ダークライトラブストーリー

雪矢酢

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【女性】精神世界

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アイは精神世界にて、
出口のない暗い道を歩いていた。
方向感覚はなく進む先に出口があるのかわからない。

私はどこへ向かっているのだろう。
歩みは止まらない。

その時
周囲が急に明るくなり、目の前には黒い鎧の騎士が立っていた。周りにはあらゆる武器があり、騎士は好きな武器を選んで下さいと言うように手で合図する。

これは一体どういうことなの。
私は戦わない、もう戦いたくない。
スルと一緒にあの館で暮らしたい。コトさんたちといろいろなことに挑戦したい。

アイの戦いを拒む姿をみた黒騎士は抜刀して剣をアイに向かって振り下ろす。
すると真空の刃が発生しアイに直撃した。

「くっ…何故攻撃してくるの…」

黒騎士は構えてアイに照準を合わせる。

「いけない、連撃がくる。避けなくちゃ」

アイもとっさに構えて攻撃に対応する。

凄まじい早さの連撃で多数の刃がアイを襲う。
アイはすぅと息を吸い込み目を見開き、その多数の刃を正拳突きで無力化した。
すると黒騎士はアイに突撃し斬りかかった。
アイはその剣を正拳突きで容易く破壊し、騎士にも正拳突きをしダメージを与える。
騎士は吹き飛び片膝をついた。

温厚で優しい瞳のアイは鋭い眼光に変わり、まるで別人のようだ。

「…立て…そして剣をとるがいい」

アイは黒騎士にそう言い放つ。
騎士は無骨で重厚な斧を手に取った。
そして重さを感じさせない軽快な動きでアイに襲いかかる。
アイはドシンと構え、なんと巨大な斧を左手で受け止めた。そして右手で騎士の腹に強烈な一撃を放つ。
騎士は後退りし、そのまま倒れた。

「…立て…」

アイは倒れている騎士に再び言い放つ。

アイは剣を持った。
ブンブンと振り回す様子からアイの剣術は達人クラスだとわかる。
騎士も同じく剣を持ち再びアイに襲いかかる。
しかしアイの斬撃が騎士の手に命中し剣を落としてしまう。
そして鎧の繋ぎ目を的確に突かれ、手足にダメージを受ける。

騎士は一瞬で手足を破壊され戦闘不能だ。
跪いた騎士の首に剣を構えるアイ。
騎士はもう抵抗する力は残っていないようだ。

「…楽にしてやる…」

アイは剣を構え騎士の首をとらえる。

「アイ、帰ってきて…」

アイはピタリと剣をとめた。
寸止めだったためか、
兜に刃がかかりぱっくりと割れる。
なんと騎士の正体はアイ自身であった。

「な…うぅ……こんなことが…」

目の前の騎士は砂となり消滅した。

私は…騎士だった。

アイは黒騎士をみて、戦い勝利し記憶が少しよみがえったようだ。
かつての私は冷酷無情であったようだ。
今はそういう一面が眠っているだけなのかもしれない。

でも…

あたたかいぬくもりを感じる。
私は一人じゃない。

私を大切にしてくれる人がいる。
目覚めなければ。
ここを脱出しなくては…。

そう決意すると目の前に光の扉が現れた。

「この扉を開ければつらくきびしい現実が待っているかもしれない。ここにいれば苦痛とは無縁で何の苦労もないでしょう」

アイは自問し自らの意志を確かめた。

「私は愛する人のところへ帰る」

「大変です、敵が攻めてきました」

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