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第一章

十二話 複合施設

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しばらくして二人は宿の中へと案内された。
酒場のように客席が並び、とても宿泊施設には見えない。

「すぐに集まり賑やかになりますよ」

ベルーナは二人に話す。
ロビーは奥にあるらしく酒場のような空間を進む。
するとよくあるホテルの受け付けが目の前に現れた。この宿は三階まであり、多くの客が利用できる。騒動中、客は部屋で待機していたのか一気に客が増える。

「…すごいな」

「こんなにたくさん泊まっているのね」

人々は酒場に集まり宴会が始まる。
子供たちは宿の外で遊び多くの者がこの宿を満喫している。

「お二人はここを救ってくれました。ごゆっくりと静養して下さい」

「ん?何故静養と…」

「奥様はだいぶ消耗されているご様子。ですので静養かと」

「ああ…」

「ベルーナ、ありがとう。休ませてもらうわ」

「はい、何かあればフロントまで」

「レフト、いきましょう」

「あ、ああ。ありがとうベルーナさん」

ベルーナはにっこり笑い二人を見送った。
部屋は一階ですぐ近くだった。

「ふう」

「キレイな部屋ね」

整理されたシンプルな部屋だ。
居心地がよい。

「さてレフト。どうしようか」

「えっ」

「もう…えっじゃないわよ」

「とりあえず酒場で食事…しようか」

「…」

不機嫌なアレサ。
そのアレサをエスコートするように誘うレフト。

「いこうか、アレサ」

「…ふっ…」 

「えーー」

「なんだかレフトが急に改まって誘ってくると…可笑しく…ごめんなさい」

クスクスと笑うアレサ。

「さあ手を…」

手を差し出すレフト。
そんなレフトを笑うアレサだったが内心は喜んでいた。
二人の時間を大切にしたいというレフトの気持ちが伝わっているからだ。

一生懸命愛してくれている。

「うふふ、いきましょうあなた」

手を握り二人は酒場へと向かった。


次回へ続く。




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