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第ニ章
十二話 夫婦?
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川を中心に水路が整備され、のどかで快適に静養ができそうだ。
「それじゃあまず荷物を置きにいこうか」
「うん。少し休みたいわ」
こういった小さな集落にはよくいる排他的な人はいないようだ。歓迎こそないがよそ者を見るような鋭い視線はない。
二人は自分たちの住居に着いた。
「ここなの…ずいぶん綺麗ね」
「そうだね…中に入ろう」
中に入ると小綺麗な年配者がいた。
「お疲れ様です。レフトーラ様でしょうか」
「はい、私です。はじめましてですね」
「おっと失礼、私はジジ、ここを管理しております」
「よろしくお願いいたします。これが書類です」
「丁寧にありがとうございます、えっと奥様でしょうか」
「奥様…」
そのワードに過剰な反応をするアレサ。
「その…そのようもので…」
「えっ…そのような?」
アレサのものすごい剣幕にたじたじのレフト。
「妻ですっ!」
「かしこまりました。ではこの書類に必要事項を記入しリーダーに提出して下さい」
「はい、わかりました」
ジジは一礼し帰っていった。
奥様に妻、その言葉に上機嫌なアレサ。
荷物を手早く整理し住居内を見てまわる。簡素だが必要最低限な住居で家具は揃っている。
「見た感じは田舎の村っぽいけど町のように整備されている不思議な集落ね」
辺りを見渡しているアレサが言う。
人はそこそこいるが、他人には干渉せず、見方によっては人付き合いがないとも感じられる。
「もともとは人間関係に疲れた人たちがつくったのかもね」
すらすらと書類を済ませるレフト。
「さて」
「ああ、提出しにいくのかしら、あなた」
「えっ…あなたって…」
「もうっ…夫婦なんでしょ、少しくらい雰囲気出したっていいじゃないの」
「うん、わかったよ。それじゃあ記入したから一緒に提出しにいこうよ、そしたら少し休もう」
外に出て辺りを見回す。
豪邸らしき建物があり、あれがリーダー邸と一目でわかる。
「本日よりこの集落で生活する者です」
レフトは用件を告げると、執事らしき人物が館から出てきた。
背が高くスラリとした男性だ。
「伺っております。書類ですね」
「はい、こちらです」
書類を差し出して渡そうとした瞬間、
レフトは腕を掴まれた。
「復興機関の者がここへ何の用だ」
レフトが復興機関ということがわかっていたようだ。
「手を離して下さい。私がここへ来たのは復興機関とは関係ありませんし争うつもりはないです」
「ほう、だが後ろの女性はそうは思えんぞ」
アレサは今にも執事を殴り倒しそうな構えだ。
「レフト…」
「それはあなたがいきなり腕を掴んだからですよ。私は病人ですから」
突然の出来事に辺りは騒然としている。
緊張感のある状況で執事の額から汗が流れる。
アレサは表情を変えず、レフトに何かあれば即行動の構えだ。
「止めておいたほうがいい。手を離してくれればそれで丸くおさまるよ」
「くっ…」
「ダグよ、手を離しなさい。」
その時、館から人の声がする。
その声を聞いた執事は直ぐにレフトの手を離した。
「レフトーラ殿とその奥様、無礼をお許しください。集落での滞在、永住ともに許可します」
扉の奥から聞こえてくる声の主はレフトのこと知っているようだ。居住の許可が出たので、レフトたちは一礼しその場を後にした。
「マスター、先走り申し訳ありませんでした」
「危うくここが消し飛ぶところでしたよ。レフトーラ殿は冷静で踏みとどまっていたようですが…」
「はい、奥様はものすごい殺気というか…」
「ですがあの夫婦はおそらく個人的な滞在だと思います」
「復興機関の任務ではない…ということでしょうか」
「そうです。ですからそっとしておきなさい。問題があれば私が直接問いただします、よろしいですね」
「ははっ」
手続きを済ませ住居に戻った二人。
「座ると一気やる気が無くなるね」
「ちょっとレフト…もう」
アレサは片付けをしていたが、座ってしまったレフトをみて自分も座ってしまった。
「片付けは…明日にしよう…かな」
「そうしようよ。今日は十分頑張った」
「それじゃあまず荷物を置きにいこうか」
「うん。少し休みたいわ」
こういった小さな集落にはよくいる排他的な人はいないようだ。歓迎こそないがよそ者を見るような鋭い視線はない。
二人は自分たちの住居に着いた。
「ここなの…ずいぶん綺麗ね」
「そうだね…中に入ろう」
中に入ると小綺麗な年配者がいた。
「お疲れ様です。レフトーラ様でしょうか」
「はい、私です。はじめましてですね」
「おっと失礼、私はジジ、ここを管理しております」
「よろしくお願いいたします。これが書類です」
「丁寧にありがとうございます、えっと奥様でしょうか」
「奥様…」
そのワードに過剰な反応をするアレサ。
「その…そのようもので…」
「えっ…そのような?」
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「妻ですっ!」
「かしこまりました。ではこの書類に必要事項を記入しリーダーに提出して下さい」
「はい、わかりました」
ジジは一礼し帰っていった。
奥様に妻、その言葉に上機嫌なアレサ。
荷物を手早く整理し住居内を見てまわる。簡素だが必要最低限な住居で家具は揃っている。
「見た感じは田舎の村っぽいけど町のように整備されている不思議な集落ね」
辺りを見渡しているアレサが言う。
人はそこそこいるが、他人には干渉せず、見方によっては人付き合いがないとも感じられる。
「もともとは人間関係に疲れた人たちがつくったのかもね」
すらすらと書類を済ませるレフト。
「さて」
「ああ、提出しにいくのかしら、あなた」
「えっ…あなたって…」
「もうっ…夫婦なんでしょ、少しくらい雰囲気出したっていいじゃないの」
「うん、わかったよ。それじゃあ記入したから一緒に提出しにいこうよ、そしたら少し休もう」
外に出て辺りを見回す。
豪邸らしき建物があり、あれがリーダー邸と一目でわかる。
「本日よりこの集落で生活する者です」
レフトは用件を告げると、執事らしき人物が館から出てきた。
背が高くスラリとした男性だ。
「伺っております。書類ですね」
「はい、こちらです」
書類を差し出して渡そうとした瞬間、
レフトは腕を掴まれた。
「復興機関の者がここへ何の用だ」
レフトが復興機関ということがわかっていたようだ。
「手を離して下さい。私がここへ来たのは復興機関とは関係ありませんし争うつもりはないです」
「ほう、だが後ろの女性はそうは思えんぞ」
アレサは今にも執事を殴り倒しそうな構えだ。
「レフト…」
「それはあなたがいきなり腕を掴んだからですよ。私は病人ですから」
突然の出来事に辺りは騒然としている。
緊張感のある状況で執事の額から汗が流れる。
アレサは表情を変えず、レフトに何かあれば即行動の構えだ。
「止めておいたほうがいい。手を離してくれればそれで丸くおさまるよ」
「くっ…」
「ダグよ、手を離しなさい。」
その時、館から人の声がする。
その声を聞いた執事は直ぐにレフトの手を離した。
「レフトーラ殿とその奥様、無礼をお許しください。集落での滞在、永住ともに許可します」
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「ははっ」
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「座ると一気やる気が無くなるね」
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