上 下
2 / 3

第2話

しおりを挟む
「ただいま~」

 この声は...

「おかえりなさい、七海姉様」

 3歳違いの七海姉様が帰ってきた。

「おかえり~。じゃあ私お風呂入ってくるね」

 そう言って涼香姉様は七海姉様と入れ替わる形でお風呂に行った。ここ半年、あまり二人の仲はよくない。いや、なにかを夜な夜な話し合っているときもあるが昼はあまり喋らず、喋ったかと思えば皮肉の言い合い。
 正直姉様方には仲良くしてほしいものだ。

「今日も疲れたわ。大知」

「はい」

 今七海姉様が俺に指示したのはお菓子と紅茶を持ってこいといういつも通りの意味だ。七海姉様は俺を家政婦や執事のように扱っている、ひどいぜ。
 なんだか13歳なのにすごい年上に見えるのは身長の差か余裕の違いか。まぁ今俺が考えてもあんまり意味はないように感じるので議論は後に回そう。

「今日も監督が無茶言ってきてね」

「うん」

「でもそれに反論できるのは私だけだから~」

 また始まった。姉様は自慢話が多いというか「こんな私もあるのよ」みたいなのをずっと話してくる。外の世界を知るには有用なのだがすこしめんどくさいときがある。

「大知も現場に来れたらいいのに」

「まぁ16歳越えてからかな」

「大知は芸能界来るつもりあるの?」

「いまのところはないかな」

 俺なんかが行っても芸能界で生きていけるとは思えないし。でもテレビ出てる人たちあんまり顔良い人いないからなぁ。俺の方がましな気はする。自惚れかもしれないが。

「そうなの?大知なら天下取れると思うけど」

「そんなことないよ」

「そもそも男性俳優がすくないしね。私の弟なんだから間違いないわ」

 姉様は自分に自信があると同時に弟の俺にも自信を持っているらしい。いや確かにテレビに出てる俳優よりかはマシだがフツメンである。テレビに出ている人はあまりチヤホヤされてこずテレビに出てやっとチヤホヤされるような人たちだ。
 姉様方が言うには、「テレビに出てない人は監禁されてるか女囲わせて何もしなくても生きていける環境だから出てないだけ」だと。生で芸能界を生きてる人たちは違うなぁ。

「「「ただいま」」」

「「おかえり~」なさい」

 そんな話をしているとお母様と妹二人が帰ってきた。

「おにーさまーだっこー」

 7歳の妹、菜音《なの》が言ってきた。うーんかわいい。

「はいはい」

「大知、申し訳ないけどご飯はもう出来てるかしら?」

「えぇお母様。もう用意しましょうか?」

「お願いするわ」

 なんやかんや話していると7時になっていた。丁度いい時間だな。

「菜音?ご飯の用意するからおりてくれる?」

「うん...」

 そんな悲しそうにしないでくれよ。なんか悪いことしてるみたいじゃないか。


_______________
振られました
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

シン・三毛猫現象 〜自然出産される男が3万人に1人の割合になった世界に帰還した僕はとんでもなくモテモテになったようです〜

ミコガミヒデカズ
ファンタジー
 気軽に読めるあべこべ、男女比モノです。  以前、私がカクヨム様で書いていた小説をリメイクしたものです。  とあるきっかけで異世界エニックスウェアに転移した主人公、佐久間修。彼はもう一人の転移者と共に魔王との決戦に挑むが、 「儂の味方になれば世界の半分をやろう」  そんな魔王の提案に共に転移したもう一人の勇者が応じてしまう。そんな事はさせないと修は魔王を倒そうとするが、事もあろうに味方だったもう一人の勇者が魔王と手を組み攻撃してきた。  瞬間移動の術でなんとか難を逃れた修だったが、たどり着いたのは男のほとんどが姿を消した異世界転移15年後の地球だった…。

俺は先輩に恋人を寝取られ、心が壊れる寸前。でも……。二人が自分たちの間違いを後で思っても間に合わない。俺は美少女で素敵な同級生と幸せになる。

のんびりとゆっくり
恋愛
俺は島森海定(しまもりうみさだ)。高校一年生。 俺は先輩に恋人を寝取られた。 ラブラブな二人。 小学校六年生から続いた恋が終わり、俺は心が壊れていく。 そして、雪が激しさを増す中、公園のベンチに座り、このまま雪に埋もれてもいいという気持ちになっていると……。 前世の記憶が俺の中に流れ込んできた。 前世でも俺は先輩に恋人を寝取られ、心が壊れる寸前になっていた。 その後、少しずつ立ち直っていき、高校二年生を迎える。 春の始業式の日、俺は素敵な女性に出会った。 俺は彼女のことが好きになる。 しかし、彼女とはつり合わないのでは、という意識が強く、想いを伝えることはできない。 つらくて苦しくて悲しい気持ちが俺の心の中であふれていく。 今世ではこのようなことは繰り返したくない。 今世に意識が戻ってくると、俺は強くそう思った。 既に前世と同じように、恋人を先輩に寝取られてしまっている。 しかし、その後は、前世とは違う人生にしていきたい。 俺はこれからの人生を幸せな人生にするべく、自分磨きを一生懸命行い始めた。 一方で、俺を寝取った先輩と、その相手で俺の恋人だった女性の仲は、少しずつ壊れていく。そして、今世での高校二年生の春の始業式の日、俺は今世でも素敵な女性に出会った。 その女性が好きになった俺は、想いを伝えて恋人どうしになり。結婚して幸せになりたい。 俺の新しい人生が始まろうとしている。 この作品は、「カクヨム」様でも投稿を行っております。 「カクヨム」様では。「俺は先輩に恋人を寝取られて心が壊れる寸前になる。でもその後、素敵な女性と同じクラスになった。間違っていたと、寝取った先輩とその相手が思っても間に合わない。俺は美少女で素敵な同級生と幸せになっていく。」という題名で投稿を行っております。

男女比1:10。男子の立場が弱い学園で美少女たちをわからせるためにヒロインと手を組んで攻略を始めてみたんだけど…チョロいんなのはどうして?

ファンタジー
貞操逆転世界に転生してきた日浦大晴(ひうらたいせい)の通う学園には"独特の校風"がある。 それは——男子は女子より立場が弱い 学園で一番立場が上なのは女子5人のメンバーからなる生徒会。 拾ってくれた九空鹿波(くそらかなみ)と手を組み、まずは生徒会を攻略しようとするが……。 「既に攻略済みの女の子をさらに落とすなんて……面白いじゃない」 協力者の鹿波だけは知っている。 大晴が既に女の子を"攻略済み"だと。 勝利200%ラブコメ!? 既に攻略済みの美少女を本気で''分からせ"たら……さて、どうなるんでしょうねぇ?

女性が少ない世界へ異世界転生してしまった件

りん
恋愛
水野理沙15歳は鬱だった。何で生きているのかわからないし、将来なりたいものもない。親は馬鹿で話が通じない。生きても意味がないと思い自殺してしまった。でも、死んだと思ったら異世界に転生していてなんとそこは男女500:1の200年後の未来に転生してしまった。

男女比:1:450のおかしな世界で陽キャになることを夢見る

卯ノ花
恋愛
妙なことから男女比がおかしな世界に転生した主人公が、元いた世界でやりたかったことをやるお話。 〔お知らせ〕 ※この作品は、毎日更新です。 ※1 〜 3話まで初回投稿。次回から7時10分から更新 ※お気に入り登録してくれたら励みになりますのでよろしくお願いします。 ただいま作成中

異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!

石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。 クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に! だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。 だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。 ※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。

男女比1:10000の貞操逆転世界に転生したんだが、俺だけ前の世界のインターネットにアクセスできるようなので美少女配信者グループを作る

電脳ピエロ
恋愛
男女比1:10000の世界で生きる主人公、新田 純。 女性に襲われる恐怖から引きこもっていた彼はあるとき思い出す。自分が転生者であり、ここが貞操の逆転した世界だということを。 「そうだ……俺は女神様からもらったチートで前にいた世界のネットにアクセスできるはず」 純は彼が元いた世界のインターネットにアクセスできる能力を授かったことを思い出す。そのとき純はあることを閃いた。 「もしも、この世界の美少女たちで配信者グループを作って、俺が元いた世界のネットで配信をしたら……」

幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。

スタジオ.T
青春
 幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。  そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。    ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。

処理中です...