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第二部 ―青空かすむ怠惰の魔女―
ep.35 恵みの雨よ、「負」の大掃除だ!
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「この先に起こる事は、『覚悟』が必要かもしれない」
マニーが、重い表情でそう呟く。
うん。僕も正直そんな気がしている。シアン自身はどう思っているのか分からない表情で、今も飲み物を口にしているけど、この後の予想に賛成などしていないと信じたい。
これにはアゲハも怒り心頭であった。
「くっ、『予定調和』というやつか…! 今日までの事は、全てやつの思う壺だと!」
「多分ね。通りで最初の襲撃以来、奴らが妙に大人しいと思った。これまで2人も幹部が倒されているのに、全くと言っていいほど報復が来ないんだ。文明の発展や維持における、資源や領地を奪い合う理由がないから、余裕でいられるんだろう。
だけど、その均衡が崩れた頃には… 正直、なってほしくはないけど―― 恐らく、マゼンタを解放したその“瞬間”から、戦争の始まりだ」
目の前が、真っ暗に感じた。
マニーのその考察が本当なら、今の僕達は気がつかない内に、自分で自分の首を絞めているという事になる。
正に絶望だった。
この国が、大陸が、戦争にならないためには、マゼンタを“諦めろ”という事なのか?
そんなのあんまりじゃないか。今はもう、魔王の仕事は交代されているけど、身分がどうあれ僕達の仲間である事には変わりがないのに! ひどい。ひどすぎる。
「フェデュートは… マーモは、この世から消すべき存在だ。いてはならない『害悪』だ」
僕は自然と、そう呟いていた。
アゲハもマニーも、静かにこちらへ目を向けている。きっと同じ思いなのだろう。
すると、飲み終わったのかシアンが気だるそうに立ち上がった。
「さてと。俺は今から暗黒城へ寄ってくるわ」
「え!?」
「なんだよ、そんなに驚く事か? 掘り出し物があるんだよ。長いこと住んでいたんだし、城の内装は良く知ってる。ついでにセリナ、お前に返すんだったっけ? この氷の力」
そういって、手から僅かに冷気のオーラを出すシアン。
そうだった! でないと僕の能力も元に戻らないんだっけ… て、ちょっとまって!?
「あ! それもあるんだけど、1つ教えてほしいんだ。その、アシッドアタックのこと」
アゲハとマニーも、その言葉にハッとなった。
今まで僕達が知らなかった、シアンの能力の1つである。すると、
「…」
シアンが歯痒そうな表情で、僅かに視線を逸らしたのだ。
という事は、心当たりがあるのか。
「マゼンタに、発現しないよう何度も釘を刺された。相手の尊厳やプライドを傷つける、卑劣な魔法だから、あくまで『最終手段』だってな」
そういって、シアンは和室を後にした。
やはり本物からみても「奥の手」だったか… チアノーゼに能力を見破られ、それを悪用された時は、さぞ辛かっただろうな。
――――――――――
ドーン! ドドーン!
「というわけでこの通り、2つ目の魔王級の魔法も取り戻せたよ! やったぜ」
なんて、さっきとは打って変わって笑顔になっている僕だけど、あのあと。
すぐに王宮前広場でシアンから能力の一部を取り戻し、こうして寝ている間の「夢」として、上界の狭間にお邪魔しているのであった。
イングリッドとミネルヴァ、通称「ひまわり組」の2人に、氷柱とイバラをお披露目だ。
「おいおい、なんつーところで発現してんだお前!? こんな暗い中に同化したとげとげ、あとでちゃんと片付けろよ?」
「ごめんごめん。嬉しくてつい」
なんていいながら、その場にあるオブジェクト達をフェードアウトさせる。
イングリッドは僕のことが「気が気でならない」といった表情だが、ミネルヴァはどうやら別の事を考えているようで。
「氷属性… もしかしたら、アレが上手くいくかも」
「?」
「セリナ。ちょっとこっちへ来てくれる?」
「アレ」って何だろう? という僕の疑問のもと、ミネルヴァがここで異次元に繋がるトンネルを生成した。
その先にはお馴染み、あの灼熱の地獄世界が見える。僕はイングリッドに手を振り、ミネルヴァの案内通りトンネルを潜ったのであった。
――――――――――
「シアンが戻ってきた事で、魔王職を代理で勤められる人が2人になった。2人もいれば、1人は私達ひまわり組の職務も代理で任せられるかもしれない。そう思ってね」
「えぇ!? 先代魔王が、覇者たちの職務代理なんて前代未聞だな」
ミネルヴァの一案は、かなり意外なものであった。
地獄は相変わらず火山活動が活発で、遠くでは隕石が無数に降り注いでいる。その玉座にはシアンとカナルがいて、2人は何やら言い争っているようで。
「だから、勝手に周りのものを片づけたら今の魔王に迷惑がかかるだろう!?」
「迷惑しとるんはウチや! いっつも足元しっちゃかめっちゃやさかい、歩きずらいわきったないわ、ようあんなんで過ごせるねんな! シアンは何とも思わへんの!?」
「じゃあ自分が逆の立場になっても文句をいうなよな!?」
「ちょっと、2人ともストップ」
と、ミネルヴァがジト目で手を数回パチパチし、2人の喧嘩を止める。
今、少しだけ聞いちゃったけど、すっごくどうでもいい喧嘩だったわ…
「実は、折り入って頼みがあるんだけど――」
と断りを入れ、かくかくしかじか用件を伝えるミネルヴァ。
すると、シアンもカナルもその件には賛成の様子。
「あぁ、いいんじゃねぇの? 俺がやって大丈夫なら」
「ウチもそっちの方がええわ。ここの掃除毎回しんどいねん」
うん、だからその話はもういいって。なんて僕が呆れた表情で見ている中、ミネルヴァは賛成を得られて満足とばかり、この場を後にした。
こうして、再び僕とミネルヴァの2人きり。
マグマだらけの世界で、ミネルヴァが自身の掌から、青い玉状のオーブを発現した。
「あなた、ヒナの水魔法の使い方は覚えてる?」
「はい。一応は」
「その応用で、これからあなたには『雨を降らせる』能力を分け与えるわ。シアンの氷魔法と併用すれば、意図的に雪を降らせる事も可能よ」
「おー」
そうだ、ミネルヴァといえば「雨女」。
見た目は決して派手ではないけど、自然そのものを司るという意味では、かなり強い能力といえる。そんな雨を降らせる力を、彼女がオーブに込めて僕に付与するのか。
こうして、浮遊したオーブは意思をもったように、僕の所へと漂ってきた。
そして僕の胸中へと入り込む。穏やかで、全身が濡れるような、不思議な感覚だった。
「はっ…」
体が、水で満たされていくような。
黒焔魔法の時とはまた違う、優しさというか。それはやがてスーッと沁み込んでいった。
「やってみる」
僕は緊張気味に、上空へと手を翳した。
するとどうだろう? 隕石の軌道や、星空が映る空が、どんどん真っ黒になっていったではないか。
そして更に数秒後―― 水なんて無縁な、この地獄世界に、ぽつぽつと雨が降ってきたのである。信じられなかった。
「すごい。これが『雨を降らせる力』?」
「雨には、恵みの力が含まれている。使う場所によって、修繕の効果も期待できるはずよ。ただし、時に災いをもたらす場合があるから、くれぐれも使い過ぎに注意ね」
と、ミネルヴァが僕を見据える。
僕は「はい」と頷いた。これにて、2つ目の神の力を習得だ。ということは…?
「私も、近くアガーレールに降りてみようと思うの。あの先住民2人にも会いたいしね」
やはりそういう事だったか。僕はその経緯に納得したのであった。
それにしても、地獄に雨って凄い光景だな。
2人とも、今だけ真っ黒ずぶ濡れである。
(つづく)
マニーが、重い表情でそう呟く。
うん。僕も正直そんな気がしている。シアン自身はどう思っているのか分からない表情で、今も飲み物を口にしているけど、この後の予想に賛成などしていないと信じたい。
これにはアゲハも怒り心頭であった。
「くっ、『予定調和』というやつか…! 今日までの事は、全てやつの思う壺だと!」
「多分ね。通りで最初の襲撃以来、奴らが妙に大人しいと思った。これまで2人も幹部が倒されているのに、全くと言っていいほど報復が来ないんだ。文明の発展や維持における、資源や領地を奪い合う理由がないから、余裕でいられるんだろう。
だけど、その均衡が崩れた頃には… 正直、なってほしくはないけど―― 恐らく、マゼンタを解放したその“瞬間”から、戦争の始まりだ」
目の前が、真っ暗に感じた。
マニーのその考察が本当なら、今の僕達は気がつかない内に、自分で自分の首を絞めているという事になる。
正に絶望だった。
この国が、大陸が、戦争にならないためには、マゼンタを“諦めろ”という事なのか?
そんなのあんまりじゃないか。今はもう、魔王の仕事は交代されているけど、身分がどうあれ僕達の仲間である事には変わりがないのに! ひどい。ひどすぎる。
「フェデュートは… マーモは、この世から消すべき存在だ。いてはならない『害悪』だ」
僕は自然と、そう呟いていた。
アゲハもマニーも、静かにこちらへ目を向けている。きっと同じ思いなのだろう。
すると、飲み終わったのかシアンが気だるそうに立ち上がった。
「さてと。俺は今から暗黒城へ寄ってくるわ」
「え!?」
「なんだよ、そんなに驚く事か? 掘り出し物があるんだよ。長いこと住んでいたんだし、城の内装は良く知ってる。ついでにセリナ、お前に返すんだったっけ? この氷の力」
そういって、手から僅かに冷気のオーラを出すシアン。
そうだった! でないと僕の能力も元に戻らないんだっけ… て、ちょっとまって!?
「あ! それもあるんだけど、1つ教えてほしいんだ。その、アシッドアタックのこと」
アゲハとマニーも、その言葉にハッとなった。
今まで僕達が知らなかった、シアンの能力の1つである。すると、
「…」
シアンが歯痒そうな表情で、僅かに視線を逸らしたのだ。
という事は、心当たりがあるのか。
「マゼンタに、発現しないよう何度も釘を刺された。相手の尊厳やプライドを傷つける、卑劣な魔法だから、あくまで『最終手段』だってな」
そういって、シアンは和室を後にした。
やはり本物からみても「奥の手」だったか… チアノーゼに能力を見破られ、それを悪用された時は、さぞ辛かっただろうな。
――――――――――
ドーン! ドドーン!
「というわけでこの通り、2つ目の魔王級の魔法も取り戻せたよ! やったぜ」
なんて、さっきとは打って変わって笑顔になっている僕だけど、あのあと。
すぐに王宮前広場でシアンから能力の一部を取り戻し、こうして寝ている間の「夢」として、上界の狭間にお邪魔しているのであった。
イングリッドとミネルヴァ、通称「ひまわり組」の2人に、氷柱とイバラをお披露目だ。
「おいおい、なんつーところで発現してんだお前!? こんな暗い中に同化したとげとげ、あとでちゃんと片付けろよ?」
「ごめんごめん。嬉しくてつい」
なんていいながら、その場にあるオブジェクト達をフェードアウトさせる。
イングリッドは僕のことが「気が気でならない」といった表情だが、ミネルヴァはどうやら別の事を考えているようで。
「氷属性… もしかしたら、アレが上手くいくかも」
「?」
「セリナ。ちょっとこっちへ来てくれる?」
「アレ」って何だろう? という僕の疑問のもと、ミネルヴァがここで異次元に繋がるトンネルを生成した。
その先にはお馴染み、あの灼熱の地獄世界が見える。僕はイングリッドに手を振り、ミネルヴァの案内通りトンネルを潜ったのであった。
――――――――――
「シアンが戻ってきた事で、魔王職を代理で勤められる人が2人になった。2人もいれば、1人は私達ひまわり組の職務も代理で任せられるかもしれない。そう思ってね」
「えぇ!? 先代魔王が、覇者たちの職務代理なんて前代未聞だな」
ミネルヴァの一案は、かなり意外なものであった。
地獄は相変わらず火山活動が活発で、遠くでは隕石が無数に降り注いでいる。その玉座にはシアンとカナルがいて、2人は何やら言い争っているようで。
「だから、勝手に周りのものを片づけたら今の魔王に迷惑がかかるだろう!?」
「迷惑しとるんはウチや! いっつも足元しっちゃかめっちゃやさかい、歩きずらいわきったないわ、ようあんなんで過ごせるねんな! シアンは何とも思わへんの!?」
「じゃあ自分が逆の立場になっても文句をいうなよな!?」
「ちょっと、2人ともストップ」
と、ミネルヴァがジト目で手を数回パチパチし、2人の喧嘩を止める。
今、少しだけ聞いちゃったけど、すっごくどうでもいい喧嘩だったわ…
「実は、折り入って頼みがあるんだけど――」
と断りを入れ、かくかくしかじか用件を伝えるミネルヴァ。
すると、シアンもカナルもその件には賛成の様子。
「あぁ、いいんじゃねぇの? 俺がやって大丈夫なら」
「ウチもそっちの方がええわ。ここの掃除毎回しんどいねん」
うん、だからその話はもういいって。なんて僕が呆れた表情で見ている中、ミネルヴァは賛成を得られて満足とばかり、この場を後にした。
こうして、再び僕とミネルヴァの2人きり。
マグマだらけの世界で、ミネルヴァが自身の掌から、青い玉状のオーブを発現した。
「あなた、ヒナの水魔法の使い方は覚えてる?」
「はい。一応は」
「その応用で、これからあなたには『雨を降らせる』能力を分け与えるわ。シアンの氷魔法と併用すれば、意図的に雪を降らせる事も可能よ」
「おー」
そうだ、ミネルヴァといえば「雨女」。
見た目は決して派手ではないけど、自然そのものを司るという意味では、かなり強い能力といえる。そんな雨を降らせる力を、彼女がオーブに込めて僕に付与するのか。
こうして、浮遊したオーブは意思をもったように、僕の所へと漂ってきた。
そして僕の胸中へと入り込む。穏やかで、全身が濡れるような、不思議な感覚だった。
「はっ…」
体が、水で満たされていくような。
黒焔魔法の時とはまた違う、優しさというか。それはやがてスーッと沁み込んでいった。
「やってみる」
僕は緊張気味に、上空へと手を翳した。
するとどうだろう? 隕石の軌道や、星空が映る空が、どんどん真っ黒になっていったではないか。
そして更に数秒後―― 水なんて無縁な、この地獄世界に、ぽつぽつと雨が降ってきたのである。信じられなかった。
「すごい。これが『雨を降らせる力』?」
「雨には、恵みの力が含まれている。使う場所によって、修繕の効果も期待できるはずよ。ただし、時に災いをもたらす場合があるから、くれぐれも使い過ぎに注意ね」
と、ミネルヴァが僕を見据える。
僕は「はい」と頷いた。これにて、2つ目の神の力を習得だ。ということは…?
「私も、近くアガーレールに降りてみようと思うの。あの先住民2人にも会いたいしね」
やはりそういう事だったか。僕はその経緯に納得したのであった。
それにしても、地獄に雨って凄い光景だな。
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(つづく)
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