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㉑初めてのお茶会セカンドステージ

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一瞬、時が止まり掛けたが楽しそうにお話をしているお二方へ侍従が声を掛けた。
二人とも僅かに嫌な顔を見せたが、その隙を付いてカーテシーをする
母直伝のカーテシーは少し他の令嬢と違うので側妃殿下様も声を出すのが一瞬遅れる
「遅くなりまして申し訳有りません。エルグラム侯爵家からレンファラン・エルグラムがかくも尊き御方に挨拶申し上げます」

実際は30分くらい指定の時間より早い。遅れるのは問題外だが1時間前に来た時は周りの迷惑を考えなさい!と妃殿下に叱られたので妃殿下に文句が出難い時間のタイミングがこのぐらいだったから今日も同じ時間に来たら居る。まぁ住んでらっしゃるのでね、いくらでも調整可能でしょう。
しかし、何故に妃殿下までいらっしゃるのか。
「まぁこんなに待たせるなんてわたくし達、王族も舐められたものね」
扇子で口元を隠しても優位に立てる悦び溢れてます
「所詮、平民上がりだから私達の時間の大切さが分からないのですよ母上」
初っぱなから嫌み炸裂の婚約者様。当然、椅子を引くなんてしてくれませんのでね、笑顔固定で立ったままです
侍従は視線で合図して帰らせました。多分放っておくと下位から話しかけた不敬罪だとか言い出しかねないので。
近くのメイド服の女性があからさまに睨んでいらっしゃるのを見て成る程?と。お胸が豊満なナイスプロポーション、気が強そう、妃殿下と少し似ている色合いの髪。この方がドロシー様かも知れない

「黙ってないでなんとか言え!僕はお前と違って暇では無い!」
怒鳴らずとも聞こえています。威圧をしたいにしても耳が痛くなりそうなので少しボリュームを下げて下さると助かるのですが。

「失礼しました。貴重なお時間を頂戴し、誠に有難うございます。忙しい第三王子殿下さま、簡潔に用件を伝えさせて頂きますね?」
婚約者なのに名前呼びの許可が出ていない現状はここに居る人達を悦ばせたようだ
「なんだ。早く言え」
ニヤニヤ顔の殿下の視線が私の身体を這いずり回るような感覚でゾッとする
妃殿下の睨みつける視線の方が却って清々しい

「第三王子殿下さま、わたくしとの婚約がとても
殿下に容認出来るものでは無い事、また殿下の選ばれた方を愛する事、それに関してわたくしレンファランは何一つ訴えかける事も咎める事もいたしません、がエルグラム侯爵家の者として、どうか公けの場での行為はお慎み下さいますようお願い申し上げます」
 
バレているのを知らなかったのか豆鉄砲を喰らったような顔を浮かべたが直ぐに机に手をかけ真っ赤な顔で立ち上がる。
私の力で喧嘩は出来ないのだから力任せは止めて頂きたいものだ
「貴様!言うに事かいて僕を愚弄するのか!まぁ恋人が居るのは確かだよ、お前と違って美人な恋人がな」

立ち上がりついでにメイドの腰を引き寄せる。
腰から回り込ませた腕をお胸へ伸ばし擦りつける厭らしい手付きに身を震わせた
自分の母の前ですら我慢しないなんて気持ち悪い

「始めまして平民出身の令嬢さん。私がミカエリスの
恋人、ドロシー・アンタロス男爵令嬢よ。此方の妃殿下様の姪になる生粋の貴族なの、宜しくね?」

歳上、妃殿下の親戚、殿下の愛に私が平民出身なフルコンボで自信満々に話掛けられた

一応、養子とは言え侯爵令嬢です私
男爵家からの上位貴族に対する舐めた態度は侯爵家としては赦してはいけません。特にこんな場面では
さっきの侍従さんやメイドさん方の様に職業上話しかける必要が有れば別ですけれど、この方はあくまで自分が上位に立つ存在として発言したのですから

私が軽くため息をつくと余計に妃殿下や王子殿下が苛立ちを隠せない様子で眉間に皺を寄せた
「なんとか言ったらどうだ平民!」
妃殿下も扇子を机に叩きつけ威嚇する

「わたくしが平民出なのは事実ですが、現在はエルグラム侯爵家の者なのをご理解頂けませんか?」

「うるせーお前は僕を慰める娼婦だ。そうでしょう母上」
「そうねぇ。しかもドロシーは妊婦だものね、労って頂かないと困るわね」

「は?はい?にん、ぷ」
これには流石に言葉になりません。未婚の令嬢を孕ました?何故か誇らしげな殿下も、不貞を堂々と隠しもしない令嬢も、それを容認するのが、この国の頂点と言うべき妃殿下なのも。
妊婦、赤さんがあの中にい、る?
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