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【執事】わかり合うこと
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アイ様とスル様が館にやってきて三日目。
私はこの館の執事コトと申します。
アイ様は元騎士と聞いていたので少し怖いイメージでした。ですが実際にお会いしてからは、その穏やかな性格や優しい物言いに驚きました。我々を主従関係とは考えずにあくまでも平等としてみてくれる発言には正直驚愕しました。
とても戦地で奮闘する騎士様には見えませんでした。
スル様もアイ様同様に戦人特有の血の匂いが全くしませんでした。関係者から農家出身と聞きましたが納得できました。無口だと少し暗い印象ですが、話すのが好きで雑談とかも普通にしてくれます。
私を含め四人の使用人は上層部の配下です。お二人が不穏な行動や外部との接触をした場合は即座に報告をし、しかるべき対応を、と命じられていましたが…実際お会いしてその心配はないと確信しました。
使用人は住み込みの四人で午前と午後で二名が 勤務します。
アサ、ヒルが午前を受け持ち。
ユウ、バンが午後を受け持ち。
アサとユウは女性でヒルとバンは男性です。
アイ様スル様到着後、最初はユウが館の案内をしてくれました。
ユウはアイ様に相当なショックを受けたようでした。
私と同様に最初は騎士というイメージがあったそうです。騎士の使用人は何度か経験があったらしいのですが、アイ様は騎士っぽくない、不思議な魅力がある…らしいです。
そんなアイ様は車椅子ですのでしばらくはフォローが必要なのですが、いかんせん自力で歩きたがるので少し困ります。
アイ様スル様はお二人での生活を想像していたようですが、この広い館に二人で住むのはちょっと現実的ではありません。
我々は滞在こそしておりますが基本的には裏方徹するつもりでしたが…。
賑やかな館になりそうです。
おっと、来客ですか。
「どちら様でしょうか。ご主人様と奥様は不在です。要件は伺います」
少し待った後、急に訪問者は伝えた。
「今夜、ここを襲撃するという噂を聞いた。気をつけなされ」
「襲撃とは物騒ですね。警告をありがとうございます」
ふむ、上層部の密使ですか。
襲撃される理由はやはり…アイ様か…。
捕虜なのにこの待遇はおかしい。
この騎士を使い、黒い国と取引を…など、軍の一部過激派が行動を開始したということでしょうか。
ユウとバンには伝えておこう。
いざというときはお二人を守らねばならない。
そうこうしているうちに二人が病院から帰宅する。
「お疲れさまです。お帰りなさいませ」
「ただいまコトさん」
「ねえコトさん来週には車椅子卒業よ、本当に今まで迷惑かけたわね」
喜ばしい。
継続的にリハビリしていた結果でしょう。今夜はお祝いを! といきたいところですが、襲撃の件がある。
ここはあえて素知らぬふりをして気を引き締めねばなるまい。
アイ様はお優しい。
そんな方を利用する輩は断じて許すまじ。
「ん、コトさん具合でも悪いの?」
いつもと様子が違うためアイは心配している。
「少し考え事をしていて…でも大丈夫です」
その瞬間、アイは前にもこんなことがあったかも…と一部記憶がフラッシュバックした。
「…これは…失礼…か…かん…考え…」
片言な内容を話すとそのままアイは倒れてしまった。
「アイ様、とりあえず医務室へ運びます」
「そうですね、記憶が戻りつつあるのか…」
スルはアイを車椅子に乗せて一階の医務室へ。
コトは小型の連絡機でバンに連絡。
医務室へつくと呼吸や脈をチェックした。ともに正常でひとまずベットに寝かしつけ様子をみることにした。
コトは密使の襲撃をスル様に話すか悩んだ。
アイ様が倒れてしまい状況が変わった。
襲撃の規模が不明なので全員で共有したほうが良いのではと思えたのだ。
「コトさん?何かあるのですか」
スルはただならぬ面持ちのコトに問いかけた。
スル様にはやはりお伝えするべきだろう。
「スル様お話があります。よろしいでしょうか」
「はい、そんな感じがします。アイのことで何かあったのですか」
「詳細は私もわからないのですが、今夜この館は何者かの襲撃があるそうです」
「えっ…襲撃ですか」
物騒なワードと、まだここに来て三日目なのに騒動が起きるとか少し心配なスル。
「もし本当に襲撃があっても多少なら十分対応できます。私たちはもともと軍人ですので問題ないです。ただ…」
武力行使しても意味はないのである。
また新たな争いが発生してしまう。
せめてこの館は平和であってほしい、それがコトと使用人たちの願いである。
すると突然屈強なバンが医務室へ駆け込んでくる。
「コト様、表に軍人が数名おり、アイ様を引き渡すよう叫んでおります」
「えっ」
私はこの館の執事コトと申します。
アイ様は元騎士と聞いていたので少し怖いイメージでした。ですが実際にお会いしてからは、その穏やかな性格や優しい物言いに驚きました。我々を主従関係とは考えずにあくまでも平等としてみてくれる発言には正直驚愕しました。
とても戦地で奮闘する騎士様には見えませんでした。
スル様もアイ様同様に戦人特有の血の匂いが全くしませんでした。関係者から農家出身と聞きましたが納得できました。無口だと少し暗い印象ですが、話すのが好きで雑談とかも普通にしてくれます。
私を含め四人の使用人は上層部の配下です。お二人が不穏な行動や外部との接触をした場合は即座に報告をし、しかるべき対応を、と命じられていましたが…実際お会いしてその心配はないと確信しました。
使用人は住み込みの四人で午前と午後で二名が 勤務します。
アサ、ヒルが午前を受け持ち。
ユウ、バンが午後を受け持ち。
アサとユウは女性でヒルとバンは男性です。
アイ様スル様到着後、最初はユウが館の案内をしてくれました。
ユウはアイ様に相当なショックを受けたようでした。
私と同様に最初は騎士というイメージがあったそうです。騎士の使用人は何度か経験があったらしいのですが、アイ様は騎士っぽくない、不思議な魅力がある…らしいです。
そんなアイ様は車椅子ですのでしばらくはフォローが必要なのですが、いかんせん自力で歩きたがるので少し困ります。
アイ様スル様はお二人での生活を想像していたようですが、この広い館に二人で住むのはちょっと現実的ではありません。
我々は滞在こそしておりますが基本的には裏方徹するつもりでしたが…。
賑やかな館になりそうです。
おっと、来客ですか。
「どちら様でしょうか。ご主人様と奥様は不在です。要件は伺います」
少し待った後、急に訪問者は伝えた。
「今夜、ここを襲撃するという噂を聞いた。気をつけなされ」
「襲撃とは物騒ですね。警告をありがとうございます」
ふむ、上層部の密使ですか。
襲撃される理由はやはり…アイ様か…。
捕虜なのにこの待遇はおかしい。
この騎士を使い、黒い国と取引を…など、軍の一部過激派が行動を開始したということでしょうか。
ユウとバンには伝えておこう。
いざというときはお二人を守らねばならない。
そうこうしているうちに二人が病院から帰宅する。
「お疲れさまです。お帰りなさいませ」
「ただいまコトさん」
「ねえコトさん来週には車椅子卒業よ、本当に今まで迷惑かけたわね」
喜ばしい。
継続的にリハビリしていた結果でしょう。今夜はお祝いを! といきたいところですが、襲撃の件がある。
ここはあえて素知らぬふりをして気を引き締めねばなるまい。
アイ様はお優しい。
そんな方を利用する輩は断じて許すまじ。
「ん、コトさん具合でも悪いの?」
いつもと様子が違うためアイは心配している。
「少し考え事をしていて…でも大丈夫です」
その瞬間、アイは前にもこんなことがあったかも…と一部記憶がフラッシュバックした。
「…これは…失礼…か…かん…考え…」
片言な内容を話すとそのままアイは倒れてしまった。
「アイ様、とりあえず医務室へ運びます」
「そうですね、記憶が戻りつつあるのか…」
スルはアイを車椅子に乗せて一階の医務室へ。
コトは小型の連絡機でバンに連絡。
医務室へつくと呼吸や脈をチェックした。ともに正常でひとまずベットに寝かしつけ様子をみることにした。
コトは密使の襲撃をスル様に話すか悩んだ。
アイ様が倒れてしまい状況が変わった。
襲撃の規模が不明なので全員で共有したほうが良いのではと思えたのだ。
「コトさん?何かあるのですか」
スルはただならぬ面持ちのコトに問いかけた。
スル様にはやはりお伝えするべきだろう。
「スル様お話があります。よろしいでしょうか」
「はい、そんな感じがします。アイのことで何かあったのですか」
「詳細は私もわからないのですが、今夜この館は何者かの襲撃があるそうです」
「えっ…襲撃ですか」
物騒なワードと、まだここに来て三日目なのに騒動が起きるとか少し心配なスル。
「もし本当に襲撃があっても多少なら十分対応できます。私たちはもともと軍人ですので問題ないです。ただ…」
武力行使しても意味はないのである。
また新たな争いが発生してしまう。
せめてこの館は平和であってほしい、それがコトと使用人たちの願いである。
すると突然屈強なバンが医務室へ駆け込んでくる。
「コト様、表に軍人が数名おり、アイ様を引き渡すよう叫んでおります」
「えっ」
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