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3. アレクとなった俺、陰謀に巻きこまれる
―― 殿下の陰謀 1 ――
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復帰祝いの会がお開きになっても、すぐにアレクの家に行くわけにはいかなかった。
ニコライ殿下との約束がある。
アリアたちにニコライ殿下の部屋の場所を尋ね、知らないというので、アベル宰相に訊くと、何度も訪ねているではないかと、怪訝な顔をされた。
俺は、まだ記憶が混乱していてとごまかした。再生魔法で甦ったことを知っている宰相は、すぐに納得し、ニコライ殿下の執務室を地図に書いてくれた。
ニコライ殿下の部屋に入ると、殿下と女性がひとりいた。
女性は殿下の副官のひとりだろう。アリアたちの講義のおかげで、宮廷内の組織は、なんとか頭に入っている。
殿下の下には、数人の副官がいたはずだ。
この世界は、文化的には中世のようだが、女性でも男性に負けず劣らず、地位の高い者はいるということだった。高い地位にいる女性は、例外なく強い魔力を持ち、剣や槍の技量も男性にまさっている。魔物や魔獣のいるこの世界では、強い力を持つものは、平等に扱われるらしい。そうでなければ、人間が魔物に駆逐されてしまう――俺にはまだ実感が持てないが――厳しい世界なのだろう。
「……座ってくれ。アリシア、君もだ」
殿下は、部屋の中央にあるテーブルをしめした、あまり装飾のないテーブルや椅子、王族とは思えない質素な家具だ。
「お互い、初めてだったな。アレク、アリシアは、この間、私の副官になった、有能な女性だ」
「アリシア、弟のアレクだ。今は、私の派閥に入り、がんばってくれている」
「存じております。非常に鋭い方だとうかがってますわ」
真ん中から分けた黒髪に青い瞳、目じりにしわがあり、頬のえくぼがかわいい、なごやかな雰囲気をかもしだす女性だった。
「本題に入ろう」
殿下は、俺の復帰祝いの会で、かなりの量の酒をのんだにもかかわらず、まったく酔った様子がない。酔いを醒ます、何かの魔法を使っているのかもしれなかった。
ニコライ殿下との約束がある。
アリアたちにニコライ殿下の部屋の場所を尋ね、知らないというので、アベル宰相に訊くと、何度も訪ねているではないかと、怪訝な顔をされた。
俺は、まだ記憶が混乱していてとごまかした。再生魔法で甦ったことを知っている宰相は、すぐに納得し、ニコライ殿下の執務室を地図に書いてくれた。
ニコライ殿下の部屋に入ると、殿下と女性がひとりいた。
女性は殿下の副官のひとりだろう。アリアたちの講義のおかげで、宮廷内の組織は、なんとか頭に入っている。
殿下の下には、数人の副官がいたはずだ。
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「……座ってくれ。アリシア、君もだ」
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「お互い、初めてだったな。アレク、アリシアは、この間、私の副官になった、有能な女性だ」
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「本題に入ろう」
殿下は、俺の復帰祝いの会で、かなりの量の酒をのんだにもかかわらず、まったく酔った様子がない。酔いを醒ます、何かの魔法を使っているのかもしれなかった。
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