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1章 目覚め
Ⅺ話 告げるもの
しおりを挟む想像していただきたい。
扉を開けると激しい光により視力を奪われた。それでも一歩を踏み出して、ついに密室空間を脱出したかと思った。しかし、光に誤魔化されたのか、何らかの要因でそこは同じ空間であり、結局脱出はできなかった。
そして、突如背後に登場した子供は言う。
「悪をみつけよ」と…。
そうは言うが悪がわからない。悪は善がいることで目立つ、そういうものでしょうか。すると我々は善であり、このどこかに潜む悪を探す、そういうことだろうか。
そもそも我々が善とも限らない。
「悪は誰にでもいます」
子供はそう口を開くとさらに続ける。
「真実を知った時」
「その悪は姿をみせるでしょう」
「時間はありませんが焦りは禁物です」
聞き取りやすく心地よい声
しかし、言っていることは相変わらず意味が不明である。悪は誰にでもいる、これはなんとなくわかる気がする。見方や相手の受け取り方によってはこっちが悪になる場合もあると思えるからだ。さらに子供は真実を知れば、悪はおのずとわかる、時間はないけど、焦ってはいけない。そう告げた。
「まるで予言者みたいだ」
「いや、アドバイザーか」
「ふっふっ」
子供はこっちに会釈しニッコリ笑うと、扉を開けて空間を後にした。
「集中するんだ」
子供が普通に扉を使ったことについて、
いちいち気にしていられない。
あれはおそらく「何でもあり」だろう。
己が真実を知ることが今すべきことだろう。しかし真実と言われても悪と同じで簡単にはわからない。悪を探すより難しいかもしれない。せめて何かのきっかけでもあればいいのだが…。唯一できることといえば、今までのことを思い出したりすることだろうか。そこの中に真実への鍵がきっとある…はずだ。
4人のその後も気になる。共通点があればそこが糸口になる可能があるからだ。現実離れした不可解な出来事は無視したいところだが、あれにも意味があるのだろうか。
顔の無いもの、変異する子供等々、非現実なことは精神への負担が多い。
あっちこっちに散らばったピースを焦らず正確に組み合わせる。
大変そうではあった。
だが、今は違う。
何かの接着剤的なことがわかれば全てが繋がる。そう思えてならないからだ。
そこだけなのだ、本当にそこさえわかれば…。
時間だけが過ぎていく。
しかし、時間が経過しているのか全くわからない。それは時計が無く、昼夜の判断もできない。そしてお腹が空かないからだ。
「…空腹か…」
よく空腹で頭が働くなぁ~、身体だって余裕で動くぞ。
まさか。
一瞬何かがひらめく。
「…食べないでよいということか」
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