます。なんて気持ちの良い場所なんでしょう。なんて綺麗な…いえ、死体がありますから綺麗というかまあ、はい。
あの化け物の死体はやはり畑の真ん中にありました。化け物が出たという噂を役場の人が流していたので、人が近づくこともなく、死体も見つかることはなかったのでしょう。人が来た痕跡どころか死体は倒された時の形のまま放置されています。
「じゃあこれを持っていきましょうか」
師匠は何か魔法をかけて、死体を小さくしました。そんな魔法もあるんですね。私が感心していると、
「早く戻らないと日が暮れてしまいますよ」
と言われてしまいました。
まあそれでも街に着く頃には日が暮れていたんですが。
街へ戻り役場へ行くと、役場の職員はその死体を見て喜びました。誰も依頼を受けてくれなかった化け物を殺して持ってきてくれたのですからとても嬉しかったのでしょう。
まあその死体はひまわり畑で数日放置されていたものですが。そして師匠は金貨10枚を受け取り、嬉しそうに先程の魔力結界の部屋に戻りました。
「そういえば街で初めて会った時、宿屋から出てきてましたよね。でもこんな部屋があるならここに住めばいいじゃないですか。なんで宿屋に泊まる必要があるんですか?」私はふと気になったことを尋ねてみました。
すると
「ここは私の所有物じゃないですからね」と師匠は言いました。
え、師匠のものじゃないんですか?
すると私が聞く前に師匠はこう言いました。
「ここは私の師匠のものなんですよ」
師匠の師匠ですか。一体どんな人なんでしょうか。少し気になりますがまだ弟子入りして間もない性分でそんなことを聞くわけにもいかないですよね。ということでこの日は師匠は宿に、私は家に帰るのでした。
「弟子に…ですか?」
「はい、私、昨日のひまわり畑にいて、それであなたの、魔法を見たんです!それで、私も魔女になりたいなって思って…」
すると私の方を向いて、食い気味にその魔女は聞いてきました。
「本当にあなたは魔女になりたいんですか?」
「え?…はい、私、なりたいです」
「魔女への道は厳しい道です。それでもですか?」
「それでもです」
魔女は黙って私を見つめています。なんだかよくわからないけど、とりあえず辛い、そんな空気が流れています。めちゃくちゃ周りからの視線が痛いです。やばいです。
「あなたは、お母さんのことが好きですか?」
ん?この魔女さんは何を言っているのでしょう?私としては早くこの場から逃れて2人きりになりたいのです。なぜこんなあからさまに話を逸らすんですか?
「好き、です」
「そうですか。私のライバルですか」
ライバル?ライバルってなんのことですか?
「あなたの名前…教えてくれる?」
「あ、はい。フロンタって言います」
「私の名前はアルマ。よろしくね。あなたのことはよく知っています。とりあえず着いてきてください」
そう言って魔女、いえアルマさん、いえ師匠は再び前を向いて歩き始めました。
私はまた先ほどのように着いていきます。
しばらくすると細い路地に入り、師匠はある家に入っていきました。薄暗い路地にあるその家は穴が開きそうなくらいボロボロなドアや割れかけの窓で構成されており、とても人が住んでいるとは思えません。住んでいるとしても貧困そうな人が住んでいる、そんな所です。そこに師匠は入っていったのです。
もしかして、師匠って貧乏?まあ貧乏だったところで私は構わないのですが。
家の中に入ると師匠は「こっちよ」と言って私を家の奥に誘導していきます。ボロボロな家は中もボロボロで、まるで人が住んでいるとは思えません。
しかしやけに長い廊下ですね。まだ先に進みます。そしてしばらくしてようやく右に曲がりました。そこには地下への階段がありました。あと魔力結界がありました。
魔力結界がなにかって?
この世界では大抵の人は多少なりとも魔力を持っています。それは生まれ持ったものであり、生きているうちに最大貯蔵量が増減することはありません。
私たちはそれを消費することで魔法を使うことができるのです。ただ魔法を使うには十分な量の魔力が必要なので、魔力の少ない者は魔女にはなれないという寸法なのです。
魔力は生まれた時に病院で計られます。私はどうやら通常の人よりもとてもとても魔力が多く、魔女に向いているとのことでした。
病院の方は「さすがですね。お母さん」と言っていましたが、どういうことなのかは当時の私には理解できませんでした。
さて話を戻しましょう。魔力結界というのは、一定以上の魔力を持っていないと通れない結界なのです。つまり応用すれば魔女だけが通れる結界などにもできます。
魔力のボーダーによって様々な種類があり、自分が目視で確認できるのは自分が通れる結界だけです。通れないものは見ることはできません。
というわけなので私はすんなりと結界を抜けることができました。
地下に入るとそこは広くて綺麗な部屋でした。椅子やテーブル、棚など生活に必要なものに加えて、壺や絵画、絨毯などもあり、まあなんというかすごく綺麗です。師匠は私に椅子に座るように言いました。
私が座ると師匠は反対側の椅子に座りました。さて。あ、ちなみにこの時初めて師匠の顔を見ました。
「あなたのことはよく知っています」
師匠は帽子を机に置きながら言いました。
「あなたは分かってるとは思うけどこの部屋に入れるのは、魔女になるのに十分な魔力を持っている人だけなの。つまりあなたには素質がある。そういうことです」
まあそれは自分でも分かってはいましたが、魔女になりたいと思い立ったのはあなたのおかげですよ。
「それであなた、いえ、フロンタは魔女になるにはどうすればよいかとかちゃんと分かっていますか?」
「いや、あんまり分かっていません…とりあえずお母さんから聞いたことは魔女に弟子入りするっていうことだけなので」
「そうですか。じゃあまずこの世界の魔女について話しましょうか。この世界では基本的に魔女といえばどの国でも国王直属レベルの偉い職業です。もちろんそれはこの国においても。ただそんな職業だからこそなるのは大変なのです。魔女には、いえ正確には魔法使いには5段階のステップがあります。
まず魔力保有者。これが1番下でこれはこの国ではほぼ全員が当てはまります。
次に初心魔者。これは最低限の魔法が使える状況で、魔女から証明書をもらったらなれます。ここまでは簡単です。あなたなら今週中にでもなれるでしょう。次からは試験があるのです。
次のランクは魔女見習いです。魔女見習いになるためには、試験に合格しなければなりません。それはここからそこそこ離れた魔法使いの国で月に1度のみ行われます。魔法使いの国は初心魔者以上でないと入国できないのです。さらにこの試験での合格者数は1回の試験あたり2名まで。まあこの試験の詳細についてはまた後ほど話します。
そしてその次、試験に合格すると魔女になれます。しかしそれで終わってしまうわけではありません。これまた魔法使いの国で行われる全世界魔法使いグランプリ、通称WMGで優勝すると大魔女になれるのです。ただこの大会は年に1回しか行われません。あ、私は大魔女ですよ」
「え?大魔女なんですか?」
私はとても驚きました。今の話を聞いて、大魔女にいつか会いたいな、私でもなれるかなと思った瞬間、目の前に大魔女がいるということを知らされたのですから。
「まあもう優勝してから3年くらい経つんですけどね」
「はぇぇ…」
「ちなみにこの部屋の結界は私が優勝した当時の魔力と同等です」
「え?」
「つまり、あなたには私以上の魔力があるとみていいでしょう」
あら、そうなんですか。まさかそんなにだとは思ってもみませんでした。すると師匠はこう言いました。
「じゃあ早速だけどいち早く初心魔者になるためにも、魔法の練習をしてみましょうか。場所はここだと狭いから、ひまわり畑の方でいい?」
もうですか。随分と早いですね。
「いいですけど、ひまわり畑は遠くありませんか?今からだと日が暮れてしまうのでは」
「いやいや、ほうきで飛びますよ。これも練習です」
「あの、私、ほうき持ってないんですけど」
「あれ?」
そういえば昨日、お母さんはこんなことを言っていました。
「魔法使いになるのでしたら、ほうきが必要でしょう?ほうきは役場に行って魔法使い申請をすれば貰えるから師匠探しの前に行ってらっしゃい」
あ、完全に忘れていました。これは私のミスです。
「あの…今から役場行ってもいいですか?」
「申請し忘れたんですね。しょうがない弟子ですね」
そうして私たちは役場に向かいました。
役場につくとなぜかどの職員も忙しそうで、誰に話しかけてもスルーされてしまいました。普段なら平和な街なので、6割くらいの職員は暇で、すぐに対応してくれるんですが。
なぜでしょうか?
私たちはようやく1人ほど職員を捕まえて、申請することができました。ちゃんとほうきも受け取りました。受け取ったほうきは特に装飾などはなく、質素な物ではありましたが、どこか愛着が湧くようなそんなものでした。ついでに気になっていたことを聞いてみることにしました。
「なんで今日はこんなに忙しそうなんですか?」
「なにかあったんですか?」
師匠も事情を知らないようです。
「あなた魔女なのに知らないんですか…」
職員の人は小さくため息をついて
「最近この街の北の方のひまわり畑にひまわりの化け物が現れましてね…それを倒せる魔女を探しているんですが、どの魔女も掛け合ってくれないんですよ。それで隣町の魔女などにも交渉している感じで」
「ひまわり畑の化け物?」
私にはそれに心当たりがありました。なんなら見覚えもありました。横にいる師匠も心当たりがあるようです、まあ当たり前ですが。
「それって倒したら報酬とかもらえます?」
え?報酬?
もうすでに倒された化け物で金稼ごうとしてます?
「倒してその死体を確認できたら金貨10枚差し上げますよ」
おっと?師匠の目がキラキラしてます。これ、ダメなやつだと思います。
「じゃあ私が倒してくるわ」
もう倒されているでしょうに。
そして私たちはまたもあのひまわり畑に来ていました。涼しい風になびいてひまわりが一斉に揺れ始めます。なんて気持ちの良い場所なんでしょう。なんて綺麗な…いえ、死体がありますから綺麗というかまあ、はい。
あの化け物の死体はやはり畑の真ん中にありました。化け物が出たという噂を役場の人が流していたので、人が近づくこともなく、死体も見つかることはなかったのでしょう。人が来た痕跡どころか死体は倒された時の形のまま放置されています。
「じゃあこれを持っていきましょうか」
師匠は何か魔法をかけて、死体を小さくしました。そんな魔法もあるんですね。私が感心していると、
「早く戻らないと日が暮れてしまいますよ」
と言われてしまいました。
まあそれでも街に着く頃には日が暮れていたんですが。
街へ戻り役場へ行くと、役場の職員はその死体を見て喜びました。誰も依頼を受けてくれなかった化け物を殺して持ってきてくれたのですからとても嬉しかったのでしょう。
まあその死体はひまわり畑で数日放置されていたものですが。そして師匠は金貨10枚を受け取り、嬉しそうに先程の魔力結界の部屋に戻りました。
「そういえば街で初めて会った時、宿屋から出てきてましたよね。でもこんな部屋があるならここに住めばいいじゃないですか。なんで宿屋に泊まる必要があるんですか?」私はふと気になったことを尋ねてみました。
すると
「ここは私の所有物じゃないですからね」と師匠は言いました。
え、師匠のものじゃないんですか?
すると私が聞く前に師匠はこう言いました。
「ここは私の師匠のものなんですよ」
師匠の師匠ですか。一体どんな人なんでしょうか。少し気になりますがまだ弟子入りして間もない性分でそんなことを聞くわけにもいかないですよね。ということでこの日は師匠は宿に、私は家に帰るのでした。
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