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㉜デビュー戦

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「そんな事を考えていたのか」
殿下だけで無く義兄も困惑していた

私、貴族からすれば傷物令嬢です
アニメからすれば早めで若くは有るものの、妃殿下教育も受けた傷物令嬢では幾ら、王家から覚え目出たきエルグラム侯爵の恩恵が受けられるとしても普通の貴族には荷が重い
他貴族から傷物しか貰えないような貴族と見られるなど高い矜持を持つ貴族には許容出来かねないのが普通だから

親戚なら、あんな女を押し付けられてお気の毒ね、と同情を貰えるので義祖母様の実家である、ライアット伯爵家はとりあえず愛人に来いと言って来るのだ。

後は歳の入ってる方の後妻か、よっぽど問題有って今まで独身の高齢男性なら傷物でも可能性は有るだろう。
何しろ15歳になったばかりの、自分で言うのもなんだが王家お済み付きの生娘だ、自分色に染めたい欲に忠実な男性貴族は多いと聞くし。
側室は王家の中でも跡継ぎを残す義務の有る国王陛下のみの特権だが愛人は普通の貴族でも家庭が赦されるなら持てる
なんなら貴族令嬢よりも平民の方がしがらみもなく望まれる可能性が高い

義兄が望むなら、それでも受けるつもりだ。エルグラム侯爵領の為になるので有れば喜んでこの身を捧げよう
しかし、私の幸せを考えてくれると言うのなら、貴族の地位より平民になって事業の運営なり、管理人としての業務でせっかく持っている前世の知識と今世の教育を活かしたい。多分、前世の働く事に対する意識の差が強く影響しているんだろうね

にこっと敢えて無邪気に微笑みを向けると義兄は軽く息をついた

「妹の身を案じて頂きまことに畏れ入ります。しかし、この子の事はきちんと考えておりますので問題有りません、どうぞ尊き御身を大切にお過ごし下さいませ。この度は我が家の為に有難うございました」

ゆっくりと2人で最上の挨拶をし、辞意を表明して退去させて頂いた。

ずっと入り口に立っていた近衛騎士が扉を閉めるのと同時に大きく息を吐く。
なんか色々有りすぎじゃない?
私、本日はデビューに来たのですよ?

ジョージ様程では無いにしろ、それはウキウキ楽しみにして居たのに、何だか次々と問題が起こって普通の令嬢ならとっくに可憐に倒れてしまう所、変に図太い己の神経に呆れてしまう

「とりあえず会場に向かいましょう、義兄さま」
「かなり大幅に遅れてしまったが、このままではアマール伯爵家にも余計に影響を与える事になる。子息はどうでも良いが伯爵夫妻はお気の毒だしな」

ドロシー様の身の置かれ処が分かり、少し安心した以外は喜ばしくない事態。
仕方ないと義兄様は軽く私をおっお姫様抱っこ~!?
「にーさま?にっにいさま!」
「お前は焦ると舌足らずになるのは変わらないな。舌を噛まないように大人しくしていなさい。この方が何倍も速い」

慣れた足取りは確かに速く、義兄の首に両手を回して少しでも安定するよう身体を預けた。まさかのスペシャルご褒美タイムで心臓が弾けんばかりに高鳴る。
神様!私をこちらに転生させて下さり誠に有難うございます有難うございます。

第一王子殿下の申し出と違いガチで感謝の祈り、捧げましたよ。我、人生一片の悔いなし

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