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第二章
運悪くこの世界にたどり着いてしまった方へ 21
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「魔物喰らいの帯が、訓練場を構成していた魔力も持っていったのね。それが全部、穂結君の中にあるのが見える。 魔力の量が多過ぎて、他人が外に出そうとすればバランスを壊してしまう……」
頭が熱でぼんやりする。体内でエネルギーが暴れている。
「どう……したらいい?」
「それはもう穂結君の魔力。穂結君がコントロールして外に出すしかない。何かイメージして。それだけの魔力量なら、何かを造り出す事で消費出来るはず」
手足が震える。立っていられない。がたがたと震えるが、心身の高揚が止まらない。
「どうしたら――」
「手を前にかざして。目を閉じて、イメージして。強いエネルギーが込められた何かを。内なる魔力が形となるに相応しいものを!」
「ぐっ――!」
目を閉じる。極彩色がどろどろと蠢くイメージ。溶岩の爆発。力強い鬼のような者のシルエット。無数の色彩の糸が何か形を成そうとしている。溶岩の爆発。内に潜むのは、包帯。魔物喰らいの帯。那美を食おうとした。それは、駄目だ。彼女は関係ない。彼女は魔物ではないのだ。だから、今度もしそんな事をしようとしたら、俺が、俺がこの手でこいつを――!
――何かが、ぎゅるぎゅるぎゅると音を立てて回転する――
自分の中で爆発しようとしていた魔力が外に飛び出したのがわかった。相当な量だ。それが空中で形を成し、回転しながら落ちて来た。まるでそうなる事が計算されていたかのように、カン! と音を立てて、煌津と那美のちょうど間に突き刺さる。
「これは……」
それは、長方形の箱だった。掌よりは大きく、真っ黒で、プラスチックのような透明な板の内側に、綺麗に巻かれた二つのテープが見える。
「ビデオ……?」
那美が、思いっきり眉根を寄せて言った。
「いや、何でビデオ?」
「え……いや、わかんない」
「私、強いエネルギーが込められたものって言ったよね? 穂結君的にビデオってそういうものなの?」
「え……ほらだって、呪いのビデオとか」
――――――エッチな奴とか。
「ベイビーめ」
那美が忌々しそうに言う。えぇ……と、声にならない声が煌津の口から漏れた。
「ビデオはともかく、九宇時さん……平気?」
「私は大丈夫。魔力を循環させれば肉体は治せるから」
言うが早いか、桜色の光が仄かに那美を包み、そして消える。心なしか、那美の血色が良くなった気がする。
「九宇時さん、このビデオ……」
「それはこちらで預かる。君はこれ以上、こっちの世界に立ち入らなくていい」
那美の手が突き刺さったビデオに伸びる。その動きよりも一瞬速く、煌津はビデオを掴み取った。
「穂結君?」
那美の目が静かに煌津を見つめる。
「これ……俺の魔力が込められたものなんでしょ? てことは、俺がこれをどうにかして使う事が出来れば……」
「……邪悪なモノたちと戦える、と?」
頭が熱でぼんやりする。体内でエネルギーが暴れている。
「どう……したらいい?」
「それはもう穂結君の魔力。穂結君がコントロールして外に出すしかない。何かイメージして。それだけの魔力量なら、何かを造り出す事で消費出来るはず」
手足が震える。立っていられない。がたがたと震えるが、心身の高揚が止まらない。
「どうしたら――」
「手を前にかざして。目を閉じて、イメージして。強いエネルギーが込められた何かを。内なる魔力が形となるに相応しいものを!」
「ぐっ――!」
目を閉じる。極彩色がどろどろと蠢くイメージ。溶岩の爆発。力強い鬼のような者のシルエット。無数の色彩の糸が何か形を成そうとしている。溶岩の爆発。内に潜むのは、包帯。魔物喰らいの帯。那美を食おうとした。それは、駄目だ。彼女は関係ない。彼女は魔物ではないのだ。だから、今度もしそんな事をしようとしたら、俺が、俺がこの手でこいつを――!
――何かが、ぎゅるぎゅるぎゅると音を立てて回転する――
自分の中で爆発しようとしていた魔力が外に飛び出したのがわかった。相当な量だ。それが空中で形を成し、回転しながら落ちて来た。まるでそうなる事が計算されていたかのように、カン! と音を立てて、煌津と那美のちょうど間に突き刺さる。
「これは……」
それは、長方形の箱だった。掌よりは大きく、真っ黒で、プラスチックのような透明な板の内側に、綺麗に巻かれた二つのテープが見える。
「ビデオ……?」
那美が、思いっきり眉根を寄せて言った。
「いや、何でビデオ?」
「え……いや、わかんない」
「私、強いエネルギーが込められたものって言ったよね? 穂結君的にビデオってそういうものなの?」
「え……ほらだって、呪いのビデオとか」
――――――エッチな奴とか。
「ベイビーめ」
那美が忌々しそうに言う。えぇ……と、声にならない声が煌津の口から漏れた。
「ビデオはともかく、九宇時さん……平気?」
「私は大丈夫。魔力を循環させれば肉体は治せるから」
言うが早いか、桜色の光が仄かに那美を包み、そして消える。心なしか、那美の血色が良くなった気がする。
「九宇時さん、このビデオ……」
「それはこちらで預かる。君はこれ以上、こっちの世界に立ち入らなくていい」
那美の手が突き刺さったビデオに伸びる。その動きよりも一瞬速く、煌津はビデオを掴み取った。
「穂結君?」
那美の目が静かに煌津を見つめる。
「これ……俺の魔力が込められたものなんでしょ? てことは、俺がこれをどうにかして使う事が出来れば……」
「……邪悪なモノたちと戦える、と?」
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