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1章 目覚め
14話 怪奇の回帰
しおりを挟む想像していただきたい。
目を閉じてどのくらい時間が経ったのだろう。食欲や時間の影響がないこの状態を「死」と思い込み、受け入れたつもりであった。
何故だろう、目を閉じているのだが、急に映像がみえる。「夢」のようで、動物のみたいなのが、走っている。動物らしきものは止まり、ゆっくりとこちらへ近づいてくる。
馬のような外見をしており、後ろ足が特にしっかりしており、今にも二足歩行しそうな印象だ。一定の距離で停止し、じっとこちらをみている。
「奇っ怪な生き物だ」
その異様な風貌に思わず口にしてしまう。
すると衝撃の光景が目の前で起こった。
馬みたいなのが立ち上がったのだ。
二足歩行できそうだ、という予測は的中して、歩きながらこちら向かってくる。
「恐怖」
ぞっとする。何回も恐怖を感じてはいるが、正体不明が近づいてくる恐怖は想像を絶する。逃げようにもどうすればいいのかわからない。夢の中のように自由に動けない、というのが想像しやすいでしょうか。そんな事情は関係なく、それは確実に前進して距離を縮めてくる。
「殺されるか、喰われるか」
不吉なことがよぎる。
「…んっ」
そんな…これはどういうことだ。
これは心の声である。
実際は面食らい言葉を失った。
正体不明は子供の顔をしている。
あれは子供なのか。
子供が異形の姿に変異している様は確かに確認している。
確認はしているが、その時はまだ人ベースの人型であった。
ですが、あれは人ではない。
動物がベースではあるのだが、でたらめな構造で、そこに人面が強引にくっついている…そんな化け物と呼ぶしかない存在である。
「…」
動けない、声も出ない。
夢であってくれ。これは現実ではない。
「…来る」
何かを覚悟したその瞬間、
目の前がいきなり真っ白になる。
「助かった…のか」
目が覚めたようである。
ここはどこ…薄暗くてよくわからない。
数名の姿がうっすらと確認できる。
「えっ」
この光景、身に覚えがあるよ。
どうなっているんだ。
時間が巻き戻ったのか。
今までは目の前のことを受け入れ、自分を思い出し真実を探していた。それが困ったらとりあえずループしとけっみたいなこの展開である。
「ここはどこなんですか」
おそらくこれは子供が何かを伝えようとしている。
子供は自分。自分は子供。
きっとこの4名には共通点がある。
自分を含めて5名。数だけでは全くわからない。
ふと壁に目をやると、健康診断案内書がある。
5人で健康診断を受けたのか、受けるのか。わからない。
バンっ。
銃声だ。
やはり時間が巻き戻ったのか。
それか、未来を…。
「だいぶお疲れのようで…」
おつかれ…。疲労していたのか。
そんなやりとりだったような。
みんな疲れていたのか…。
断片的で少し前の記憶すら途切れ途切れで、はっきりしない。
子供がここは病院であると答えた記憶がある。
そういえば病院は病気を治すところだ。
医師と患者が閉鎖的な建物におり、
病気の症状や外傷、負傷箇所により専門的な処置が受けられて、
臓器や皮膚、神経などが主な科である。
皆が知る病院はそんなとこだ。
死ぬ前に必ずお世話になる場所、
とでも言いましょうか。
この空間での出来事を永遠と繰り返すのか。
それともなんらかの未来を予知した…。
「未来」
すると子供や骸骨は未来人か。
悩みながら手に違和感があり、
ふと手をみる。
すると黒い石が突然現れた。
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