5 / 30
第一章
四話 エンデ国へのゲート
しおりを挟む
「カイザードラゴンや妖精アーリ……伝説とされている存在をまさかこの目で見る日がくるとは……」
「うむ」
「そうだな…空が紅く染まり、幻獣たちも大陸の危機を察したのかもしれぬな」
フラット一行はオールの追跡を再開した。
森をしばらく進むとヴァンが指摘した幻獣たちでさえ近寄らぬ禁足地らしき場所に出た。
「ここ……不思議な場所ね、生物がいないわ…なんだか空気が変わったような気がする…」
「うむ、生物がいないのではなく、生物そのものを拒絶している……そんな場所のようだ…」
ニナとオメガは周囲を注意深く警戒する。
突如木々が低くなり、いつの間にか霧が発生しており遠方が確認できない。
そこは薄暗く誰もがこれ以上先に進むのを拒むのが納得できる。
森を散歩していて、気がつくと道に迷ってしまった。
突然よくわからないところへ迷い込んでしまった。
そんな状況だ。
つまりこの場所は……。
異質なのだ。
「ここが境界線なんだ」
そんな異質な雰囲気なぞ全く気にしないフラット。
二人を先導しつつ話を続ける。
「もう少し進むとエンデへ入国するゲートがある」
「ゲート?」
フラットの後ろを警戒しつつ進むオメガとニナ。
「そうだ。ゲートを通過せねばエンデに入国することができないのだ」
「ゲートって………なんだかエンデが高度な技術国であるってのが実感してきたわ。そもそもフラットがいなきゃこの先を進もうとは思わないし……」
「うむ、進むと二度と帰れない、そんな雰囲気であるな」
「そこまで警戒することはない。ゲートがあるとは言ったが、そこは門番が常駐しているし、そもそもゲートへ向かう扉は普段ロックされており、まず発見できないんだ」
「……なんだかよくわからないけど、私たちは前進あるのみ……でいいかしらね?」
「うむ」
「ふふ、ニナそうだよ、私たちは前進あるのみさ」
やがて奇妙な岩の前でフラットが止まる。
その先にも森は続いているのだが、ここだけ妙な違和感がある。
「私だけかしらね?…なんだか空間が……歪んでいるように見えるんですけど……」
「うむ、まさかエンデは異次元にあるのか…」
「ふふ、この先の森はホログラムで、ようは幻なのだ。さあこちらからゲートに向かうぞ」
岩のように見えたのは扉だったようで二人はそこを進む。
「む、足跡がある」
「オールね」
「そうだ、陸路ではここを通過せねばならん」
扉を開けて進むと二人は言葉を失った。
地面は土から砂にかわり、目の前に海が広がっていた。
「これは……」
そして機械で整備された橋がかかりその先には巨大な門が見える。
「…これが……エンデなの?」
「うむ……」
「海上都市エンデだ。詳しくは後で話す、急ごう」
フラットはゲートへと続く橋に乗る。
すると橋は自動で動き出す。
「海上都市って……と、とりあえず進みましょうか…オメガ」
「うむ、であるな…」
動く橋で移動する三人。
巨大な門にはあっという間に到着する。
そこにはゲートを守る者がいた。
「フラット、いったい何事か?少し前にオールが帰還したが…」
とても美しく男性なのか女性なのか不明な存在がフラットに話しかける。
「緊急事態です。すぐにジエンド様へ報告があり戻りました」
「オールも同じことを言っていたが?それにそちらの二人は…」
オメガとニナを見て驚きながら話すその存在。
「ビギニング様、こちらはオメガ殿とニナ。共にオールを追ってきました」
「…なにやらオメガ殿からはここエンデの技術がみられるんだが……」
腕を組み考え込むビギニング。
「生命を解放するためにオールを止めねばならない。ゲートを開けるんだ」
荒々しい口調になるフラットをみてさらに驚くビギニング。
「わ、わかったよ。だけどフラット……君…いったい何が……」
「目覚めたんですよ…あなたがずっと話していたことが……ようやく分かりました」
「ふふ……そうかい」
瞳を閉じて何かを想うビギニング。
「ずっと待っていた…もうこのまま朽ちるだけかと思っていたけど……君たちの帰還やその二人をみていると、私も…いろいろと……ふふ、いろいろ思い出したよ」
するとビギニングは鍵を取り出しゲートにある小さな穴に差し込む。
凄まじい音がして目の前のゲートが崩壊した。
「さあ、ジエンド様のもとへいこう、オメガ、ニナ、よろしく頼むよ」
「ええ、よろしくねビギニング」
「うむ、頼み申す」
「ふふ」
その様子を見て笑うフラット。
活気あるビギニングをみて安心したといったところだろう。
ゲート跡をくぐるとそこは機械都市そのものの光景が広がっていた。
どこからエネルギーを供給しているのかは不明だが、都市全体が呼吸をしているような感じだ。
「うむ……ここには人の気配が全くない…」
都市と呼ばれてはいるが人がいない。
それどころか植物などの生命体そのものが存在していない。
「…なんだか…ここにいると気が狂いそうだわ……生物を拒むというか…」
「そうだねニナ、君の言ったことは正しいよ。現在エンデに生命は存在しないし、生命が誕生することはない…ここはとっくの昔に滅んでいるんだ」
歩きながらビギニングはニナと会話をする。
「滅んでいる?」
「うん、そうさ。ここには私含め、三人の知人という人のような存在がいるのみ、生物は存在していないんだ」
「知人?」
「使命を守り永遠を生きる存在、私はゲートの管理という使命があるのだけれど……」
「だけれど?」
「君たち生き物全てが大好きなのさ。自分の使命よりもね」
「うむ」
巨大な建物の前に着くと怒鳴り声が聞こえる。
「む、あの声は…アゲイン様か」
フラットはビギニングを見る。
「うん、けれども心配ない、ジエンド様もいるから。さあ部屋へ」
そして三人はビギニングに誘導され建物内へ。
内部は巨大なモニターが複数あり、いかにも監視部屋といった感じだ。
「失礼します」
ビギニングが声をかける。
隅っこに気絶しているオールがいる。
「ん…ゲートの管理者がここで何をやっているんだ」
凛々しく清々しい、爽やか青年風な人物。
物語の主人公らしきこの存在は入室したビギニングに問う。
「アゲインよ落ち着け、フラットがいる」
もう一人、老体のようだが、がっちりとした体格の男性がいる。
フラットは跪き、その老体に話す。
「オール殿が何を話したか分かりませんが、私はこの大陸を解放すべきと判断、そして帰還しました」
「おい、いきなり何を言っているんだ……オール同様に再起不能に……」
フラットを睨みつけるアゲイン。
「よさんかアゲイン、まずは話を聞くのだ。フラットよ、ついさっきオールは大陸は危険だと報告にきた。お主の言い分を我々に説明せよ」
「はい、この大陸にエンデの監視は不要。私はここに住まう全ての生物のために、監視管理を解くようお伝えするため、この二人と共に参上したしだいです」
「…」
「ふむ、言っていることがオールとは真逆だぞフラット。彼は世界を滅ぼせと…」
「ここへ帰還する途中、オール殿は森を焼き幻獣を傷つけました。高貴で知性ある幻獣たちのおかげでことは解決しましたが…そのような振る舞い、我々には許されません」
「その通りだ、よって安易に滅びを口にしたオールは既に処罰した。もう話せぬ見えぬ聞こえぬだ」
オールを指差すアゲイン。
「幻獣は高い知性をもった高等生物だ。よって我々の使命を理解することができる」
「はい、この地にとって特別な存在だと認識しております。よってオールの行為は許せなかったです」
「オールの件はもうよかろう、それより大陸の解放とは?」
「詳しく話すのだ」
ジエンドとアゲインはフラットを見つめる。
「はい、私は人と生活をして、生物の本質を学びました」
「ほう」
腕を組み、考え込むアゲイン。
ジエンドは無表情のまま彼女の話を聞いている。
「ねえ、あの二人…どうみるオメガ?」
「うむ、あの二人…強い」
「アゲインの戦闘力は大陸最強、だから変な気をおこさぬことね」
ビギニングは二人に話す。
「つまり、管理監視をやめて、自分たちで生きる…そういうことかい、フラット?」
ジエンドはフラットの眼を見て問う。
「はい、生命を管理し監視することは命を奪うに等しき行為。時には過ちや失敗もあるでしょうが、きっと自分らで……」
「フラット、奴らに汚染されたか?お前、本来の役目を忘れたか」
「私の使命は管理、そしてそれは生物を守る立場。都市カイトを滅ぼしたことで生物は変わりつつあるのです。その歩みを妨害してはならない」
「貴様……言わせておけば…」
「やめろアゲイン」
拳を握るアゲインを制止するジエンド。
その様子に焦るビギニング。
「二人とも、覚悟は…あるかい?」
「えっ…」
「うむ」
「フラットは覚悟しているように見える。アゲインはその覚悟を…」
「ちょっと待って、あのアゲインって奴はフラットを攻撃するってこと?」
「うむ、ニナよ落ち着け。これから…互いの覚悟や正義がぶつかるのだ……ビギニング殿は我々にもその覚悟があるか問うているのだ」
ニナはビギニングを見る。
ビギニングはゆっくりと頷く。
「…私は…」
「ニナ、変わる時がきたんだ。私はずっと待っていた。いつかゲートへ生物が到達することを。フラットが率いてきたとはいえ、君たちはこのエンデへ到達したはじめての存在だ」
ビギニングはみるみる生命力に溢れていく。
それはまるで枯れた花が再生していくようにみえる。
うむ、エンデ国。
ここは想像していた大国とは違う死人の国だ。
それはまるで病人をただ延命しているだけのようにさえみえる。
……生きることを考えさせられるな。
「フラットはこのままだとアゲインによってオールと同じようになる。止めなければ生物に明日はない」
ビギニングはレーザーブレードを取り出し身構える。
それに気づいたアゲインは距離をとる。
「貴様もか……ゲートキーパーが乱心とは…」
「…」
「ビギニング様」
フラットを守るように立つビギニング。
「オールは正しかったのか……人に加担した罪は重いぞビギニング」
アゲインはエネルギーを纏いビギニングと対峙。
無言のジエンド。
ここに永遠というエンデの体制は崩壊した。
次回へ続く。
「うむ」
「そうだな…空が紅く染まり、幻獣たちも大陸の危機を察したのかもしれぬな」
フラット一行はオールの追跡を再開した。
森をしばらく進むとヴァンが指摘した幻獣たちでさえ近寄らぬ禁足地らしき場所に出た。
「ここ……不思議な場所ね、生物がいないわ…なんだか空気が変わったような気がする…」
「うむ、生物がいないのではなく、生物そのものを拒絶している……そんな場所のようだ…」
ニナとオメガは周囲を注意深く警戒する。
突如木々が低くなり、いつの間にか霧が発生しており遠方が確認できない。
そこは薄暗く誰もがこれ以上先に進むのを拒むのが納得できる。
森を散歩していて、気がつくと道に迷ってしまった。
突然よくわからないところへ迷い込んでしまった。
そんな状況だ。
つまりこの場所は……。
異質なのだ。
「ここが境界線なんだ」
そんな異質な雰囲気なぞ全く気にしないフラット。
二人を先導しつつ話を続ける。
「もう少し進むとエンデへ入国するゲートがある」
「ゲート?」
フラットの後ろを警戒しつつ進むオメガとニナ。
「そうだ。ゲートを通過せねばエンデに入国することができないのだ」
「ゲートって………なんだかエンデが高度な技術国であるってのが実感してきたわ。そもそもフラットがいなきゃこの先を進もうとは思わないし……」
「うむ、進むと二度と帰れない、そんな雰囲気であるな」
「そこまで警戒することはない。ゲートがあるとは言ったが、そこは門番が常駐しているし、そもそもゲートへ向かう扉は普段ロックされており、まず発見できないんだ」
「……なんだかよくわからないけど、私たちは前進あるのみ……でいいかしらね?」
「うむ」
「ふふ、ニナそうだよ、私たちは前進あるのみさ」
やがて奇妙な岩の前でフラットが止まる。
その先にも森は続いているのだが、ここだけ妙な違和感がある。
「私だけかしらね?…なんだか空間が……歪んでいるように見えるんですけど……」
「うむ、まさかエンデは異次元にあるのか…」
「ふふ、この先の森はホログラムで、ようは幻なのだ。さあこちらからゲートに向かうぞ」
岩のように見えたのは扉だったようで二人はそこを進む。
「む、足跡がある」
「オールね」
「そうだ、陸路ではここを通過せねばならん」
扉を開けて進むと二人は言葉を失った。
地面は土から砂にかわり、目の前に海が広がっていた。
「これは……」
そして機械で整備された橋がかかりその先には巨大な門が見える。
「…これが……エンデなの?」
「うむ……」
「海上都市エンデだ。詳しくは後で話す、急ごう」
フラットはゲートへと続く橋に乗る。
すると橋は自動で動き出す。
「海上都市って……と、とりあえず進みましょうか…オメガ」
「うむ、であるな…」
動く橋で移動する三人。
巨大な門にはあっという間に到着する。
そこにはゲートを守る者がいた。
「フラット、いったい何事か?少し前にオールが帰還したが…」
とても美しく男性なのか女性なのか不明な存在がフラットに話しかける。
「緊急事態です。すぐにジエンド様へ報告があり戻りました」
「オールも同じことを言っていたが?それにそちらの二人は…」
オメガとニナを見て驚きながら話すその存在。
「ビギニング様、こちらはオメガ殿とニナ。共にオールを追ってきました」
「…なにやらオメガ殿からはここエンデの技術がみられるんだが……」
腕を組み考え込むビギニング。
「生命を解放するためにオールを止めねばならない。ゲートを開けるんだ」
荒々しい口調になるフラットをみてさらに驚くビギニング。
「わ、わかったよ。だけどフラット……君…いったい何が……」
「目覚めたんですよ…あなたがずっと話していたことが……ようやく分かりました」
「ふふ……そうかい」
瞳を閉じて何かを想うビギニング。
「ずっと待っていた…もうこのまま朽ちるだけかと思っていたけど……君たちの帰還やその二人をみていると、私も…いろいろと……ふふ、いろいろ思い出したよ」
するとビギニングは鍵を取り出しゲートにある小さな穴に差し込む。
凄まじい音がして目の前のゲートが崩壊した。
「さあ、ジエンド様のもとへいこう、オメガ、ニナ、よろしく頼むよ」
「ええ、よろしくねビギニング」
「うむ、頼み申す」
「ふふ」
その様子を見て笑うフラット。
活気あるビギニングをみて安心したといったところだろう。
ゲート跡をくぐるとそこは機械都市そのものの光景が広がっていた。
どこからエネルギーを供給しているのかは不明だが、都市全体が呼吸をしているような感じだ。
「うむ……ここには人の気配が全くない…」
都市と呼ばれてはいるが人がいない。
それどころか植物などの生命体そのものが存在していない。
「…なんだか…ここにいると気が狂いそうだわ……生物を拒むというか…」
「そうだねニナ、君の言ったことは正しいよ。現在エンデに生命は存在しないし、生命が誕生することはない…ここはとっくの昔に滅んでいるんだ」
歩きながらビギニングはニナと会話をする。
「滅んでいる?」
「うん、そうさ。ここには私含め、三人の知人という人のような存在がいるのみ、生物は存在していないんだ」
「知人?」
「使命を守り永遠を生きる存在、私はゲートの管理という使命があるのだけれど……」
「だけれど?」
「君たち生き物全てが大好きなのさ。自分の使命よりもね」
「うむ」
巨大な建物の前に着くと怒鳴り声が聞こえる。
「む、あの声は…アゲイン様か」
フラットはビギニングを見る。
「うん、けれども心配ない、ジエンド様もいるから。さあ部屋へ」
そして三人はビギニングに誘導され建物内へ。
内部は巨大なモニターが複数あり、いかにも監視部屋といった感じだ。
「失礼します」
ビギニングが声をかける。
隅っこに気絶しているオールがいる。
「ん…ゲートの管理者がここで何をやっているんだ」
凛々しく清々しい、爽やか青年風な人物。
物語の主人公らしきこの存在は入室したビギニングに問う。
「アゲインよ落ち着け、フラットがいる」
もう一人、老体のようだが、がっちりとした体格の男性がいる。
フラットは跪き、その老体に話す。
「オール殿が何を話したか分かりませんが、私はこの大陸を解放すべきと判断、そして帰還しました」
「おい、いきなり何を言っているんだ……オール同様に再起不能に……」
フラットを睨みつけるアゲイン。
「よさんかアゲイン、まずは話を聞くのだ。フラットよ、ついさっきオールは大陸は危険だと報告にきた。お主の言い分を我々に説明せよ」
「はい、この大陸にエンデの監視は不要。私はここに住まう全ての生物のために、監視管理を解くようお伝えするため、この二人と共に参上したしだいです」
「…」
「ふむ、言っていることがオールとは真逆だぞフラット。彼は世界を滅ぼせと…」
「ここへ帰還する途中、オール殿は森を焼き幻獣を傷つけました。高貴で知性ある幻獣たちのおかげでことは解決しましたが…そのような振る舞い、我々には許されません」
「その通りだ、よって安易に滅びを口にしたオールは既に処罰した。もう話せぬ見えぬ聞こえぬだ」
オールを指差すアゲイン。
「幻獣は高い知性をもった高等生物だ。よって我々の使命を理解することができる」
「はい、この地にとって特別な存在だと認識しております。よってオールの行為は許せなかったです」
「オールの件はもうよかろう、それより大陸の解放とは?」
「詳しく話すのだ」
ジエンドとアゲインはフラットを見つめる。
「はい、私は人と生活をして、生物の本質を学びました」
「ほう」
腕を組み、考え込むアゲイン。
ジエンドは無表情のまま彼女の話を聞いている。
「ねえ、あの二人…どうみるオメガ?」
「うむ、あの二人…強い」
「アゲインの戦闘力は大陸最強、だから変な気をおこさぬことね」
ビギニングは二人に話す。
「つまり、管理監視をやめて、自分たちで生きる…そういうことかい、フラット?」
ジエンドはフラットの眼を見て問う。
「はい、生命を管理し監視することは命を奪うに等しき行為。時には過ちや失敗もあるでしょうが、きっと自分らで……」
「フラット、奴らに汚染されたか?お前、本来の役目を忘れたか」
「私の使命は管理、そしてそれは生物を守る立場。都市カイトを滅ぼしたことで生物は変わりつつあるのです。その歩みを妨害してはならない」
「貴様……言わせておけば…」
「やめろアゲイン」
拳を握るアゲインを制止するジエンド。
その様子に焦るビギニング。
「二人とも、覚悟は…あるかい?」
「えっ…」
「うむ」
「フラットは覚悟しているように見える。アゲインはその覚悟を…」
「ちょっと待って、あのアゲインって奴はフラットを攻撃するってこと?」
「うむ、ニナよ落ち着け。これから…互いの覚悟や正義がぶつかるのだ……ビギニング殿は我々にもその覚悟があるか問うているのだ」
ニナはビギニングを見る。
ビギニングはゆっくりと頷く。
「…私は…」
「ニナ、変わる時がきたんだ。私はずっと待っていた。いつかゲートへ生物が到達することを。フラットが率いてきたとはいえ、君たちはこのエンデへ到達したはじめての存在だ」
ビギニングはみるみる生命力に溢れていく。
それはまるで枯れた花が再生していくようにみえる。
うむ、エンデ国。
ここは想像していた大国とは違う死人の国だ。
それはまるで病人をただ延命しているだけのようにさえみえる。
……生きることを考えさせられるな。
「フラットはこのままだとアゲインによってオールと同じようになる。止めなければ生物に明日はない」
ビギニングはレーザーブレードを取り出し身構える。
それに気づいたアゲインは距離をとる。
「貴様もか……ゲートキーパーが乱心とは…」
「…」
「ビギニング様」
フラットを守るように立つビギニング。
「オールは正しかったのか……人に加担した罪は重いぞビギニング」
アゲインはエネルギーを纏いビギニングと対峙。
無言のジエンド。
ここに永遠というエンデの体制は崩壊した。
次回へ続く。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件
フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。
寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。
プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い?
そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない!
スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。
ファンタジー/ストーリー4
雪矢酢
ファンタジー
この作品に転生系の要素はございません。
第一期から読むほうがより作品を楽しめます。
隙間時間で読める、謎は残さない、読者に結末を委ねない後味の良い作品を目指しております。
番外編には挿し絵を入れてみましたので、ぜひご覧下さい。
◇作品紹介◇
魔法剣士が主人公のお話です。
ファンタジーをベースに主人公や個性豊かなキャラクターが活躍するシンプル構成です。分かりやすいエンターテイメント風な物語をお楽しみ下さい。
神に匹敵する力を持つ魔法剣士の活躍にご期待下さい。
(内容紹介の詳細はお手数ですが第一期をご覧下さい)
※誤字脱字は可能な限りチェックしており不備は修正いたします。修正により本編内容が変更することはございません
表紙:イラストAC yumazi様より
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる