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1章 目覚め
16話 集まれ密室
しおりを挟む身体の中の臓器や免疫などの細胞たちはいつも働いてる。
年中無休である。
その司令塔は脳であり、身体中をコントロールしている。精密機械のように細部まで徹底して管理され、用途に応じた指示が出される仕組みだ。脳は現代の科学力ではその全てを把握することができず未知の部分が多いと言われている。脳細胞は半分も稼働しておらずそれが良いか悪いはわかりませんが、肉体とのバランス調整ということでしょうか。指令は即伝わり死角が無い印象ですがちょいちょい不具合が起きるようです。
気候的な問題や環境の変化、悩みによるストレスなど要因は様々で、意外ともろい部分があるのかもしれない。
脳が臓器のバグに気づけばよいのだが、そう単純ではない。
想像していただきたい。
心臓が止まっていたのか。
少なからず死を感じていたのはそのためだろうか。自分を含めた臓器の異常、それを突き止めることが重要だ。
つまり、どこかの臓器や細胞が悪いのか、またどのように悪いのか、それらをより特定する必要がある。健康診断は「悪」を見つけるための布石ということなのだろうか。
ドクン、ドクンと「心臓」は動き出した。
密室から消えていった他の4人は脳からの指示で目覚め、再び動き出すことだろう。身体機能が戻れば悪は目に見えて進行する可能性が濃厚だ。もちろん、その「悪」が細胞の類いであればの話だが。
自分をみつけ思い出したことによりすべきことがわかった。動きを止めてはいけない、ここに「悪」はいない。よって他の臓器を調べなくてはならない。
「もう一度子供に会わなくては…」
ある程度の状況は理解できた今、
真実へ少しずつ近づいている今ならきっと踏み込んだ話ができるはずだ。
どこにいる、どこにいるんだ。
「あなたは何者だ」
ふと、その問いを思い出した。
「あなたです」
そう、子供は自分であり、自分は子供。
一人の一部だ。みんなそうだ。
どのような人間なのかはわからないが、
我々はその人の一部なのだ。
「呼ぶことができるはず」
「脳は体内に神経網がある」
「こちらの考えも読んでいる」
ゆっくり目を閉じる。
一旦深呼吸する。
そして、目を開ける。
目の前には子供がいる。
「お見事です」
「ハートが目覚めなければ全ては終わり」
「今こそ悪をみつけるのです」
その前に確認することがある。
とても大切なことだ。
「もし悪をみつけられなかったら…」
これがミッションみたいなものならミッション失敗ということだろうか。
「それは悪の出方次第です」
「覚悟を決めて闘う」
「生きるか死ぬかのサバイバル」
「さあ出陣じゃ」
…これはバトル小説か…。
これから戦争でも始まるみたいな言い回しだ。
争いはなるべく避けたい。どんな悪でも説得できると信じたい。
「ふっふっ」
その子供の笑みは、まるで己を知ったここからが本当のスタートと意味するようだ。
他の4人も集めようとしているのだろうか。
集まれ、密室。
みんなが集まればきっと何かがわかる。
再び集まるその時に。
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